ヨーロッパスタートアップの新動向：クリエイティブ産業への投資拡大、ハイパースケールクラウドの野心、そして女性創業者の挑戦（2023年11月28日）

2023年11月29日 10:10

1.新たな20百万ユーロのファンドがクリエイティブスタートアップを後援

概要: 元SpeedinvestとSignalsのVCがクリエイティブおよび文化産業のスタートアップ向けに「New Renaissance Ventures」と呼ばれる新しい20百万ユーロのマイクロファンドを立ち上げました。

このファンドは、ビジュアルアート、舞台芸術、新メディア、文化遺産セクターに焦点を当てる予定で、初期段階では100万～500万ユーロを投資します。
技術の側面を持つスタートアップに投資することを目的としており、AIなどの分野で新たなビジネスモデルを生み出す可能性があります。
このファンドは、インパクトファンドではなく、「ベンチャー規模のリターン」を目指しています。
引用元: Former Speedinvest and Signals VCs announce pre-close of €20m fund to back creative startups

概要: スウェーデンのスタートアップであるEvrocは、ヨーロッパ初のハイパースケールクラウドセンターをストックホルムの国際空港の近くに建設する計画です。

EvrocはAmazon Web Services（AWS）に対抗する緑のクラウドサービスを提供することを目指しており、セキュリティ上の懸念から米国のサービスを利用できないクライアントにAIインフラストラクチャを提供します。
このデータセンターは、16,000のグラフィック処理ユニット（GPU）を搭載し、ヨーロッパで最大のAIプロジェクトのインフラを作成する予定です。
Evrocの創業者は、米国の巨大企業と直接競合することは望まず、むしろ米国以外のクラウドプロバイダーを利用できない顧客にサービスを提供したいと考えています。
引用元: Evroc plans €600m raise to build Europe’s first hyperscale cloud in Stockholm

概要: 2023年のヨーロッパのテクノロジー業界は資金調達の減少を経験しているものの、早期段階の資金調達は比較的安定しており、ヨーロッパは新しい創業者を米国よりも多く生み出しています。

2023年末までにヨーロッパのスタートアップへの投資は450億ドルに達すると予測されており、これは2021年のピーク時の1000億ドルの半分以下ですが、2020年の水準からは18%増加しています。
新しいユニコーン企業の数は大幅に減少しており、2023年10月末までに7社のみが新たにユニコーンとなりました。
創業者やスタートアップリーダーにとって、資金調達は過去12ヶ月間で最も課題となっており、特に女性創業者の間で資金調達の難しさが指摘されています。
引用元: The top takeaways from Atomico’s State of European Tech report

概要: 女性創業者は、ベンチャーキャピタルからの資金調達において上り坂に直面しており、多くの創業者が生じている性差別について述べています。

女性創業者の100％がヨーロッパの投資者エコシステムに性差別があると感じており、64％が性差別が資金調達をより困難にしていると考えています。
多くの女性創業者は、VCから男性創業者には尋ねられないような不適切な質問を受けていると報告しています。
調査によると、女性創業者をサポートするためには、より多くの女性投資家やジェネラルパートナーが意思決定を行うことが重要であると指摘されています。
引用元: “Do you think you’ll lose interest in the business once you’ve had your baby?” and other sexist questions women founders have faced

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？