#86 先生と私で感じる難易度の違い
私が、グラズノフ/3つの小品より「ワルツ」を今度の発表会で弾こうかなと選んだのは、「好きな曲である」ということも理由ですが、「難易度も順当」であると思ったからです。
そもそも、いくら好きな曲でも難しすぎる曲はそもそも弾けません。多少自分の力量より上でも、「自分でも何とかなるんじゃね?」って思える(思い込める?)曲を選ぶことは何よりも重要です。
難易度の指標については、世の中には全音のピアノピースやら、難易度ランキングや難易度表を記した独自サイトやらがあるわけで、それをよく参考にさせていただいてます。
しかし、今回のグラズノフのワルツのように、それらに掲載されていないマイナーな曲の場合どうすればよいか。。。やはり、自分で楽譜を見たり、音源を聴いてみたりして、判断するしかないですよね(自分の実力的に心許ないですが。。。)
ほかのワルツと難易度を比べてみる
音源だけ聞いた感じだと、グラズノフのワルツは、ギロックのワルツエチュードやデュランのワルツと同じ程度かなって感じがします。実際、楽譜も音符が細かくなく、白っぽいし、とても見やすい譜面でした。
自分で弾いたことがあるショパンのワルツと比べてもみました。私が弾いたことあるのは4曲のみ。今の先生に習った7番(嬰ハ短調)、14番(遺作)。そして、高校生のときに独学で弾いていた、6番(小犬のワルツ)、9番(別れのワルツ)。自分の感覚での難易度順で並べると、
6番 =9番 < 7番 << 14番
って感じかな。これにグラズノフのワルツを入れてみると
グラズノフ= 6番 = 9番 < 7番 << 14番
と見積もり、十分いける!と思いました。
先生の見立てと大違い
しかし、先生がグラズノフのワルツを試し弾きした後の見立てでは、
とのことです。
うーん、要するにあれか。ポップスのピアノアレンジ曲は、曲として弾きにくいとかよく言われるのと同じ? ショパンのワルツと違って、ピアノではなく明確にオケの音がするし、実際にオケ版に編曲されて演奏されている例もあるし。
あと、ニ長調だということもあるでしょう。ハノンの移調練習をやっていたとき、先生はよくニ長調は弾きづらいと言っていました。ショパンが多用している変ニ長調や嬰ハ短調など、黒鍵が多めの調のほうがかえって弾きやすいと。
逆にショパンはニ長調を嫌っていたというか、使わなかったという話も聞いたことがあります。私はチェロをやっていたせいもありますが、弦楽器でよく使われるニ長調の曲好きですけどね。
でも、「いくら何でも、ワルツ14番より難しいことはないですよね?」と聴いてみると、
先生の言っているのは、複合三部形式(ABACDCAB)でいうところの以下のCパート。
譜面上はとてもシンプルで見やすいのですが、左手はト音記号とへ音記号が頻繁に入れ替わり、だいぶ跳躍に距離がある感じはします。
ただ、私は全体からみると、このCパートがいちばん簡単に思えるんですよね。手首が固い私にとっては、スタッカートが連続するということは、指を鍵盤に保持しなくてよくなるので、空中で自由になる手首が痛くならないから、弾いていてだいぶ楽。
ま、先生は手がちっちゃいから、余計そう思うのかもしれません。
例えば、コーダの中の以下の部分で私が左手1の指のAを保持したまま、ペダルを踏み替えて弾けるのに対して、
とちょっと悔しそうに言っていました。ここのA音はラストを飾る特徴的な部分(私はホルンのロングトーンをイメージしています)なので、切れてしまうと確かにちょっと残念な気がします。
それにCパートと言えば、同じメロディのC’パートの方がより難しいです。
左手が跳躍だけでなく、なかなか弾きにくい音が並ぶアルペジオに変化するので。ここも何度も反復練習して弾けるようにしました。先生は
とちょっと驚いていましたが、そんなに驚くようなことなんだろうか。だいぶ、私の実力を低く見積もっているようです。。。
というわけで、先生と私とでだいぶ難易度についての認識が異なるんだな、ということを改めて再確認した出来事でした。
でも、いまだにこの曲が先生が言うように、ショパンのワルツ14番より難しいとは思えないんですよね。だって、例えば、以下の部分。
左手跳躍の度合いも、右手のオクターブを連続させるパッセージも、それを両手で同時にこなさなくちゃならない点も、圧倒的に難易度上なんじゃないのかなぁ。。。