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究極のmy new gear...防音室のはなし

さて、私はこれまで曲を作ってはYouTubeに動画をあげたり、アルバム作ったりしてきました。
主な楽器はギターとBASS VIですね。

また、次の動画のようにうちの妻も実は楽器をやっていまして、動画ではウィンドシンセですが本職はサックスです。

そんなふたりなんで、やっぱり欲しくなるんですよね、究極の機材、防音室が。

てことで、その経緯とかをここに書いておきたいと思います。
もし防音室つくろうかなと思っている方の参考になれば……。

そして、そんな防音室で録音したアルバムを以下に貼っておきますので、BGMとしてお楽しみいただければ……!

Bandcampで¥0〜です。

ただし、生ドラが鳴らせる、一軒家の防音室ではありません。
マンションで、ギターとサックスでジャズ系のセッションができる程度の防音室です。
なお、ドラムも用意しましたがサンプリングパッドです。

第一段階、家探し

そう、家探しから始まりました。
防音室を入れられる物件探しです。
最初から防音室を入れることを前提に探していきました。

基本的に住み替えるつもりは二人ともなく、一生住み続ける前提で、経済状況も考えて郊外の中古マンションを探すことに。

当初はカホンをドラム代わりのマルチパーカッションとする予定だったので、階下に響かないようにと絶対条件として1階
住み替えの予定がないので築浅。
妻が植物好きなのでできれば庭つき。

を条件に探しました。

これが概ね2023年5月初旬ごろ。

「まー、間取りとか見てるだけじゃよくわかんないねー、そもそも家買うのってどうするんだろうねー」
みたいな話になり、スーモカウンターへ……。
これが2023年5月末。

そこで衝撃の事実が発覚したのですが、当時は郊外なら築浅中古マンションと新築はほぼ同じ価格。
じゃあということで防音室にリフォーム可、3LDK、1階庭付きの物件を紹介していただきました。

モデルルーム見学に行ったのがたしか6月前後。
駅から遠いものの現状と通勤時間もかわらず、価格も手頃で1階庭付き、完全に条件に一致し、かつペット可(ふたりとも死ぬほど犬好き。猫も好き)なので即決。


ユニット型防音室の検討

次に6畳程度の部屋を防音室にすると決め、本格的に探し始めました。

手始めに防音室をおいている島村楽器へ。
ユニット型防音室であるヤマハのアビテックス、カワイのナサールの体験へ……。

どちらも防音室単体でDr-40程度でしょうか。
家の壁もあるので、隣戸に対する実質はもっと性能があると思います。

中でBASS VIやカホンを鳴らさせてもらうと、妻曰く、

「嫌な低音だけが筒抜け」

とのこと。
妻にカホンを叩いてもらい、私も外で確認しましたが、振動のような低い音ががっつり聞こえました。

というわけで候補から外れることに……。

ただし、ヤマハ、カワイの名誉のために記しておくと、アルトサックスは日常会話程度に軽減されました。
どちらもユニット型なので、さらに家の壁があることも考えればサックスなら十分すぎる性能だと思います。

要は集合住宅で打楽器とベースやろうとしてるヤツが悪い。


リフォーム型防音室の検討

そこで、一部屋を完全にリフォームして防音室にすることにしました。

二社連絡し、相見積もりをとり……。

その当時まだカホンを諦めていなかったので、

集合住宅でカホン等の打楽器とギター(orベース)、サックスのトリオでジャズ系の演奏ができる部屋

とオーダーしました。

結果、二社とも
打楽器とベースは集合住宅では無理
とご回答をいただきました。

ユニット型体験のときに察していました。
むべなるかな。

そのうえで最大限の防音性能として出していただいたものも、われわれには無理な価格でした。

というわけでBASS VIは、スピーカーから出す時は低音を切って使う方針に。
カホンは諦め、サンプリングパッド SPD-SXを用いることに。
ただし、パッドを叩く音、特にキックペダルの衝撃を緩和する仕組みは必要だろうということに。

この防振については、防音室オープンソースプロジェクトさんの防振台を参考にして、問題なさそうか確認していただいたところ、
「非常に理にかなってる」
とのこと。
後ほど書くように作成しました。
公式HP

その後、相見積もりで交互にやり取りを重ねながら交渉を重ね……。


音響調査へ

そのなかで、スタジオを借りて音量を測り設計していただくことになりました。

というわけで私はアイバニーズのBASS VI、SRC6MSとギターアンプ(ORANGE Micro Terrorと専用キャビ)、妻はサックスを持ってスタジオへ……。

ORANGE Micro Terrorと専用キャビ

サックスの生音と音量を合わせてスタジオ常設のベースアンプを使ったり、もっていったMicro Terrorを使ったりしました。

結果、ベースアンプはまずほぼ無理、マイクロテラーなら低音が出てないのでOK、ただしアグレッシブな演奏ででかい音を出すのは厳しい、となりました。

もちろん全体として腰高なサウンドになりますが、BASS VIを録音する時はアンプ使わないので無問題。
また、SRC6MSのEQでローをフルアップしていたのですが、そうするとMicro Terrorでもそこそこ満足できる低音で味のあるサウンドだったので無問題。

さらに、シンバルのような高音も問題なさそうということも分かりました。
というわけで、太鼓類はサンプリングパッドで、それに加えてライドとハイハットも用意してハイブリットキットにする方針に。

このあたりで音響調査していただいた会社さんのほうが価格も安く、Dr-75は保証していただけるとのことだったので、そちらにお願いすることにしました。

6畳のお部屋が4.2畳程度の防音室になることに。
そして、隣戸と外に対しては壁を2つ作っていただき、元の壁と合わせて3重にすることに。
その結果、隣戸に対しては理論値としてDr-85ということになりました。

ただまぁ、お邪魔して音響測定できるわけではないので、あくまで理論値ですね。


機材収集

そこからは防音室に入れる機材を収集していきました。

サックスの生音に負けない程度のスピーカー
JBL 104-BTです。

チャンネル数が足りないのでミキサー
MACKIEのOnyx 12です。

打楽器代わりのサンプリングパッド
SPD-SXですね。


キックとして静音性の高いRolandのKT-9を採用。


これ、めっちゃ静かですね。

ハイハットとライド
ハイハットがマイネルの10インチ、

ライドが80年代セイビアンAAのハイハットボトム14インチ。

普通のキットに比べればかなり小さいですね。

(この辺のハイブリットキットはこだわったので、また改めて記事にします)
(またその後ドラムにハマってガンガンシンバルが増えたのは別の話)

ドラムのハードウェア
ハイハットスタンド、シンバルスタンド、ドラムスローンです。

マイク
SM57BEHRINGERのC-2

いわゆるゴーナナ
こっちがBEHRINGERのC-2

ペンシル型のコンデンサーマイクのペアのやつですね。

ケーブル類

くらいでしょうか。


新居の引き渡し、そして施工開始

さて、新居の内見と同日に工事の下見がありました。

問題点として、天井がひじょーに低くなってしまう可能性が出てきました。
2mちょっととなる見立てでした。

2m10cmを下回ると建築基準法的に居室ではなくなってしまい、問題になります。
たぶん。

が、どうやら元の天井を剥がすと思ったより上に空間があったらしく、問題なさそうとのこと。
杞憂に終わりました。

ともあれ、防音室リフォームを考えていらっしゃる方がいれば、天井高は気をつけておいた方が良いかもしれません。

230cmくらいの天上高になりました。


問題発生

防音サッシ、防音トビラが届かない……!
なんでやねんと思いましたが、どうやら能登の地震で工場がストップしたとのこと。
ニッチな商品で在庫もないので遅れになってしまったそうです。

というわけで、完成予定の日付になってもクロス貼りすら終わらず。
クロスがないままエアコンの取り付け、そして引っ越し。

さらにコンセントはアース付きの3芯にしてくださいと設計段階から言ってあったはずなのに、現場の連絡ミスで2芯に。

入居している以上、完成が更に遅れることが一番避けたいことなので、エアコン用のコンセントの位置の3芯を2口にしてもらって、アースをつなげたい機材だけはそこに繋いだ3芯の電源タップに繋ぐことに。
なんだかなぁ……。


防振台作成

防振台は先述の通り防音室オープンソースプロジェクトさんのものを参考に作成しました。
写真等の詳細はたぶん上記リンクをみていただいた方が良いと思います。


こんな感じ

ただし、流石に防音室の中なら150kgはオーバースペックだろうと思い、半分くらいの重量にしました。

ドラムの配置上、真上に梁があって天井が低くなっている(160cm)ので、防振台に高さが出てしまうと演奏に支障があるとの判断からコンクリートを薄くしたというのもあります。
その結果、高さは10.5cmくらいになりました。

というわけで、用意した資材は以下の通り

・コンクリート平板300mm×300mm、厚さ35mm程度のもの(重さ6kg)を8つ

・厚さ10mm~20mm程度の合板、1250mm×650mmを2つ

・ミナフォームマルマル20Φ×9m程度

・発泡ポリエチレンシート厚さ2mmのもの1250mm×650mmを2つ

・サイズ分の防振マット

これで、本職ドラマーではない私程度のキックなら、外に出ればほぼ無音というところまでもっていけました。

が、本職ドラマーのキック力を舐めていたらしく、KT-9と防振台をもってしても打撃音に不安が生じました。

というわけで、TAMAのISO-BASEも導入することに。


下にひいてるやつですね。

これで本職ドラマーでも問題ない程度になった……はずです。
ロックやメタルみたいにぶっ叩くような演奏はしないですしね。

ともあれ、防音室オープンソースプロジェクトさんの防振台、そしてIso-Base、めっちゃいいですね。


そして完成へ

とまぁ、トラブルもありつつも2024年5月半ばに完成!

丸一年かかったと思うと長かったなぁ……!

こんな感じです。


えぇまぁ、シンバルについては買い足しました(笑)

ともあれ防音性なのですが……。

現状、苦情はきていません。

私はほぼ毎日ドラムの練習をしていますし、ドラム、BASS VI、サックスのトリオでジャズセッションしたりもしていて苦情なしなので、防音室は大成功と言ってよいのではないでしょうか。

ただまぁ、本職ドラマーと本職トロンボーンにでかい音量を出してとオーダーして外に出てみるとまぁやっぱり聞こえる、くらいですね。

本来ならば詳細な数値でもって性能をお伝えしたかったのですが、お願いした業者の方でトラブルがあり、音響調査のデータをいただくことができませんでした。

これだけが心残りですかね……。

でもまぁ、これから防音室を作ろうかなと思っている方の参考になれば幸いです。

正直、防振台をしっかりと作成したうえで、Iso-Baseも導入し、小口径キットをガチガチにミュートすれば生ドラムもイケるのでは……?
とも思います。

おすすめはしませんが。

以下のYoutubeの最近の動画は防音室で演奏しているものなので、もしよかったら聞いてみてください。
よろしくお願いします。


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