SQUIER BASS VIを改造してより扱いやすくしよう①――シム入れればいいじゃん
さて先日、SQUIER BASS VIのレビュー記事をUPしました。
そこで書いているように、SQUIER BASS VIはイナタいショートスケール・ベースのサウンドで、なおかつそれになりにきれいにコードが出せて、私は大満足です。
ただ、気になる点も少なくありません。
特に私が気になったのは、サウンドがイナタすぎるということ、チューニングが安定しないということの2点。
そこで今回はその2点に対処すべく、個人で簡単にできる範囲の改造を施したので、ここに記しておこうと思います。
サウンドに関してはブリッジの高さを上げてシムで弦高を下げる、チューニングに関してはブリッジをマスキングテープで固定する、という対処を行っていきます。
ちなみに、①としていますが、続くかどうかは分かりません。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
2022/11/20追記。
チューニングが不安定、のところでマスキングテープでブリッジを固定する方法を紹介しました。
しかし、後日改めて検証していると、むしろ固定したほうがチューニングが狂うことが判明しました。
もちろん、私の個体の特性である可能性は否めません。
しかし、フローティングトレモロの設計思想(言葉の使い方あってるかな……?)は、アームの動きに合わせてブリッジが倒れることで、チューニングの狂いを防ぐ、というものです。
これが現代のジャズマスター等でチューニングの狂いの原因となるのは、恐らく時代の変化で弦が細くなり、アームの動きに合わせてブリッジを動かすには張力不足だから、という可能性があります。
ゆえに、ベース弦(一応)を使用し、十分に強い張力が得られるBASS VIでは、ブリッジを固定せず、むしろブリッジを動かした方がチューニングが安定する、といえるのではないでしょうか。
ともあれ、現在、私はブリッジの固定をしないことで、チューニングを安定させています。
(セットアップが面倒になりはするのですが……)
ただ、フローティングトレモロにおいて、チューニングを安定させるためのポピュラーな改造方法として、ブリッジの固定が存在するため、一応記述はそのままにしております。
流石にサウンドがイナタすぎる
流石に、弾いていても使いづらいですね……。
その原因は、おそらくショートスケールにもかかわらず細い弦を張っていて、テンション感が非常に弱いため。
というわけで、ブリッジを高くしてテンション感を確保してみました。
するとどうでしょう、弦高が高すぎて弾けたものではありませんでした。
そこで、ネックシムを入れることに。
私が使ったのはESP製の0.5mm。
こんな奴です。
これを下の写真のように入れると、ネックの角度が変わり、ブリッジを高くしつつ、弦高を下げることができます。
ブリッジを高くしてテンション感を上げてあるていど音にハリをもたせて、ネックシムで角度をつけてあげることで弦高を低くするようなイメージですね。
ネックシムを入れることに関して、ネックとボディの接触面積が小さくなって、音が悪くなるとも聞きます。
まぁ、もしかするとそういうこともあるかもしれません。
一方でネックの角度が変わると、トータルのセッティング(それこそブリッジの高さとか)が変わってしまいます。
結局、音の変化の原因がネックとボディの接触面積の変化の結果なのか、他のセッティングの結果なのかは不明です。
ちなみに、私の場合は接触面積の減少でデメリットが生じるとしても、ブリッジを高くすることのメリットが勝っていると判断しました。
ちなみにネックシムですが、ことさら買わなくても、弦の空き箱を切って使っても問題ありません。
確か、どこかのリペアマンがそんなふうに書いていたのですが、どこだっけ……?
きちんと測ったわけではないのでなんともいえませんが、おそらく0.25mmくらいの厚みになると思います。
チューニングが不安定
それに加えて、ブリッジがグラグラしてチューニングが狂いやすい、といわれているフローティングトレモロにも対策を入れてみました。
実際、届いた当初のセッティングだと、チューニングはガッタガタでした。
これも簡単です。
ブリッジの柱にマスキングテープを巻いて固定するだけ。
この左右の柱の付け根付近ですね。
(マスキングテープを巻いている写真を撮り忘れました……すみません。)
こうすることで、ブリッジが固定されてチューニングが狂いにくくなる……はずが、私のものは加工精度が低くブリッジポストの中心とブリッジの足の中心がズレていたため、やはり多少ぐらついてる状態になりました。
アメリカン・クオリティだとあきらめました(※1)。
それでもなお、チューニングが多少安定していたのでしばらくそのままにしておりました。
が、なんとなく外してみても、チューニングの安定性は変わらず、安定した状態を維持しておりました。
というわけで、私の場合は、マスキングテープでブリッジを固定する、というやり方はしておりません。
もちろん、マスキングテープ固定というやり方に効果が全くない、とは思いません。
たとえば、もう少しブリッジポストとブリッジの足の中心が合っていれば、絶大な効果を生み出す可能性もあります。
実際、固定のための商品も発売されています。
発売元のレトロトーンさん(アストロノーツギターズさん)は、ジャズマスターの研究をしっかりされているようですし、オカルト商品ではなく、きっちりしたものだと思います。
マスキングテープ固定は"私のSQUIER BASS VIの場合"効果がありませんでした。
結論:シム入れよう
というわけで、私のBASS VIは、シムを入れることでだいたいの不満点を改善することができました。
その不満点というのは、さすがにサウンドがイナタすぎること、チューニングが安定しないということ、の2点。
サウンドに関してはブリッジの高さを上げてシムで弦高を下げる、チューニングに関してはブリッジをマスキングテープで固定する、というふたつの対処を当初は想定しておりました。
しかし、結局のところ採用したのはブリッジを上げてシムを入れる対処だけ。
これで、サウンドもかなり太くなり、チューニングも安定しました。
恐らく、ブリッジを高くしたことで押し付ける力が強くなり、ブリッジのグラグラがマシになったためチューニングが安定した、ということでしょう。
ちなみに、フローティングトレモロはテールピースの動きに合わせてブリッジも動くことで、チューニングの安定したビブラートをかけられる、という趣旨で開発されたものだそうです。
そのため、適切にセットアップすればチューニングは狂わない、というのがアストロノーツさん談。
(細かいことはググってみてください。)
ということなのでシムを入れることでブリッジを高くし、角度をつけてボディに押さえつけることでテールピースの動きとブリッジの動きをシンクロさせてあげると、チューニングも改善されるかもしれません。
もちろん、ブリッジの可動範囲を超えたアームアップ/ダウンをすると、チューニングは狂います。
さらに、ブリッジなどで生じる共振(物理的な狭い意味の共振ではなく、カシャーンとした音)もなくなりました。
というわけで、一般的にフローティングトレモロにいわれる弱点、テンション不足、チューニングの不安定、共振、これらを一気に解決できるので、気になるならシムを入れましょう。
今後の方針
ちなみに、いま気になっているのはトーンポッドで、絞っていくと10~20%あたりで急激にサウンドが変化するのを何とかしたいと考えています。
で、どうせ電装系をいじるなら、電装系全体を同時にやってしまいたい、と考えています。
ピックアップも交換するのであれば、7~8万円は覚悟しないといけないわけなので当分、「BASS VIをより扱いやすくしよう②」は出ません。
もっと言えば、約6万円で買ったBASS VIに7~8万円もかけてどうすんの?という気がしてるんですよね……。
2022年11月4日追記。
チューニングに関して、あまりにもペグの精度が低かったため、ダメもとでGotohのマグナムロックを取り寄せたところ、ダダリオ弦であれば使えそうなことを確認しました。
現在、ペグ交換に出しているところです。
一応リペアマンの方にチェックしていただいたところ、
「たぶん大丈夫」
といただきました。
帰ってきたら、
「BASS VIをより扱いやすくしよう②」
が出るかもしれません。
当初の方針とは全然違いますが……(笑)
2022/11/20追記
マグナムロック、使えました。
またどこかで記事にしますので、ご参考まで。
2023/1/17追記
マグナムロック、やっぱりダメっぽいです。
まず、ポストの穴に弦は通りますし、きちんとチューニングできます。
弦が穴に通らないから使用できない、という記事も目にしますが、通ります。
事実、通ってましたから。
しかし、私の個体の場合だと弦の張力に負けたのかブッシュが浮き、ポストが斜めになるという現象が起きました。
また、穴に対してギリギリすぎてかえって弦交換が面倒、ということも……。
さらに言えば、マグナムロックにしたからといってチューニングが安定する、とは限りません。
恐らく、ブリッジの調整、ナットの質、等々の方がチューニングに対する影響力が高いと思います。
というわけで、元のペグに戻すことにしました。
あんまり精度は良くないんですけどね……。
ちなみに一応、海外フォーラムではSD91は使用可能だ、とのこと。
だそうです。
私の拙い英語力で翻訳するとすれば
SD91にしておけばマジで間違いないよ
って感じでしょうか。
一応、参考まで。
※1 インドネシア製だろ?ってのは、わかってるんですよ。製造工程の管理とかはアメリカのフェンダー社がやってるので、やっぱりアメリカン・クオリティってことだと思います。