「よい音」に真空管は必要なのか?
デジタルモデリング
KEMPERって、発売自体は2011年にされていたそうですね。
日本では2015年あたりから話題になり始め、LINE6のHELIXが2017年に発売され、一時期は
"真空管の時代は終わった"
という印象すらあったように思います。
自分の知っているところで言えば、PAT METHENYがライブでKEMPERを使っていたそうですね(個人のブログ等がソースなので、直接リンクは貼りませんが、興味のある人はググってみてください)。
また、井上銘もレコーディングでLINE6のHX STOMPでツインリバーブのモデリングを使い、ライン録りしたと語っています(2020、『ギターマガジン 4月号』リットーミュージック:126-8)。
真空管アタッチメント
一方で、以上のようなデジタルモデリングではなく本物の真空管を用いたアタッチメント(エフェクター、バッファー、ブースター)が発売されています。
例えば、ThingsというメーカーのBEYONDシリーズや、Lee Custom Amplifierというメーカーの12AU7BBが挙げられます。
モデリングアンプに最適というレビューもあり、KEMPERやHELIXなどのデジタルモデリングは、どこまでいってもモデリングでしかなく、やはり本物の真空管が良い、ということなのかもしれません。
真空管を目指して
いずれにしても、デジタルモデリングであれ、真空管アタッチメントであれ、目指す方向は「本物のプレキシサウンド」や「本物のフェンダーツイード」、その他ハイエンドアンプなど、あの名アルバムで聞くことのできる、「よい音」とされている音なのだと思います。
ただし、状態の良いビンテージアンプは数も少なく、本体の費用だけでなくメンテの費用も高くついてしまいます。
また、ハイエンドアンプはやはり価格も高く、手を出しにくいものですね。
だからこそ、個人で手軽に使えて運べるデジタルモデリングや真空管アタッチメントが出てきたのでしょう。
真空管のあの音だけが"良い音"なのか
現状を整理すれば、ある程度のお金(デジタルモデリングなら10万円前後~、真空管アタッチメントなら3万円前後~でしょうか)を出せば、真空管を用いた「よい音」が、アマチュアでも気軽に所有でき、持ち運べるよい時代になったということができそうです。
ここでやっと話の本題です。
真空管を用いたあの音"だけ"がよい音なのでしょうか?
本当に、「デジタルモデリングや真空管アタッチメントでみんなが躍起になって目指しているあの音」だけが「よい音」なの?
確かに真空管サウンドは弾いていて気持ちがよく、私も好きです。
しかし同時に、真空管サウンド=「よい音」になっていて、それ以外が顧みられない現状を"つまらない"と感じています。
(なんてったって、状態の良いビンテージ真空管アンプとか、ハイエンドアンプを買うという、究極の解法がありますからね。)
いろんな「よい音」があるべきでは?
そう思うなら、真空管サウンドではない、「よい音」のオルタナティブを探求していくしかありません。
今回は、そのオルタナティブになりそうな例を何回かに分けて、紹介したいと思います。