M#24 スピッツ「運命の人」
1997年の11月の終わりに発売されたのがスピッツの「運命の人」。
2023年現在も「美しい鰭」がヒットするなど
他に類を見ない唯一無二のバンドとして令和の時代も活躍しています。
この曲が発売された頃って、単純な売上枚数だけを見ると
少しずつ売上が落ちていた頃だったと思います。
1995年に「ロビンソン」、1996年に「空も飛べるはず」「チェリー」とミリオンセラーを記録していたスピッツでしたが
この1997年は「スカーレット」「夢じゃない」はミリオンには届かず
この「運命の人」も残念ながらミリオンセラーとはなりませんでした。
むしろこの年のシングルでは売上枚数の面では最低となってしまいました。。。
が、私はこの「運命の人」が好きです。
初めて聴いた頃、
バスに乗っても、電車に乗っても、何に揺られても人生の意味を見出すことができなくなっていた自分は、
草野マサムネが「バスの揺れ方」でどうやって人生の意味を見出したのか、真面目に考えてました。
同級生にそのことを話したら
「そんなこと考えなくていいんだよ。感じて聞けばいいんだよ」
と言われてしまいましたが、何か意味はあるんじゃないかなーって思い続けてはいました。
歌詞の考察を深くするつもりはないですし、
というか、私はそんな考察とか大袈裟なレベルの人間ではないので
ただなんとなく思ったこととして、
それは翌1998年にこの曲が収録された「フェイクファー」を聴いた頃になってやっと思ったことなのですが、
バスはいろんな人が入れ替わり立ち替わり乗車または下車をしていく、
同じ時間のバスに乗っていても今日見た人と明日も会うとは限らない、
人生は一期一会、ぼーっとしてたら乗ってきた人は降りていく、
だから運命の人の手は強く握っておかないとなんだってことだと思いました。
1998年の頃は、私は、とある場所で一人暮らしをしていたので
それまで近くにいた家族、友人たちが一斉にいなくなって
新たな場所で新たな知り合いを作るも、話し続ける日常を繰り返していかなかったら孤立していく、
孤立すると、なぜだか昔のことを考える、
そんな日々でした。
そんな日々に陥ってから「運命の人」を聴くと、「人生の意味」とまではいかないまでも「あっという間に時間は流れていく」ということを再認識しました。
これでもまだ目覚めきらない私は1998年の12月ぐらいにやっと目を覚ましていくことになるわけですが、それはまた別の話。
1998年に知り合った人全員と疎遠になってしまってる2023年、
改めて「運命の人」を聴いてみると、
ちょっと曲の深さをまた知ったような気になれました。
傷つかないようにうわべだけの付き合いだったり
自分を取り繕って話していたり、
そんなことをしていた頃は、時が経過しても何も残らなかったりします。
余計なことをしすぎてみたり、
はずかしくても、まるでダメでも、好きな人とは突き進んでいくべきだし
楽しいと思えた仲間とはずっと繋がっていかないとなんですよね。
待っているだけでは未来に繋がっていかないし、
自力で見つけないとなんですよね。
もう20年以上も前に草野マサムネが歌っていたことを
この年になって思い知らされる。
草野マサムネの歌詞は深い。