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エーテルとソマチッド
エーテル
見出し図は、玄関のドアノックが蹄鉄になっている図です。
馬の蹄鉄は軟鉄で作られています。
古代の人々は、軟鉄がもっともエーテル・エネルギーを蓄えることができる金属と考えていたようです。
このため、エーテル・エネルギーを蓄えた蹄鉄を玄関のドアノックとすることで、ネガティブな力が、家の中に入ることを防いでいたようです。
エーテルというのは、アーユルヴェーダでは「プラーナ」と呼ばれ、中医学では「天空の気」、ホツマツタヱでは「ココロバ(心葉)」と呼ばれています。
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軟鉄というのは、炭素の量が少ない鉄です。一方、ある程度炭素を含んだ鉄を鋼鉄と言います。
人間や動物の体で鉄といえば、ヘモグロビンを含んだ赤血球ということになります。
赤血球は、肺で酸素と結びつき、二酸化炭素を排出するガス交換を行うとされています。
細胞では、逆に酸素を放出し、二酸化炭素のうち11-23%が、ヘモグロビンと結びついて肺に送られるようです。
酸素と結びついたヘモグロビンは軟鉄で、二酸化炭素と結びついたヘモグロビンは、鋼鉄と考えられるので、もしエーテルが赤血球に蓄えられているとしたら、酸素だけでなくエーテルも細胞に放出されているということになります。血管上では、赤血球がエーテルの運び手を担っていると考えられます。
ホツマツタヱには、ウツホ(五大元素の空に相当)がココロバになり、ココロバが胎児の肺を造る、と書かれています。
エーテルは、五大元素の空とみなされています。
プラーナは、呼吸エネルギーとも言われ、肺で行われる呼吸と密接に関わっています。
また、ホツマツタヱでは、ココロバは常に廻って巡っていると表現され、アーユルヴェーダでは、プラーナはナーディ(エネルギーチャンネル)を通じて身体中を巡っていると言われています。
そういうわけで、エーテル = ココロバ = プラーナ = 天空の気という構図が成り立つわけです。
ソマチッド
『ホツマ辞典 改訂版』(池田満著)によれば、シヰについて、以下のように述べています。
人の成り立ちは、アモト(大宇宙の中心)から来るタマと、地球の方から来るシヰとが、タマノヲによって結び付けられて始まる。
シヰのなかを、さらに分類すると、生命の生存に直接に関わって、必要欠くべからざる欲求を狭義の意のシヰ(シヰのネ)という。
この他、生命が保たれた後に出ずる欲求の、色欲や物欲などはシムという。
池田氏は、狭義のシヰを上記のように欲求という言い方をしていますが、生きようとする力(生命力、免疫力、繁殖力)と思えるわけです。
そうすると、生命エネルギーであり、白血球などの免疫機能と関係し、植物の花粉に多く含まれ、子孫の繁栄に関わっているソマチッドが、ホツマツタヱの狭義のシヰに、ぴったりなのです。
アーユルヴェーダの『チャラカ・サンヒター』では、オージャスについて、次のように記載しています。
それ【心臓】は、最も重要なものである活力素(オージャス)の位置するところであり、精神もそこに集中している。したがって医者たちは、心臓をマハットとかアルタと呼ぶのである。[脈管は]この心臓という根と[結びついているので]マハームーラ(大根)と言われ、十本ある。これがオージャスを運んでわれわれの身体中いたるところをかけめぐる。
あらゆる生物はオージャスによって活動し栄養を授けられる。このオージャスがなければすべての生物の生命はありえない。オージャスは[発生の]第一段階では胎児のエッセンスであり、胎児のエッセンスからラサ[が生ずる]。そして形成されつつある[胎児の]心臓に、早い段階で入っていく。その[オージャスが]なくなると[生命の]消滅が起こる。それは心臓に位置して生命を支えるものとなっている。それは身体のエッセンスであり、気息【プラーナ】もそこにある。その[オージャスの]もたらす結果は多く、[樹木が]果実をもたらすごとくなので、[そのオージャスを運ぶ]脈管は「偉大な果をもつもの」[と呼ばれる]。[脈管は]「充満させる」のでダマニ[と呼ばれ]、[血液]を流すのでスロータス[とも呼ばれ]、流動的なものであるのでシラー[とも呼ばれる]。
矢野道雄編
千島・森下学説では、赤血球が白血球になり細胞になるとしています。先の記事『縄文の血の記憶』で記載したように、ソマチッドが赤血球の原形質に液体の形で溶け込んでいるとしたら、赤血球や白血球などの血球ばかりか、ヒトの体を構成するすべての細胞が、ソマチッドからできている、ということになります。
そうすると、チャラカ・サンヒターの言葉は、
あらゆる生物はソマチッドによって活動し栄養を授けられる。
このソマチッドがなければすべての生物の生命はありえない。
と言っているような気がします。
そこで、ソマチッド = シヰ = オージャス = 水穀の気 という構図が成り立つと思うわけです。
「プラーナ = 天空の気」、「オージャス = 水穀の気」については、『新版 インドの生命科学 アーユルヴェーダ』(上馬場和夫・西川眞知子著)に記載されていたので、そのまま流用しております。