世界中のアンネたち
妹がインド旅行から帰ってきた。いろんな土産話を聞く中で、犬の話が脳内にこびりついている。
「インドの野良犬ってね、喜怒哀楽があるの!目をさんかくにして怒るし、好きな人にはワンじゃなくてくぅーんってまじで甘えてるの。日本の犬とは全然違う。日本のは、やっぱ飼い慣らされたペットなんだなぁって思った」
トムとジェリーみたいに表情が動く犬を想像しながら、「目をさんかくにして怒る」と表現できる妹を誇らしく、そして愛おしく思う。
妹の感覚は、瑞々しい。若葉のようだ。
最近、ちまたでMBTI診断というのが流行っているのをご存知だろうか。
人間の性格を16種類に分けるというもので、これがなかなか当たっている。
妹のMBTIは「広報運動家」と診断された。
同じタイプの有名人は、アンネ・フランクらしい。
私と母は、「ホントだわあ」「確かに!」と同時に唸った。言い得て妙である。
妹の好奇心と無邪気さは、アンネそのものだ。
アンネ「パパとママから日記をプレゼントされた。最高のプレゼント。あなたになら、なんでも話せる気がする!」
妹「ウチ最近ブログ始めた。日記書いてみる!」
アンネ「今日は面白いことがありました。ミープご夫婦(アンネ一家の協力者)が隠れ家に泊まりにきました。」
妹「今日は、ちーちゃんが家に泊まりにくるよね?何しようね、ジュース買った?」
猫が好きなところも似ているし、
アンネ家族も我が家と同じで、両親と娘2人の家族だった。
確かアンネの姉はマルゴーという名前だった。
マルゴーも、きっと自分の妹の無邪気さが可愛くて仕方なかったのだろう。
柔軟で瑞々しい感性のアンネ。
屋根裏から自由の翼を広げ、大きく羽ばたいて世界を見たかったに違いない。
もしアンネが、私の妹のようにインドに旅行に行けたなら、彼女も
『犬が目を三角にする』と表現したのだろうか。
きっと、世界中の家庭に、アンネのような、私の妹のような、
無邪気で好奇心旺盛な、愛おしい存在がいるのだ。
ふと、テレビを見ると、アメリカとメキシコの国境の壁についてニュースが流れている。
次に、ロシアにあるウクライナ兵収容所について。反対に、ウクライナにも、ロシア兵収容所があるらしい。
Twitterを開くと、『在日は日本食を食うな』の文字。
アメリカに、メキシコに、ウクライナに、ロシアに、日本に、韓国に、
住んでいる家族たちを思い、その中に、アンネのような、私の妹のような、
無邪気で愛おしい存在があることを思う。
世界中に住むアンネたちが
二度と屋根裏部屋に閉じ込められないように、
二度と収容所に閉じ込められないために、
自由の翼を広げ、屋根裏から、収容所から、羽ばたけるように
姉である私たちは何ができるのだろうか。
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