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枠組みを変える

内科の開業医さんの講演会に行った。
メインはコロナウイルス感染に関する話だった。
話の内容は大変興味深く、色々と学びになった。
講演会の冒頭でフレーム(枠組み)についての話があった。
物事を捉える時、どのようなフレームで見ているか?によって捉え方は全く異なってくる。そしてフレームの外側は見えていない。

日常の診療においてエゴグラムというものを用いられているという。
説明によると、エゴグラムには「批判的親」「養育的親」「大人」「自由な子ども」「適応的な子ども」の5つの項目があって、「自由な子ども」が低い人は自分の気持ちを表現できずに抑え込んでいる状態なのだそう。
けれど本来は「自由な子ども」が最も高い状態が、より健康で居られる状態なのだという。
エゴグラムを用いて診療されていく中で、慢性疾患を抱える患者さんは「自由な子ども」の値が低い傾向があることを見出された。

一人の中年女性のケースを提示された。
この女性が他院から紹介され、初めて先生の外来を受診した時、いくつもの慢性疾患の診断がついた状態だった。
詳しくは覚えていないが、スライドに書かれた病名は数行に渡っていた。
15年間もの間、1日に30錠という薬を飲んでいたという。
体重は90kgを超えて肥満の状態で、血液検査のデータも異常値だらけだった。
エゴグラムを取ったところ「自由な子ども」が著しく低い結果となった。
背景に幼少期からの辛い体験を持っていた。
この女性に対し、これまでの経過と現状に関してプラスの自己対話を促し、それを習慣化することによって、物事の捉え方を変えていかれたのだそう。
結果、内服薬は漢方薬を含めて3種類にまで減り、検査値はすっかり正常化、体重も減っていったという。

スライドに示された変化の経過は非常にインパクトがあった。
物事の捉え方、自分の心のありようが変わると、こんなに健康な状態へと変わっていけるのだ。
内科医の先生の実践に頭が下がる。
この女性がこの先生に巡り会えたことの幸運を思った。