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アマチュアの狂気
「なんか気に入らない」の「なんか」ってカジュアルに残酷だよなぁと思う夜。
かくいう僕も音楽ストリーミングサービスのSpotifyがなんか気に入らなくて、特にこだわりもなくずっっっとApple Musicを使っている。
それは大昔に何かの記事で「ストリーミングサービスの中でもSpotifyは断トツで歌手への利益還元率が低い」みたいなことを読んだからか、そこから時間の経過とともに理屈と感情が抜け落ちて、ただ惰性で「気に入らねぇなぁ」だけが残ったのかは分からない。
けど、なんか気に入らないのだ。
言ってもそんなSpotifyさんの名を冠した渋谷のライブハウスにはそこそこ行くし、自分一人が心の中でミニマムストを行ったところで、現実にSpotifyは痛くもかゆくもないことは明白なのだが、なんか気に入らないものはなんか気に入らない。
それに関して言うと、少し前から個人的に好きでよく聞いていたネットラジオがあった。
僕はそのラジオをApple Podcastで聞いていたのだけど、ある日急にSpotifyが専属スポンサーに付いたとかで、それまで複数の媒体で聞けていたのがSpotifyでしか聞けなくなった。
その時の僕の寂しさというか、喪失感みたいなものが伝わるだろうか。
それこそ以前から仲の良かった友達がクラス替え直後に別の男子とベッタリになり、急に自分にそっけなくなった時の「盗られた…」感というか、なんというか。
しかも試しにSpotify単独配信となったそのラジオを聞いてみたところ、大好きなMC陣がOPから「Spotifyさんありがとうございます!」とノリノリでおべっかを使っている始末。
それを聞いて元々性根がひん曲がっている僕は急激に冷め、そこからそのラジオを聞く機会は減っていった。
そして最近、ふとそのラジオのことを調べてみると、どうやらSpotifyの専属スポンサー契約が終わったらしく、今は再び各サービスで配信しているとのこと。
確認すると、かつて忽然と姿を消したApple Podcastにも過去回を含めてまるっと上げ直されていた。
それはまるで疎遠になった元親友と何かのキッカケでまた仲良くなれたような嬉しさがあったのだが、この感覚伝わるだろうか?伝わらない?ムリそ?
ということで今日は、晴れてまたApple Podcastでも聞けるようになった、芸人の天津・向さんと構成作家の原田さんによる番組『ジロンラジオ』を聞いて印象に残った部分を書き残したい。
ゼロイチは狂気の中から生まれる
番組はお二人およびゲストさんやリスナーが、各自の自論を発表し、それを受けて話が展開されるというシンプルなもの。
全体にゆったりした番組の雰囲気と約15分という色々と優しい短尺が聞きやすく、最近めっきり「趣味・悩み・マイブーム」が全て「老い」になっている我が身にも生姜湯のようにスーッと染み渡る良さがある。
そんなジロンラジオのカムバックを喜びつつ、先日も当然Apple Podcastで聞いていたのだけど、特に印象に残った回があったので軽く内容を紹介したい。
その回は「#122タモリ倶楽部には学ぶことが多い」というもので、自論を提唱した作家の原田さんの言がサブタイトルになっている。
内容としては、惜しまれつつも2023年4月に終了した長寿番組『タモリ倶楽部』を例に挙げ、目先の損得勘定を度外視した「なんか好き」という個人的な感情の尊さを語ったり、それを受け手側がバカにせず、逆に変に持ち上げたりありがたがったりもせず、あくまで自然体で歩み寄る姿勢こそ「理想的なサブカルとの接し方だ」とキレイに言語化されていたのが快感だった。
また、そういう損得勘定抜きで「ただ好きでやっている」という「アマチュアの狂気」は純粋だからこそ強く美しい反面、そこへ後からやってくる邪な思いを持った野暮な人達に壊されやすい、という悲しい側面にも言及があった。
僕自身、熱いアマチュアの人達が「愛ある狂気」で作り上げた美しい世界を野暮な人達が無粋なエゴでめちゃくちゃにして去っていった構図はもう何度見たか分からない。
だからこそ基本同調ベースで進むことの多いこのラジオで、上記のような野暮な人達について向さんが仰った『もちろんそういう人達は不要なことをするけど、もしかしたら逆にそういう人達のおかげで新しい動きが生まれるかも』という発言に「いえ、僕はそう思いません」とキッパリ返した原田さんの言には心惹かれたし、「10に育った畑を刈り取って、2に減らしていくだけの人達」という表現も頷けるなと思った。
あとは自分も無意識のうちにそういう「刈り取る側」や「なんか気に入らない奴」にならないよう、引き続き丁度よくビクビクしながら生きていこうと思いつつ、(ここにきて文の結び方わかんねぇなぁ)と内心困っている、そんな今日のお話でした。
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