子育ては尊いものなはずなのに
お母さんが子ども3人を殺めてしまった可能性が高いとされるこの事件をみて、過去のヤングケアラーだった時期の自分のことを思い出した。
はるかの両親(主に母親)は里親をしている。
里親というのは、なんらかの事情で子育てが出来ない0〜18歳の子どもちゃんを短期or長期でお預かりし、最長その子が18歳になるまで一緒に暮らすという制度だ。
戸籍は入れないのが養子縁組との大きな違いで、児童相談所の担当さんや実の親御さんからの意向があればすぐに里親の元を離れる点も特徴だ。この意思決定に里親の意思は反映されない。
私が小学校4年生の時に母が妹を流産し、その後少し落ち着いた時に観た「明日ママがいない」というドラマで里親制度を知った。元々看護師をしていた母はすぐに子どもとの愛着形成の仕方や過去の事例について勉強して里親制度へ登録をした。実際に里子ちゃんをお預かりし始めて、もう10年以上経つ。のべ20人以上の子どもたちをお世話している。
はるかには、小学校6年生から中学校卒業までの4年間、
2人の里子ちゃんと一緒に生活を共にした期間があった。当時、父は出張ばかりで家には2週間に1回くらいのペースで帰ってくる。家には母と実の子供達3人という状況だった。そこに初めて2人の里子ちゃんが来てくれて、新生活がスタートした。
その子たちには、重度の愛着障害、発達障害があってその子たちと共に過ごす毎日は、11〜14歳の私にとっては過酷な日々だった。
今振り返っても、当時の自分はありえない大きさのストレスを抱えていたし、母親が里子ちゃんに手一杯になってしまっていて、実の子ども達には「自分でできる事は自分でしてね」という状況があった。学校でのことや部活での事を母に相談したい時に、母は里子ちゃんのお世話でろくに話を聞いてもらえない。そんか時にふと、とてつもない寂しさも覚えていた記憶がある。
母が里親になった経緯も、過去の流産が原因だったこともあり、当時の私には母の活動を支えることしか選択肢がなかった。
毎日、料理、お風呂、洗濯、掃除、犬のお世話、人数分のお昼ご飯作りはもちろん当たり前。睡眠時間を削って宿題をしなくていいように、学校の休み時間に宿題を終わらせていた。同級生のみんなが習い事や遊びをしている時間を毎日の家事にあてた。
家庭では、里子ちゃんたちの癇癪と泣き声、そしてキャパオーバーしてしまっているヒステリックな母親の声が聞こえていた。最近、年末年始で5年ぶりに実家に帰って里子ちゃんのお世話をした。その時にも再確認したんだけど、普通の子と発達障害や愛着障害を抱えている子の行動や目、泣き声は全然違うように感じる。
ただ、これはあくまではるかの体験から来る感想であって、全ての里子ちゃんに当てはまるものではない事を声を大にして伝えておきたい。これ終わり踏まえた上でここから普通の子と何らかの障害を抱えてる子の違いについてはるかの持論を述べる。
普通の子は目がとっても優しい。見ていると愛を注ぎたくなるような目。行動も自己中心的な部分は垣間見られるけど、悪意100%での行動はしない。泣き声も大きくても小さくても何かしらの障害を抱えてる子に比べると圧倒的に不快感が少ない泣き声をしている。
私が関わってきた愛着障害と発達障害を抱えている子の目は殺気があり、目力が強い。目を長時間合わせられないような独特なオーラがある。行動にも一貫性がなく、怒られることで愛されていることを確認する為なのか、とにかく人の目を引くための問題行動が多い印象を受ける。ちょっと目を離した隙に他の子を傷つけたり、犬の毛をむしったり、噛みついたりする。注意をしても、理解ができずに泣く。その泣き声は、聞いていると全身に鳥肌が立つような声だ。全身で「私/僕は悪くないもん!」、「あぁやっぱり愛されていない」と訴えかけてくるような感じがする。思わず耳を塞ぎたくなるような声。
ショートステイならまだしも、24時間365日×4年間、、。ほぼ毎日里子ちゃんの泣き声と癇癪時の奇声、2人の里子ちゃんのお世話に耐えかねた母の金切り声が響いていた。毎日こんな状態の繰り返しで、少しずつ溜まっていく疲労と家庭で癒されない寂しさを抱えていた。当時のはるかはそのストレス発散として、恋愛で寂しさを紛らわしつつ現実逃避をしていたように思う。
今年の年末年始に久しぶりに帰省し、里子ちゃんと一緒に家族で旅行に行った。当時の子たちではなく、別の男の子4人。0、1、2、3歳児が1人ずつ。私は1歳の普通の子どもちゃんを担当したが、2歳の子どもちゃんが発達障害を持っており、非常に大変だった。どう大変だったのかを言語化するのは難しいが、1つは目を離した隙にするこちらの興味を引くための行動が異常に多いこと。2つ目は、注意されても正しい行動が取れず、説明しても理解出来ない為に泣かせてしまう回数が普通の子に比べて圧倒的に多いことが挙げられる。
泣いても別にいいんじゃないかと思われるかもしれないが、ちゃんと伝わったときと伝わらずに子どもが泣いてる時のこちらのメンタルはかなり違う。これがずっと積み重なるととてつもない自責の念に駆られるし、絶望感に押しつぶされそうになる。
お預かりしている子どもちゃんたちの年齢的に夜泣きもあった。睡眠もまとまった時間では取れない為、寝不足から来る頭痛や体の疲労感、倦怠感が発生する。
さらに、なんらかの障害を抱えていたり癇癪持ちだったりすると、普通の子とは比べものにならないくらいの早さで精神が削られていく。
海老名市のお母さんの9歳の長男さんは癇癪持ちだったと想定されているみたいだし、不登校だったとも言われている。実際に知っている家庭のことではないから、何が真実かは分からない。それでも、はるかの経験から考えると、癇癪持ちの子どもと24時間一緒に過ごすのは、実の親でも息が詰まったり、煮詰まるんじゃないかなと想像する。
このお母さんは過去に外部へ相談もしていたみたいだから、実の子ども3人を刺して自分も後を追うという選択をしてしまうほどに、精神的に参っていたんじゃないかと思う。
子育てって本来ならとっても尊くて幸せなもののはずなのに、令和のこの時代にこんな事件が起きてしまった事が悲しい。子育てもそうだけど、表には出てないだけで本当に困ってる人たちが世の中にはまだまだいるんだろうなと思う。日陰にいる人たちを誰1人取り残さないようにしていきたいと思う。
私には話を聞くことしか出来ないけれど、はるかで良かったらいつでも相談に乗るので、困った時や苦しい時を初め、どんなことでもぜひコメントをして欲しい。