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L'Arc-en-Ciel LIVE 2025 hyde BIRTHDAY CELEBRATION -hyde 誕生祭- セトリ順にレポート

セトリ順に紹介しながら、記憶している範囲で印象的な部分を中心に2日分のレポートをその違いも含めて自分のメモも兼ねてまとめてみました。長くなりましたが、よろしければお付き合いください。
(2025/1/18、2025/1/19 東京ドーム公演)

東京ドーム

hyde が歌いたい曲はラルクのロック美学の結晶

煙の中からメンバーが1人ずつ浮かび上がる映像に続いて hyde がガラスをぶち破り、暗闇でローソク3本の火を消す映像からライブがスタート。

DRINK IT DOWN (Single 2008) (12th 2012 "BUTTERFLY")
X X X (Single 2011) (12th 2012 "BUTTERFLY")
CHASE (Single 2011) (12th 2012 "BUTTERFLY")

今更ジャンルで語る時代ではないかもしれませんが、冒頭3曲 "DRINK IT DOWN"、"X X X"、"CHASE" はラルク流ロックの美学を体現した最高到達点とも言える自信作でまずはガツンとキメた感じ。海外も含めたどのバンドも出していない音。オリジナリティが高く、キャッチーなメロディを随所にいれながらロックであり続け、二度、三度の異なる曲想の展開をする構成も含めて楽曲としての完成度も高くhyde の声の変化自在さと歌唱力だからこそ成立する唯一無二のとにかくカッコイイ曲。例えば海外の友人がいたとしたら、どうだ凄いだろと聴かせる曲を選ぶとしたらこの3曲かもしれません。(その後で、他の個性的な曲も聴かせますが)

大ブレイク期の個性的な楽曲

fate (5th 1998 "HEART")
花葬 (Single 1998) (7th 1999 "RAY")
浸食 〜lose control〜 (Single 1998) (7th 1999 "RAY")

ガツンとキメた後はじっくり聴かせるラルクらしさ全開の大ブレイク期の名曲たち。メロウな "fate" に続けて大好きな "花葬" もメロディラインが素晴らしいだけではなく、ベースラインが気持ち良すぎて (コピーするならばこの曲かな)、そこにギターもメロウに入る場面もあって歌とベースとギターが三つ巴で歌っている感じ。"浸食" はイントロのアルペジオに絡みつくように入る歌と共に歌うように動くベースラインの絡みがここでもラルクらしさを際立たせていますが、さらにハードでカッコいいパートが入るコントラストが最高ですね。

感情移入の凄い2曲と hyde の頬に涙

EVERLASTING (Single 2014)
forbidden lover (Single 1998) (6th 1999 "ARK")

"EVERLASTING" は壮絶な映画が終わって流れるエンドロールの音楽のように映像的で、静かながら抑えた感情の高まりがCDでは聴けないライブならではの説得力。ライブで大化けした曲ですが今回も鬼気迫る感じでした。ハイトーンの連続で普通の人には単調な叫びになって歌えない高難度な曲ですね。

続いて初日で一番感動した "forbidden lover"。圧倒的な感情移入で歌う hyde の気迫に涙がこみ上げてきました。特に「怯えた瞳は天を仰いで、叫ぶ、神の名を」の部分は神がかりでした。2日目ラスト 1/3 では hyde の頬に涙が流れていて、これほど感情移入して歌う人 (過去ライブでもたまにありますよね) は他には Celine Dion のラスベガス公演のとある曲でしか観たことがないです。ライブに来て音楽を聴くことCDで聴くことは全く意味が違う行為なのはこういうところですね。そこにいる演奏者と歌い手の感情と音楽を生で感じ、全身で浴びるという全く別の体験であることを改めて実感しました。

記念チケット

ギターソロとベースソロを交えて

接吻 (9th 2004 "SMILE")
In the Air (2nd 1994 "TIERRA")

ギターリフがカッコいい "接吻" は途中から ken花道を歩き、サブステージに来るとギターソロ。特に2日目はハード・ロックやメタル系のギタリストが弾きまくるようなこれぞギターソロという感じでキメてくれました。今まで見た中で最高です。"MY HEART .." 冒頭で聴かせるメロウでクリーンなギターソロは多いですが、こういう早弾きでロックな感じは珍しいのでは? そして "接吻" のリフをギターだけでやりながら他のメンバーが戻ってきてバンド全体で。

続けて tetsuyaベースソロ。ゆがみ系エフェクトを強めにかけて細かいフレーズを入りたりアンプでのハウリングをさせながら盛り上げ、そこから入る "In the Air" のリフが期待感を爆上げし、他のメンバーが加わる流れがまさにカッコいいバンド。リフに特徴がありつつ歌メロがラルクらしくて個性的。この2曲とも、アルバム1曲目というのも名刺のような自己紹介的な曲ということかもしれませんね。

そして "In the Air" は絵的に素晴らしく、hyde が旗を掲げ (ほんと旗を掲げるスタイルが似合い過ぎ。AWAKE のライブ時もかっこ良かったですね) が tetsuya の隣に行き、ラストは2人で並んで演奏する姿が「尊い」場面でした。

東京ドーム前の電光掲示板 1

ここからエンタメ路線と秦野猛行さん手タレデビュー

mc が入り、ライブのコンセプトの話感謝の言葉などがあった後、暗い曲ばかり続いたけどここからエンタメ (初日コメント)、あげていく感じの曲をやります (歌詞は暗いけど)、自分の誕生日を自分で仕切らせてもらうので自分がやりたい曲をやるからいいよねといった主旨のトーク。(言葉通りではありません)

the Fourth Avenue Cafe (4th 1996 "TRUE")
metropolis (Single 1998 "winter fall" 2曲目)
get out from the shell (8th 2000 "REAL")
HONEY (Single 1998) (7th 1999 "RAY")
いばらの涙 (7th 1999 "RAY")
Shout at the Devil (5th 1998 "HEART")

『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』ED の "the Fourth Avenue Cafe" で始まり、エンタメセクションの目玉となった隠れた名曲 "metropolis" へ。アレンジがファンクやソウルでおなじみのクラビネット音色でのキーボードのパッキングが前面に出ていてだいぶ印象が変わりましたが、いいなぁ、と思ってたらなんとラストの方でサポート秦野さんの手元のアップ映像が。今まで手元映したことあったっけというくらいレアな演出。2日目は知らない間に固定カメラがズレてしまったのか、後半修正されるまではひたすらキーボードのみが映り、本人が撮影禁止とか言ったのかなと心配しましたが、違ったようで安心しました。

さらに、これまたアルバム1曲目の "get out from the shell" に続いてヒット曲 "HONEY" はかなりヘビー目の歌と演奏で、若い頃とは違ったロックな感じが増していてこの流れにも合っていました。さらにヘビーな名曲 "いばらの涙" はイントロのアルペジオに絡めた歌が美しく儚げラルクらしさの高い楽曲。

メインステージの締めとなった "Shout at the Devil" は定番のキメ曲ですが、旗を振りかざして歌う hyde の姿が本当に絵になっていて、目力や表情、旗を振る姿など革命のリーダーが先頭にたって道を開く印象が強いですね。ラストに yukihiro のドラムソロがついて休憩。

2日目はウェーブしてくださいのメッセージがあり、多方向の確度で交差する複雑なウェーブとなりました。

チラシ本

サブステージでの Happy Birthday 祝い

真実と幻想と (6th 1999 "ARK")
ALONE EN LA VIDA (11th 2007 "KISS")
(Happy Birthday to You)
叙情詩 (10th 2005 "AWAKE") ★1/18 のみ
雪の足跡 (11th 2007 "KISS") ◆1/19 のみ

yukihiro が花道に現れると花束をドラムセットの前に置き、"真実と幻想と" がドラムのみでスタート。他のメンバーが入り炎に囲まれた中で演奏。静かなリフの上に美しいメロディがのるラルクらしい楽曲の1つですが、ダークさと繊細さのバランスが良いですね。

2日目は ken のギターが入り損ねて、hyde が mc 時に止めようか迷ったけどこういう時にそれを乗り越えてそのまま行くのがラルクだからと。ken に事情を聞くとピックを弦に刺したまま弾いてしまったからというオチでした。ステージ上にはバンドロゴと王冠が投影されていたり、いろいろ細かい演出が楽しいです。

mc では、34年もやっているとその時代その時代の考え方が変化していて、その時の考えが詩になっているので、それを思い出しながら歌っていますといった話があった後、"ALONE EN LA VIDA" の2日目は hyde が涙しながら歌っていたのは、初日にもコメントしてましたが、とある出来事 (すみません、主旨がはっきり記憶できてないです) があった時に作った曲とのことで、こういった感情と歌が深くつながっているのがわかる一幕でした。

"Happy Birthday to You" のオケ録音に合わせて会場全体で歌い、最後に 3-2-1 Happy Birthday の Birthday で全員持参のクラッカーを鳴らす5万人の儀式は希有な体験。そんなことができるアーティストもまず滅多にいないと思いますが、私は初めてでした。

みんなの歌に感謝を込めてと初日は "叙情詩" をなんと1番は声のみでフルに歌いきり、2番からバンドが参加。東京ドームの空間で5万人の前で声ひとつは歌唱力が丸裸にされる感じで、圧倒的に希有な歌い手の1人であることを印象づけました。

2日目は "雪の足跡" に差し替わりました。hyde 選曲ならばこの曲は絶対にやるだろうと最初に予想した曲でしたが、初日にはなく、こんなところで出てきました。良い曲ですね。"叙情詩" では天井に田園風景が出ていたと思いますが、2日目はカテドラルのステンドグラスだったので、あれ? と思っていたら嬉しいプレゼントでした。

メインステージに戻ってのラスト

YOU GOTTA RUN (Single 2024)
Caress of Venus (4th 1996 "TRUE")
Link (11th 2007 "KISS") ★1/18 のみ
READY STEADY GO (Single 2004) (9th 2004 "SMILE") ◆1/19 のみ
あなた (5th 1998 "HEART") + (Happy Birthday ending)

2日目の mc で、hyde が「風呂を入れたら、湯が足らん」というギャグをかましてから、新曲 "YOU GOTTA RUN" を披露し (2日目の方が良かった)、"Caress of Venus"。この曲はラルクで一番と言っていいくらいメンバーが心から楽しそうにノリノリで演奏し、グルーヴの気持ちいい曲。相変わらず一体感も素晴らしいですね。2日目は yukihiro がニコニコして叩いてました。真ん中のスクリーン3枚になる時に、センターが hyde、左右にメンバーが1人ずつ出るのですが、片方を左右反転させることでシンメトリーにしている演出が良かったです。

mc で hyde からメンバーそれぞれに質問をするコーナーを経て初日は "Link"、2日目は "READY STEADY GO" と『鋼の錬金術師』関係の2曲を入替。

ラストの "あなた" は5万人の全員合唱を hyde がサブステージにちょこんと座って聴く (初日)、仰向けに寝て浴びる (2日目) が印象的でした。会場全体が歌うのを聴く幸せを噛みしめたく2日ともこの曲になったのですね。結果的に "" をやらなかったのは納得です。代わりに天井に虹の映像が出ていました。(細かい演出!)

東京ドーム前の電光掲示板 2

終演後のプレゼント

サプライズで花束と、hyde が大好きなレッサーパンダをぬいぐるみで探してきたという tetsuya。いやほんと可愛いので売り切れるのでは? (初日)。2日目は、ken が大きな花束と何かの包みをプレゼントし、tetsuya が花束とレッサーパンダのリュックをしょって現れて hyde に背負わせたのがカメラのアップになるたびに会場から「可愛い」という声が。こっちの方が売り切れそうです。(ちなみに yukihiro はサブステージに2日とも hyde 用の花束を持って花道を歩いてました)

2日目はライブビューイングでしたが、2/14 ディレイビューイングがあるそうです。

ライブビューイング観た方のコメントで、ドキュメンタリーのように美しかったと。

カメラワークのみならずスイッチングも細かく計算されていて大満足でした。

4月には WOWOW 独占放送・配信

そして、See you in 35th L'Anniversary Year とのことで、来年もライブしてくれそうですね。

最後に

個人的には、51と52回目のラルクのライブ参加となりました。それだけの回数行き続けたいと思えるのは、行く都度に涙が出るような体験ができるからかもしれません。これは CD などで楽曲を聴いてるだけだとわからないので、別ものですね。

今回は hyde 誕生祭というコンセプトのライブなだけに、楽曲がダークでロックでラルクらしさが満載でした。こういった路線に近い海外の主に売れ線のハードロックやメタルと比較すると、海外勢は歌や演奏の存在感、パンチが平均的にすごい一方で、楽曲の多様な展開やメロディアスなフレーズやカウンターメロディとなる楽器の入り方は少なめなことが多い印象です。もちろんプログレ寄りやシンフォニックメタルなど例外はたくさんありますが、あくまで平均的には。

その印象の違いは、主に英語など西欧の言語の場合、豊富なイントネーションやアクセント、子音が立つことからリズムでメロディを作る傾向が比較的強いからかもしれません。日本語の場合、母音に合わせてメロディを作ると長音なメロディになりがちという限界があるため、サザン・オールスターズあたりから歌詞の載せ方が自由になったという J-POP 進化の果てに、母音に支配されない美しいメロありきで作曲しつつも歌詞も自由に載せる文化という恩恵もあるかもしれません。

しかも、一般的には一つくらいのモチーフとそのバリエーションで一曲通すことすらある売れ線なメタルと比較して、ラルクの場合は3弾から時には4弾の異なる展開を入れて変化をつける曲が多く、さらに tetsuya 独特のベースラインが歌と競うように縦横無尽に走り回る (一般的なベースラインに差し替えたらだいぶ印象が変わると思います) 唯一無二のスタイルも加算され、そこに hyde という圧倒的な個性を加えることによる特異性なのかもしれません。もちろん ken のギターや楽曲yukihiro のドラムや楽曲も特異性です。これからも楽しみなバンドです。

セトリまとめ

[main stage]
DRINK IT DOWN (Single 2008) (12th 2012 "BUTTERFLY")
X X X (Single 2011) (12th 2012 "BUTTERFLY")
CHASE (Single 2011) (12th 2012 "BUTTERFLY")
fate (5th 1998 "HEART")
花葬 (Single 1998) (7th 1999 "RAY")
浸食 〜lose control〜 (Single 1998) (7th 1999 "RAY")
EVERLASTING (Single 2014)
forbidden lover (Single 1998) (6th 1999 "ARK")
接吻 (9th 2004 "SMILE")
In the Air (2nd 1994 "TIERRA")
the Fourth Avenue Cafe (4th 1996 "TRUE")
metropolis (Single 1998 "winter fall" 2曲目)
get out from the shell (8th 2000 "REAL")
HONEY (7th 1999 "RAY")
いばらの涙 (7th 1999 "RAY")
Shout at the Devil (5th 1998 "HEART")

[sub stage]
真実と幻想と (6th 1999 "ARK")
ALONE EN LA VIDA (11th 2007 "KISS")
(Happy Birthday to You)
叙情詩 (10th 2005 "AWAKE") ★1/18 のみ
雪の足跡 (11th 2007 "KISS") ◆1/19 のみ

[main stage]
YOU GOTTA RUN (Single 2024)
Caress of Venus (4th 1996 "TRUE")
Link (11th 2007 "KISS") ★1/18 のみ
READY STEADY GO (Single 2004) (9th 2004 "SMILE") ◆1/19 のみ
あなた (5th 1998 "HEART") + (Happy Birthday ending)

(2025/1/27 追記)
追記時点で ビュー数 11000 を超えました。ありがとうございます。
1/21 に「note 編集部の「今日の注目記事」に選んでいただいたことが大きかったとおもいます。こちらも感謝です。
さて、上記で紹介した DELAY VIEWING が発表となりました。 一日しかないので争奪戦になりそうですね。やはり劇場の大画面でファンの人たちと観るのはテレビ画面とは別物でしょうね。


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