「PERFECT DAYS」を見て
映画「PERFECT DAYS」を見た。
とても素晴らしい映画だった。
少しばかり私が感じたことを書き留めておこうと思う。
主人公は墨田区の小さなアパートに住んで、トイレ掃除の仕事をしている。
毎日同じような繰り返し。
しかしそんななかでもちょっといつもと違うことが起こったりする。
仕事へ向かう途中に聴くカセットの音が心地よい。
主人公はカセットで音楽をきき、フィルムカメラで写真を撮りガラケーを使う。
そんな昔ながらの人だ。
「影は重なったら濃くなるのか」
「濃くなるに決まってるじゃないか」
こんなやりとりが途中で出てくる。
実際には影が濃くなるはずはないのだが、主人公は濃くなると自分に言い聞かせるように言う。
同じはずなわけがない、そんなこといいわけがない。
ここから自分の存在意義を問うようなそんな感情を感じた。
自身の存在が世界にどんな意味があるのか、何かないとおかしい。そんな問いかけではないだろうか。
しかしそんな気持ちを秘めながらも、主人公は日々の暮らしを楽しんでいるように見える。
同じような毎日の中でも、木々の木漏れ日に美しさを感じ、ちょっとしたやりとりから幸せを感じる。
毎日が同じだからこそちょっとした変化に気づけるのだろうか。
その生活は見ていてとても美しい。
映画では都市の風景もよく映される。
この映画で印象的なのは東京スカイツリーだ。
毎日主人公はそれを眺めながら出勤する。
スカイツリーは昔はなかったのだから変化した風景だ。
また、取り壊された住居も出てくる。
そこに何があったのか、家の近くなのに思い出せない。
変化することの儚さも感じる。
主人公が通う店の女将さんが
「どうして同じままでいられないんでしょうね」
というシーンもある。
変わるものと変わらないもの、
どちらもある世界でどのように生きるのか、それを考えさせられた。
「この世界には繋がっているようで繋がっていない世界がある」
物語の途中で主人公がそう話すシーンがある。
そんなさまざまな世界を少しずつ知りつつ、自分の世界で生きる。
日々の小さな変化にも目を向け、小さな幸せを感じる。
そんな生き方もいいなと思った。