2025年の年金制度改正
こんにちは。2025年公的年金制度の法改正に向けた審議が昨年2022年10月からはじまりました。今回は、そこで検討されている項目について紹介しま
す。
1.はじめに
報道されている通り、日本では少子化・高齢化が加速し、年金財政は厳しさを増しています。人口構造の変化、健康寿命の伸長や高齢者就労の広がりなどに対応して年金制度を変えていくことが求められています。基礎年金の給付額を維持しつつ、年金財源を確保するために、公的年金制度の改正が求められています。今、議論されている4項目(2~5)は次の通りです。
2.国民年金の加入期間の延長40年から45年へ
現在の国民年金の納付期間は20歳から59歳までの40年間ですが、これを20歳から64歳までの45年間とすることが、政府で検討されています。もしこのような改正が行われれば、個人負担が5年分増えます。
令和5年度の国民年金保険料は月額16520円です。この金額に増減がなければ、国民年金の第1号被保険者(自営業者など)の延長期間(5年間)の負担額は
16,520円×12ヵ月×5年=99,120円で、約100万円の負担が増加します。
3.厚生年金の被保険者期間を「70歳まで」から「75歳まで」に延長
会社員や公務員などが加入する厚生年金は、国民年金より長く、最長で70歳まで保険料を支払います。それが5年延びて「75歳まで」加入になる可能性があります。その分年金保険料を継続して納めるので、年金支給額は増えていきます。
2022年4月より適用された「在職定時改定」とは、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、毎年10月に年金額を改定し、それまでに収めた保険料が、年金額に反映される制度です。75歳まで厚生年金に加入できれば、70歳以降も毎年年金額が増えつづけていくことが予想されます。
4.厚生年金加入の適用拡大
2022年4月から、厚生年金被保険者の加入条件が緩和され、短時間労働者については、従業員数が101人以上の企業に勤務し、週20時間以上働き、月収が8.8万円以上であることが必要です。令和6年10月からは、さらに51人以上の企業等で働く短時間労働者も対象となります。今後、厚生年金加入のさらなる適用拡大が予想されます。
5.マクロ経済スライドの延長(年金が実質減額)
公的年金支給額は物価や賃金の変動に応じて、毎年改定されます。しかし、年金の被保険者は減少し、年金支給額は増え続けており、限りある年金財源とのバランスを考慮して年金の上昇率を抑えなければなりません。これを「マクロ経済スライド」といい、年金支給額の減額を意味します。現行では、厚生年金の報酬比例部分は2025年まで、国民年金は2046年まで、マクロ経済スライドを行います。今回の改正案では、どちらも2033年までとする「マクロ経済スライドの期間統一」が検討されています。この改正案が実施されることになれば、厚生年金の受給者にとって、支給額の減少が延長されます。
6.まとめ
上記の改正については、2025年の通常国会で改正法案提出を目指して、現在政府が検討しています。年金財源を確保するために、加入期間の延長、加入対象者の拡大、年金支給額の減額という手法で検討され続けていくかもしれません。早期退職者で退職以降働くつもりのない人は、65歳から退職時年齢を引いた期間の国民年金保険料負担分を貯蓄しておいた方がよいでしょう。それと同時に、心身ともにいつも健康でいられるために、日常生活の工夫も必要でしょう。
ありがとうございます。