「懲らしめのムチのある家で育った私たち」

朝日が差し込む佐藤家の台所。14歳の彩花は、制服のリボンを整えながら、ため息をつきました。

「彩花、早くしないと遅刻するわよ」明美の声が響きます。

「はい、お母さん」彩花は小さく返事をしました。

明美は娘の前に朝食を置きながら、厳しい表情で言いました。「今日の放課後の宗教活動、忘れないでね」

彩花は黙ってうなずきました。しかし、彼女の心の中では別の思いが渦巻いていました。今日は演劇部の重要な練習日。でも、それを母に言うことはできません。

「いってきます」彩花は平静を装って家を出ました。

学校への道すがら、彩花の頭の中は混乱していました。厳格な宗教家庭で育てられた彼女。しかし最近、自分の信仰に疑問を感じ始めていました。演劇への情熱、友達との普通の付き合い、そういった「世俗的」なものへの憧れが日に日に強くなっています。

教室に着くと、親友の美香が笑顔で近づいてきました。
「彩花、今日の練習楽しみだね!」

彩花は微笑みを返しましたが、心の中で葛藤していました。練習に行けば母を裏切ることになる。でも、行かなければ友達や自分の夢を裏切ることになる。

授業が始まり、彩花は窓の外を見つめました。これから彼女はどんな選択をするのか。そして、その選択は彼女の人生をどう変えていくのか。教室に響く先生の声を背景に、彩花の心は激しく揺れ動いていました。

放課後、彩花は教室を出る前に深呼吸をしました。廊下では美香が待っています。

「彩花、行こう!今日の練習、主役の台詞を確認するんだって」美香は興奮気味に言いました。

彩花は躊躇しながら答えました。「ごめん、美香。今日は...家の用事があるの」

美香の表情が曇ります。「えー、また?最近よく休むね。大丈夫?」

「うん、大丈夫」彩花は微笑みを装いました。しかし、心の中では自己嫌悪に苛まれていました。

彩花は重い足取りで家路につきました。途中、教会の前を通ります。そこで母・明美が待っているはずです。

教会に近づくにつれ、彩花の心臓は早鐘を打ちました。そのとき、ふと目に入ったのは、道路の向こう側にある小さな劇場でした。ポスターには「高校演劇コンクール」の文字が。

彩花は立ち止まりました。劇場と教会。二つの建物が、彼女の心を引き裂くかのように立っています。

「彩花!」明美の声に、彩花は我に返りました。

「お母さん...」

明美は厳しい表情で娘を見ました。「遅いわ。宗教活動の時間は貴重なのよ」

彩花は黙ってうなずき、母の後に続いて教会に入りました。しかし、彼女の心はまだ劇場の方を向いていました。

教会の中、信者たちが聖書を読み、讃美歌を歌っています。彩花も口を動かしますが、心ここにあらずの様子です。

その夜、自室で彩花は日記を開きました。

『親愛なる日記へ
今日も嘘をついてしまった。友達にも、お母さんにも、そして神様にも。
でも、本当の私はどこにいるの?演劇を愛する私は罪深いの?
これからどうすればいいんだろう...』

ペンを置いた彩花の頬には、一筋の涙が伝っていました。

翌朝、彩花は目覚めると同時に胸の重さを感じました。昨夜の日記の言葉が頭の中でこだまします。

朝食の席で、明美が彩花に声をかけました。「彩花、来週の土曜日に特別な集会があるわ。長老の方々も来られるから、きちんとした服装で参加するのよ」

彩花は箸を止めました。その日は演劇部の発表会でした。

「お母さん、その日は...」彩花は言いよどみました。

「何かあるの?」明美の眉が寄ります。

一瞬の躊躇の後、彩花は決意を固めました。「実は...演劇部の発表会があるの」

明美の表情が凍りつきました。「演劇部?いつからそんなことを?」

彩花は震える声で説明し始めました。「3ヶ月前から...みんなと一緒に練習してて...」

明美の顔が怒りで歪みます。「神様の教えに背く行為だわ!すぐにやめなさい!」

「でも、お母さん!」彩花は必死に訴えました。「演劇は私にとって大切なの。自分を表現できる唯一の場所なの」

「黙りなさい!」明美は立ち上がり、彩花の腕をつかみました。「こんな世俗的な活動に参加するなんて...罰が必要ね」

明美は彩花を別室に連れて行きました。そこでは、いつもの「懲らしめ」が待っていました。

明美は厳しい表情で彩花を見つめ、命令するように言います。「彩花、ソファに向かって立ちなさい。手をソファの背もたれに置きなさい」

彩花は躊躇いながらも、震える足で言われた通りにします。

「スカートをめくりなさい。下着は下ろして」明美の声に容赦はありません。

彩花は涙ぐみながら、ゆっくりと従います。「お母さん...お願い...」

「黙りなさい。肌の状態を確認するわ」明美は彩花の背後に立ち、冷静に言います。「以前の跡はほぼ消えているわね。10回よ。大きな声ではっきりと数えなさい」

プラスチック定規が空気を切る音がし、最初の一撃が降り注ぎます。

パシッ!

「い、一つ...」彩花は痛みをこらえながら小さく言います。

「聞こえないわ。もっと大きな声で」明美は冷たく言います。

「一つ!」彩花は涙を堪えながら叫びます。

打撃が続く中、明美は厳しく指示を出し続けます。「背筋を伸ばしなさい」「動かないで」「しっかりと数えなさい」

パシッ!パシッ!パシッ!

「五つ...六つ...七つ...」

明美は一旦手を止めます。「お尻が赤くなってきたわね。でも、まだ半分よ」

彩花は震えながら答えます。「お願い...もうお尻が...」

「続けるわよ。下着はそのままにしなさい」明美の声は厳しさを増します。

パシッ!パシッ!

「八つ...九つ...」彩花の声は涙で震えています。

最後の一撃が特に強く降り注ぎます。

パシッ!

「十!」彩花は声を絞り出します。

明美は短く祈りを捧げ、「服を直しなさい」と言います。

彩花は痛みをこらえながらゆっくりと下着を上げ、スカートを整えます。

「これからは素直に従うのよ。分かった?」明美が問いかけます。

「はい...」彩花は小さく答えます。心の中では、痛みと恥ずかしさ、そして複雑な感情が渦巻いています。

明美はため息をつき、少し表情を和らげます。「これは愛ゆえの懲らしめよ。あなたを正しい道に導くため。分かる?」

彩花はうなずきます。「はい...分かります...」

しかし、彼女の心の中では、演劇への情熱、母への愛情、信仰への疑問が激しくぶつかり合っています。この経験が、彩花の人生をどう変えていくのか、まだ誰にも分かりません。第2話に続きます……。


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