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琵琶湖一周ツーリングキャンプに行った時の話をしよう。その2
兄ちゃん、それでどこいくん?
仙台から名古屋まで、メイト90という非力なバイクで行こうとしている、明らかに挙動が不審な男がキョロキョロしているのだから、関西人としてはイジりがいがあるのだろう。太平洋フェリー、名古屋行きのバイクの待機列で話しかけられた。
名古屋から琵琶湖に行こうと思ってるんです、と返すが、そこからはほとんどが自分の話。なんというか、明らかに大阪のおっちゃんという感じであった。話しの内容はほとんど覚えていないが、日本を今まで4周くらいしたわ、と言っていた事はなんとなく覚えている。後ろに控えている荷物を積んだスカイウェイブ650からは、それも本当なのかもしれないと思わせる説得力を感じた。
はい、ではエンジンをかけてください。の声で話は終了。助かった。ちょうど12時頃、バイクを船に乗せる時間となり、エンジンをかける。ほなまたな、と聞こえた気がした。
バイクは一列に太平洋フェリー「きそ」の船内へ。船員の誘導で壁側にバイクをつけ、指示のもとギアをローへ入れる。階段を上がり、船内へ。
寝室となるB寝台に荷物を置き、缶ビールを持ちロビーに。そしたらピアニストがいて、ピアノを弾いている。これが船上のピアニストかと、観てもいないのに思う。
甲板で缶ビールを開ける。この日は嘘みたいに晴れていてビールが美味い。乗る前に買っていた缶ビール2本はあっという間になくなる。そして出航。生まれて初めての瞬間なので気分が上がる。
船内に戻り、中を物色。なんと映画上映があるらしい。タイトルはついこないだ映画館でかかっていたけど、まだ配信もレンタルもされていない絶妙なラインナップ。自分はまだ観たことがない映画だし、あと10分くらいで上映開始のようだ。観てみようかと思っていたら…。
謎の関西弁のおっさんに絡まれた。
(続く)