ショートコント「応援されたい」
A「私、最近友人と一緒に観に行ったのがキッカケで野球観戦にハマってるの。」
B「ほう。あんまりスポーツ見てるイメージのないAにしては珍しいことだね。」
A「うん。その野球観戦にハマりだしてから気づいたことなんだけど、応援歌歌って選手後押しするの楽しくて、ファン同士で喜びや悔しさを分かち合うようなあの一体感がたまらなくってさ。」
B「なるほどね。そこに魅力を感じているんだ。まぁでも、スポーツ観戦ってそれが醍醐味なところありますからね。」
A「ただ、選手からしたらあれだけ大勢のファンに応援してもらえるのも野球の魅力の一つな気がする。」
B「確かに。実は俺も高校まで野球してて甲子園目指してたんだけど、学校全体で出場できるように全校応援で球場来てくれたりしたし、吹奏楽部とかチア部なんかは自分達のために演奏とか踊りとか、創作を発表してくれたりまでしてくれたなぁ。」
A「でしょ? ほんと青春してんじゃん。」
B「野球自体が伝統的で人気だからね。甲子園こそ出られなかったけど、最高の仲間に、そして最高の応援に。良い思い出だったなって思うわ。」
A「羨ましい。私さ、野球選手やってみたいんだよね。選手の気持ちを少しでも味わってみたくて…ちょっと私を応援してくれない?」
B「おお、分かった。じゃあ俺がファンやればいい?」
A「うん。ちょっと私にパワーをちょうだい。」
(Aがバッター役を務め、Bが球場のファン役を演じる)
B「よし、チャンスで我がウチのチームの主砲、Aがバッターボックスへ! ホームラン一発ぶちかましてくれ。そ~れ、(ホームランボールをスタンドまで)持って来い!持って来い!A~!」
(Aがボールを持ってスタンドにいるBまで歩み寄る)
B「持って来い!持って来い!A~!持って来い!持って来い!A~!持って来い!持って来い。A…は? 打席は?」
(応援してるうちに、Aが打席に立たずにこちら側に歩み寄ってくる動きに異変を感じる)
(AがBにボールを渡す)
A「はい、どうぞ。」
B「いや何で手渡しなんだよ!ホームランボール持って来いよ!」
A「え、だってあれだけ持ってくること求めてたじゃん。」
B「これ試合中なのに、誰が手渡しで持ってこられたボールで喜ぶんだよ!そんなものに大勢の熱狂的なファンいてたまるかよ!」
A「でもサイン入りだよこれ。サイン会だったら喜ぶでしょ?」
B「誰が今サイン会やれっつったんだよ! 目的が違うの!」