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私が日記を覗くとき、私もまた日記を覗かれている

ゲストハウスで目を覚まし、備え付けのワークスペースで日記を書く優雅な朝を迎えている。

東京にはライブを見にきただけだが、木曜で日帰りはしんどいので金曜(今日)も有給をとっている。月曜は祝日なのでなんと5連休だ。
宿は3日押さえている。ドミトリータイプなので一泊4000円くらい。

僕はホテルのグレードがそこまで気にならない。基本的に不便を許容すれば値段が下がっていくが、日本の宿はどれだけ安くても最低限のホスピタリティは担保されていると思う。

それに安いことは悪いことばかりではない。客層や文化圏が変わる面白さがある。ドミトリーには海外から来ているバックパッカーが多くいて、特段交流することもないんだけど、そこに混じっている感覚はなんだか良いものだ。


昨日の出来事を書こうと思う。

夜行バスで朝6時ごろに東京につき、仕事をしなくてはいけなかったので10時まで漫画喫茶的なところで作業をしていた。そこはなんとカレーが無料だった。食費はできるだけ削減するつもりだったのでとてもありがたい。
必要以上に腹に詰め込んでおく。

近くに皇居があったので一周した。何やら警備が厳重だなと思ったら、馬に乗った格式が高そうな人がいっぱい出てきた。中央にはおそらくとても偉い人が馬車に揺られている。あれが天皇なんだろうか。

日本に住んでいるが、今の天皇がどんな立場なのかよくわかっていない。
生きてるだけで注目されて大変だろうが、馬車に乗れるのはいいなと思う。


皇居を後にした後、唯一行こうと思っていた謎屋珈琲という一人で謎解きができるカフェに向かった。徒歩1.5時間くらいで距離もちょうど良い。

向かう途中に神保町があったのでいろんな本屋に寄った。
雰囲気のある古書店は冷やかしで入ってみたさもあるが、怖いので行けていない。
一番興味を引いたのは、棚をブースとして販売し個人で本を販売できる書店だ。それぞれの棚に個性があって面白い。ただ購入に至るほど惹かれた本はなかった。

良い形式の本屋だなとは思ったものの、求めているものと少し違った感じもした。では今自分はどんな本が読みたいのだろうか。
カフェに向かって歩きながら考え、ある程度結論を出せた。

基本的に少しでも興味を引くものは全て読みたいと思っているが、読書は体力がいるので仕事が忙しいと何も読めない。だから買わないし読まない。
これに尽きる。

だから書店に並んでいる本であるという時点で、購入のハードルはかなり高くなってしまう。

ただ、それでも自分は活字を読みたい欲求はあるのだ。本を読めない以上、何でそれを満たすのか。
思いついたのが日記だ。実際自分はnoteで他人の日記をよく読んでいる。

誰のために書いたものでもない、個人の記録のような日記が良い。
日々の出来事は大きな起伏もない、摂取するのにちょうど良いインスタントでリアルな物語だ。他人の人生を覗き見るのはとても面白い。

他人の日記を集めてガチャみたいに販売できないだろうか。
売れると思うんだけどな。もう直ぐ退職するし、このアイデアで起業してみても良いかもしれない。

そういえば、大学の時にランダムで他人の日記と中身がまるまる入れ替わる日記のアプリを開発していたことを思い出した。結局リリースまで至らなかったけど、似たようなことは以前からやっていた。

自分はそこに明確に価値を感じている。
SNSでも表に出さないような、他人の内面の深い部分を知りたくてたまらない。


謎屋珈琲での謎解きは1箇所全然わからない部分があって90分ほどかかってしまった。所定の時間丁度くらいだけどもう少し早く解きたかったな。

どうしようもなくて、つまづいた部分はヒントを聞いたけれどあまり納得いっていない部分もある。謎解きというものの性質上仕方ないけれど、前提となる物語と破綻しないようにうまく繋ごうとした結果、あまりにも架空の出来事すぎるものが出来上がる。

いっそ物語性を廃してくれた方が潔いのにな。
現代において、一般人が簡単に解けるような暗号を残す意味などないのだから、没入しきれずにどこか白けた目で見てしまうのだ。

…嫌な客だな。謎を作るのに物語があった方がやりやすいということも解るので本当に仕方ないとは思っています。


ライブは入場が9番目のチケットだったので、最前列ど真ん中に陣取ることが出来た。
開演まで待っていると、隣の大学生らしき男が話しかけてきた。
お一人様ですか、とか、好きな曲なんですか、とか当たり障りのない雑談を仕掛けてくる。

こういう表面をなぞるような会話は謎解きで疲れた脳には向いていない。
「cadodeの曲は、全てを諦観しているけど、そのどうしようもない結末をポジティブに捉えているように感じて好きなんですよね。あなたはどう思いますか?」って来てくれないと。

あまり興味なさげな雰囲気を出しながら当たり障りのない返事をしていたら、向こうも察したようで他の女子大生らしき人物と仲良くなっていた。凄いなと思う。

女子大生とキャッキャできるのは羨ましくもあるが、自分は一人が良い。
というよりは、自分が求める丁度良い距離感を作るのは本当に難しいので最初から諦めているだけか。

ライブの最中も、終わった後も、浸る時間に自分と音楽以外は必要ない。
そこを考慮してくれる人間とだけ仲良くしたいが、無理な話だろう。


日記を書いていたらもうお昼だ!
今日はどこに行くか何も決めていないが、平日なのは今日が最後なので外に出なきゃ勿体無い。

とりあえず、最寄りの浅草にでも行ってみようか。

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