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塔を求めて30000歩

東京滞在2日目。
特に行くあても決めていないので、最寄りの浅草をぶらっと歩いて散策することにした。

平日だというのに人でごった返していて驚いた。外国人が多くてインバウンドの影響の大きさを感じる。グローバル化が進むのはとてもいいことだと思っているが、単純に人が多いのは好きではない。

無駄遣いしたくないので、商店街は素通りして本堂に参拝しに行った。
お寺はお香の匂いがするのと内部がギラギラの荘厳な装飾がなされているところ好きだ。残念ながら中央に仏像は見えなかった。後で調べたら秘仏というもので奥にいるらしい。

賽銭箱に五円を投げ入れ、幸せになれますようにと願っておいた。
他に願うものとして恋人や金や名誉などが思い当たったが、どれも幸福へ近づくための手段でしかない。幸せであれば全ていらないとも言える。


浅草寺を後にして、東京スカイツリーに向かった。
見晴らしのいいところに行けば見えるので、マップを見なくても辿り着ける。デカすぎて距離感が掴みづらかったが、思ったより近くて30分ほど歩いたら着いた。

スカイツリーは登るより麓から見上げてみたい思いが強かった。ごんぶとの支柱が大地に突き刺さってるのをみてデカさを身近に感じたい。

ただ、残念ながらスカイツリーの足はソラマチの壁に阻まれて見れなかった。デッキには登っていないけど、もしかしたら行く途中に見れるのだろうか。その賭けに二千円弱を払う気にはなれない。


お昼時だったので飯を探しつつマップを見ていると、近くに塩とたばこの博物館というものを見つけた。

ここはとても面白かった!
特に塩の展示が素晴らしい。
動物は元々海から生まれたので、進化の過程で陸に上がるには体液という名の海を内包する必要があった。
それを維持するために、塩の摂取は必要不可欠なのだという。

そんな秘密があったなんて!
面白い漫画の伏線回収が綺麗に決まった瞬間に立ち会ったような感覚だ。
やっぱり人間って、面白!!

あとは塩を作る過程や用途の解説があったり。
じっくりまじまじと読んだ。人といると流し見しがちなので、博物館は一人で行ったほうがいいな。

これから自分は、無人島連れて行かれてもかん水を作れます。
揚浜、やっちゃいます。

タバコの展示も良かったけど、塩の展示ほど惹かれるものはなかった。
自分はシーシャをちょっと吸ったことがあるだけでタバコとはまるで縁がない。

タバコというものの原料が思ったより植物まんまだったのが意外だった。もっと化学薬品とか使われてるものだと思っていた。

原料となる植物はナス科の2種類しかなく、模型があったけどかなりでかい。自分の興味はどちらかというとなぜここまで人が夢中になっているのか、なぜ2種類の植物しか使われていないのか、タバコの原理やもたらす影響はどんなものかについて知りたかったけれど、その辺の解説はほとんどなく、歴史についての展示ばかりだった。

葉巻というものが本当にただタバコの葉っぱが巻かれて出来たものだと知れたのは良かった。名前がそのまますぎるし、見た目も実は葉っぱそのままだ。

タバコは悪いものだと教育されたから手を出してこなかったけど、少し時代が違っていたら普通に吸ってただろうな。

吸わない選択が果たしていいものかどうかはわからない。


博物館に思ったより長く滞在してしまって、15時近くになっている。完全に昼時を逃してしまった。
錦糸町まで向かい、揚げ物が食べたかったのでてんやで天丼と蕎麦のセットを注文する。

空腹も相まってか、この天丼が本当に感動するぐらい美味しかった。てんやってこんなに美味いのか。天丼単品だと560円らしい。すごすぎる。
具材がとろとろになっていて、口に入れると衣と溶け合って最高の状態になる。油もくどくない。
名古屋はそこまで店舗数がないのでほとんど行ったことがなかったけど、こんなに美味いならもっと増えてくれよ。頼むから。


また目的地がなくなったので、スカイツリーを見たし、東京タワーも見ておくかという気持ちで歩き始めた。徒歩2時間くらいだし行ける気がする。

歩きながら街を見るのが好きなので、目的地は割となんでもいい。道中の方が大事。

折角なら海も見ておこうかと思って隅田川の河川敷を歩くことにした。
釣り人やランニングしている人も多く、すぐ隣は煌びやかな都会だというのにどこかのどかな雰囲気を感じる。

ピアノのジブリ音楽を聴きながら歩く時間は格別だった。海の見える街は本当に素晴らしい曲だ。魔女宅見たことないんだけど。

1時間ほど歩き続けてふと地図を見ていると、本流から外れてしまっていた。東京タワーとは逆方向に歩いている。

気を取り直して軌道修正する。海まで行こうと思ったいたが流石にしんどいので、街へ出ることにした。

新橋まで来て、足が疲れていることに気づく。
アプリで歩数を調べてみると32000歩と書いてあった。もう日も暮れていて、なんかタワーまで歩く気分では無くなってしまった。
宿のある浅草まで地下鉄に乗って帰る。こういう行き当たりばったりのプラン変更ができるのが一人旅の良さだ。他に誰か同行していたとしたら、あまりの計画性の無さにキレているだろう。


ゲストハウスまで戻ってきて、近くにあった銭湯に行く。
地元の人しか利用し無さそうな、ローカル感溢れた場所だった。

44度の熱いお湯があったので肩まで浸かる。
体が弛緩し湯に溶け出す感覚。歩き疲れた後のお湯は最高だ。

一番広い風呂にはお年寄りが沢山浸かっている。隙間を見つけて自分も入ると、隣の人に話しかけられた。

  • 自分がいい人に見えるから声をかけた。みんなに話しているわけではない。

  • とにかく親孝行をしなさい。自分が親になった時に帰ってくるから。

  • どんなことを話せる友人を1人作りなさい。多くはいらない。

  • 私は昔炭鉱を掘っていた。海底より深いところまで掘っていた。

  • 福島のスパリゾートハワイアンズはとてもいいところだ。

この一連の流れを、10週くらい聞かされた。
話終わったのを見計らって相槌を打ったが最後、また1からループする。

全体的にいい話ではあるのだけど、2回も聞いたら十分だ。危うくのぼせかけた。でもとても楽しそうに話していたので悪い気はしない。


お茶とアイスを買って帰り、ゲストハウスに戻ってこの日記を書いている。
端折っている部分もあるのだけど、それでも結構長くなってしまった。

最初は外国人が何人もいて談笑していたけど、ポツポツと減っていき今はもう自分一人だ。
そろそろ眠くなってきた。

明日は山手線沿いを歩いてみようと思っている。
調べたら40キロあるらしい。半周くらいは出来そうかな。

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