気軽なゴミ拾いのススメ
思っていても、見過ごすゴミ
私は海ゴミが問題になっていることを知っている。もちろん、ポイ捨てはダメと知っている。だから、落ちているゴミを見ると残念な気持ちになる。
「あーあ、ダメだよ。こんな所にゴミを捨てたら」と思うのである。そして、「俺の出したゴミではない。悪い奴がいるもんだ。」と通り過ぎるのである。
徒歩での通勤時、小学生らの子供たちともすれ違う。大人たちは「ゴミを捨ててはだめ」というが、子供たち足元には、大人しか吸わないタバコの吸い殻が落ちている。
子供たちはこの矛盾をどう捉えるだろうか?
大人:「2050年には魚より海ゴミが多くなるかもしれないだぞ」
子供:(そりゃ、そうなるよね。)
大人:「だから、ゴミをポイ捨てしてはいかん!」
子供:(どの口がいうのだろうか?)
そんな事を想像しながら、私自身は、「ポイ捨てなんて、本当にダメだ。私はしないぞ、ふんふん!」と目の前のゴミを見過ごしてきた。
本当は活動をしたかった。
2017年、与論島にて、海ゴミを毎日拾っている池田龍介さんと、一緒に海岸のゴミ拾いをしたことがあった。
とても素晴らしい活動だったし、今では各地を飛び回り多くの人に影響を与えていることも凄い。私も実際に影響を受けている一人だ。
その後、海岸の清掃などを何回か自主的にしてみたが、続かなかった。自分の居る環境では、海岸が遠い事をいいわけしに。
学生時代の2006年の頃はゴーストフィッシングに関する研究もしていた。人より海ゴミ問題は早く取り組んでいる自負が、正直あった。
でも、活動できず、池田さんを羨ましいとさえ思っていた。私は活動したくても、そんな環境にいないと。
ふと、始めたゴミ拾い
徒歩での通勤になった2022年に、通勤経路にあるゴミが目についていた。半年ほどたったころ、そのゴミが雨や車の風圧で移動し、用水路などを伝って海に流れ着く当たり前のことに気づいた。
これも海ゴミではないかと。
そして、ダメだダメだ。と思っているだけで、何も活動できていない自分自身にも気づいた。
そうか、これを自分で拾えばいいではないか!
小さいトングを買って、ビニール袋をもって、通勤経路でゴミ拾いをやってみた。
初めてのゴミ拾いはドキドキした。周りの目も気になり恥ずかしいような気持ちと、やっと活動できた喜びだった。
気軽なゴミ拾いの成果と効果
10分ほどの徒歩通勤時のゴミ拾いは、晴れの日で、時間に余裕があるときと決め、無理のない範囲で実行している。拾ったゴミは会社のお世話になっている。最近は門の守衛さんが「ゴミを引き取るね~」と声をかけてくれる。
1年以上の活動の結果、圧倒的に多いのはタバコ。出張明けで数日間の活動休止後では20本近くを拾うこともある。フィルタだけでなく、箱も捨てられている。車からか、歩行者からかは不明だけど、大人の行為であることは間違いない。
次に多いのは食品包装系。ガムは意外と少なく、スティック系やお菓子、菓子パンなど歩きながら食べられる食品の袋。健康食品の袋を見ると、自分は健康で環境はどうでもいいのか?と残念になる。
未開封の食品も拾ったが、これは落とし物だと思う。一瞬、迷ったが、食べてはいない。
マスクを拾うことは嫌だったけど、最近は少なくなってきた。
毎回、片手に収まらないけど、両手には収まるくらいのゴミを拾う。1年間で大きなゴミ袋1つ以上のゴミは拾った。これが海に流れていると思うとぞっとするし、とても貢献した気になる。
気軽なゴミ拾いの一番の効果は、気持ちよく出勤できる自分の気持ちが上がることだと思う。
周りにも効果は少しずつ出てきている。社員に「ゴミ拾いをしているところを見たよ」と言われると恥ずかしいのだが、ゴミの現実を話すきっかけをもらえる。
一番うれしかったことは、喫煙者に「ゴミ拾いの姿を見て、ポイ捨てすることを辞めたよ」ということだった。
通勤時間もあまり変わらないし、背筋は強くなるし、自分の気持ちも上がる。そんな通勤時だけのトングを使った気軽なゴミ拾い。騙されたと思ってやってみてください。オススメです。
よろしければサポートをお願いします。挑戦できる社会環境を実現していきたい。