静岡市美術館 - 西洋絵画の400年
東京富士美術館に収蔵されているルネサンスから近代美術までの西洋絵画が静岡市美術館にやってきたので行ってみた。
まず学びになったのは16-19世紀の西洋では、絵画のジャンルに序列がったことである。具体的には、歴史画 > 肖像画 > 風俗画 > 風景画の順で高尚とされていた。景色などありふれたものは軽視され、「誰を描くか」がかなり重要視されていた様子。神様や偉人を描いた作品が高く評価され、写実性と描く対象の精神性が反映されたエレガントな作品が多いのが特徴的である。この時代の作品は、近代美術に比べて極めて写実的で現実的な作品が多く、作品のメッセージを読み解くのは比較的簡単だが、一目で心を掌握する圧倒的な迫力を感じた。
めちゃめちゃくだらないけど、ある神話絵でアフロディーテを描いた作品があったのだが、その説明にあったアフロディーテ誕生の一説が衝撃的だった。なんと、ウラノスという神の息子のクロノスがウラノスの男性器を切断し、海に投げた時に発生した泡から生まれたらしい。愛と美の神という通称からは想像できない壮絶的な誕生だったようだ。
中世の高尚な絵も好きだけれど、個人的に一番刺さったのは19世紀にアンリ・ル・シダネルに描かれた作品「森の小憩、ジェルブロア」である。森の小道に向かって木漏れ日が差す様子を描いた、穏やかで優雅な作品だ。この作品は、無数の点で景色からオブジェクトまでを描いた点描と呼ばれる技法で描かれているのだが、森の草木が生い茂る様子が強く現れていて斬新かつ衝撃的だった。
以上、静岡市美術館で開かれている展示「西洋絵画の400年」に行った感想だ。西洋絵画って宗教や思想的な背景もあって、現代の作品と異なる厳かな雰囲気が感じられて観ていて楽しい。今回見た作品らが常設されている東京富士美術館にも足を運んでみたいと思った。