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医療的ケア児者を抱える保護者の就労について
医療的ケア児者と保護者
先日、NHKのハートネットTV(2024年7月29日放送)にて医療的ケア児を持つ保護者の就労問題について取り上げられていた。
【見逃し配信は8/5(月)夜8:29まで】#ハートネット TV「障害のある子を育てながら働く」
— NHKハートネット (@nhk_heart) August 1, 2024
こちらから
→https://t.co/P2G1jOQ6bp
障害のある子どもを育てる親が直面する“育児と仕事の両立の壁”。
親が働き続けるために必要な支援とは何かを考えます。 pic.twitter.com/CFLAM6FkRY
なりたくてなった職業だけど、やめなくてはいけなくなった。
保護者の方にとって様々な葛藤がある中で、このようあ思いを頂いているのも我々には見えていない事実なんですね。
このように医療的ケア児は本邦において、その人口は年々増加傾向にあります。
それに伴い様々な課題も出てきています、
特に医療的ケア児は人工呼吸器や経管栄養、胃ろうなど様々なケアが24時間必要となります。
つまり、
それだけ保護者が担うケアの時間や種類、量といった多くのケアが必要ということになります。
私も、日々、臨床場面にて聞くことがあるのは、
「仕事はやめちゃいました」
「いずれは仕事をしたいですけど、学校への送迎で時間はなくて」
「職場に使える制度がないため復職ができません」
など、保護者の方からも実際にお聞きすることがあります。
私たちはつい、目の前の子ども達への支援に集中してしまいますが、
子どもたちを取り巻く保護者のことも考慮する必要があると今回の鳩ネットTVの内容や作業療法の立場からも思います、
なぜ、保護者の就労に対して考える必要があるのか?
なぜ、
医療的ケア児者を抱える保護者の就労について考える必要があるのでしょうか?
作業療法士の立場から考えてみると、
作業療法には、人間作業モデル という理論があります。
これは人を意思、習慣化、遂行、環境という観点で人の物事(作業)を捉えます。
子どもの場合、この環境に保護者という要因が含まれており、子どもたちへ密接に関係しています。
つまり、保護者のサポートをすることは、保護者だけではなく目の前の子どもたちの生活が豊かになります。
次に、
子どもと作業中心の実践 という考えも子どもたちの支援では欠かせない概念になります。
作業療法を提供する中で「子ども中心・家族中心」であることを定義の中に1つに含まれています。
つまり、子どもたちだけをサポートするのでは家族単位で支援を展開していくことの重要性を述べていることが読み取れます。
また、
Family Occupationという考えもあるこれは、子どもの環境として家族を捉えることが多いが、子どもと家族をまとまりとして捉え、その中で共有する事柄(作業)という考えである。
この家族特有の物事は、子どもや保護者など家族にとっても何かしらの影響を与えます。つまり保護者が自身の叶えたい事柄(例えば復職など)を実現できることで家族としての特有の物事、生活(作業)は変化し、結果的に子どもたちも豊かになるかもしれません。
少し専門的なお話になってしまいましたが、
このように、子どもだけを支援するのではなく、保護者も就労を支援することで、結果として目の前の子どもたちの生活、暮らしが豊かになり得るかもしれません(これはあくまでも私個人の考えです)。
ただし、
注意しておきたいのは、このような考え方がありますが、保護者の方々も一人のひとであり尊厳があるということです。
そこを無視して、子どもたちにとって必要だから保護者の就労を支援するという手段としての支援に使っては失礼だとも思います。
そこは、間違えないようにしたいです。
最後に
長くなってしまいったが、
以上のように医療的ケア児者を抱える保護者の就労や復職には多くの課題があります。
そこにも注意を向け、必要な支援を多職種と連携してサポートできるといいなぁと思っています。
<吉田尚樹>
医療機関に所属する作業療法士
子どもたいちのリハビリテーションに従事している