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【連載小説】サキヨミ #29 最終話

「ボーちゃん!佐和ちゃんが来てるわよ」お母さんが下から僕を呼んだ。
その声で僕は目が覚めた。
何だか、すごく大変な夢を見たようで、起きたのにぐったりしている。
 
佐和ちゃん?隣の佐和子か?
 
「佐和子が、何で来てるの?」僕は、下に降りて、キッチンにいるお母さんに訊いた。
「バカ野郎、隆太郎!おめえが長い事学校休んでるからだろう。ウチの誰も新型コロナにかかってねえのに、おめえだけかかりやがるから、佐和ちゃんは学校の届け物を持って来てくれてんだよ。」
と、お父さんがキッチンでビールを飲みながら、僕に答えた。
お母さんは僕にマスクを渡しながら「さあ、玄関で待ってるから、会ってきて。元気な顔見せなさい。明日から学校へ行ける事も伝えてね。後、さっき佐和ちゃんから聞いたけど、来年で安藤先生が定年退職なんだってよ。お世話になったんだから、何かお祝いをしないとね。コーヒー豆がいいかしら…それも、佐和ちゃんとよく相談しておいてね。」
「分かったよ」
僕はマスクをつけながら、玄関に向かった。
 
 

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