
【連載小説】夜は暗い ㉖(予定では後3回で校了です)
■
店を片づけた後で、私は自分の部屋に戻り、また寝た。
岩田からの連絡次第ではあるが、私の見込みが当たっているようであれば、今日には全てにおいて決着をつけられるはずだ。
それには精神的に大きなエネルギー負担がかかるので、私は休息する事にしたのだ。
スマホが鳴った。
時計を見ると、2時24分。午後の曖昧な時間だった。
画面を見た。
岩田からのメールだった。中身を読んだ。
十分な内容だった。岩田は「原本のコピーはいるか?」と訊いてきていた。
今回調べてもらった事は全部、結局は私の推論を裏付けるものでしかなく、言わば「当てずっぽう」である。私は今日、その「当てずっぽう」で勝負を挑もうと思っているのだ。
だから、私は「いらない」と返信して、ベッドを出た。
シャワーを浴びて、服を着替えなくてはならない。
おっと、その前にコーヒーだ。
■すぐ近くのカフェで、クロワッサンとコーヒーの朝食を済ませた後(と言っても、時刻はもう3時半なのだが…)、私は待っていた奥平からの返信を受けた。
山本由佳里にこの後会えるようだ。奥平も「同席したい」と言ってきたので、「OK」と了承し、先方への訪問時間を5時にしてもらった。
島野へ電話すると、彼女はすぐに出た。
「5時に山本由佳里の家へ行くが、一緒に行くか?」
「それで全部分かるの?」
「多分… 」
「じゃあ行くわ」
1時間以上は待つと分かっていたが、私はその足で中野へ向かった。
中野ブロードウェイで、フィギアでも見て時間を潰すつもりだった。
奥平も島野も5時10分前に山本由佳里のマンション前で落ち合うように約束していた。