【連載小説】サキヨミ #26
雲だ!
インカムから管制官の声が聞こえた。
すぐに雨粒が落ちてきたと思ったら、ダーっと、大雨が降ってきた。
乾期なのに、奇跡だ。
日光は雲に遮られた。
辺りが真っ暗になった。
雨が僕とボーの背中を盛大に濡らした。
雨は冷たい雨だった。
みるみる保存ケース内の温度が下がった。
僕らは坂のてっぺんにいた。
雨水は洪水のように下へと流れていった。
キャリーカーのタイヤを上げた。そして、シャーシーに取り付けたあるボードを起動した。
そして、僕らは、洪水の中をサーフィンしながら、一気に滑り降りていった。
工場の扉が開いた。
大量の泥水とともに僕らは工場の中に入った。
0.003秒も早く着いた。
すぐに、保存ケースに電気を入れた。冷凍保存が始まった。間に合った。
僕らのボットは、リペアに回された。
僕らにイシキは、管制室に戻り、僕もボーも恢復室に入った。
お互いの努力を讃え合う暇もなかった。
僕らのHPは、マイナスまで落ち込んでいた。
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