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【連載小説】恋愛 #5

羽田で安西と別れてから、マジカは京急で品川に出て、山手線に乗り替えた。
新宿で更に小田急に乗り替えて、最寄り駅の豪徳寺で降りた。
マジカは豪徳寺の近くのマンションに住んでいた。
駅前の中華料理チェーン店でタンメンと餃子をテイクアウトして、マジカは部屋に戻ってきた。
閉め切った部屋は如何にも暑い。6階なのに窓を開けてもどんよりとした暑い微風が吹くだけだった。マジカはすぐに窓を閉め、エアコンを23度に設定してから、シャワーを浴びに行った。
シャワーを浴び、服を楽なものに着替えると、ずっと楽な気分になった。
二日分の汚れた服を洗濯機に入れ、バッグの中を空にした。
次に冷蔵庫から発泡酒の500ml缶を出した。
 
発泡酒は一気に飲んだ。喉が渇いていたし、これから再検討する事柄を考えると、少し酔っ払わないとならない気がした。
TVをつけ、ネットにつなぎ、好きな西武ライオンズの試合を見た。
また負けていた。どうにもこうにも今年のライオンズは弱い。ネット接続を止めて、地上波に変えて、ニュースを見た。今日も最高気温の更新した地域があるらしい。本当に今年の夏は酷暑だと思った。高松も暑かったようで、現地の街中でのインタビューが映された。今日いたばっかりなのに、何故か懐かしい気分になった。
タンメンは温めずに食べた。温いタンメンの方が食べ易いと思った。
ギョウザは残しておいた。後で、焼酎の水割りのアテにするつもりだ。
タンメンを食べ終えた。
グラスに氷を一杯入れて、ペットボトルの焼酎を注ぎ、その上に蛇口から水を入れた。
冷蔵庫からレモン果汁液を出し、数滴垂らして、テーブルに持ってきた。
ニュースは最近の円高の話になっていた。興味がないので、BSに変えると山歩きのドキュメンタリーをやっていた。
マジカは山歩きなどした事はないのだが、田舎の出身なので、何となく懐かしさを覚え、その番組を見ながら、焼酎を飲む事にした。
餃子を食べながら、焼酎を飲んだ。餃子は6個あった。焼酎1杯につき、餃子2個を食べる事にした。それなら焼酎を3杯飲めるからだ。
餃子を食べ、焼酎を飲み、夏山を歩く番組を見た。
心は手紙の事で一杯だというのに、知らん顔をした。
酔っ払わないと、手紙を見直す勇気がなかった。

 
あんなに可愛い子が、俺の事好きだなんて信じられる訳ないだろう?

信じてみてもいいじゃん?

心の中は葛藤していた。

何で信じられる?そりゃムリだぜ!

ショートメール打ってみなよ。そうすりゃ全部分かる。

イヤイヤイヤ、それが一番怪しいだろうよ…今時、自分の携帯番号を如何にファンだからって、相手の身元も確認しねえで、ホイホイと書いてよこしてくる人いるのかねえ?
その番号にアクセスしたら、いきなりフィッシングとか、そんなんに関わる事になってみ?   
目も当てれねえ…

じゃあ、あの子の事を見捨てるの?

見捨てる?人聞きの悪い言い方だなあ。見捨てなんかしない。ただ、今回はアクセスしないだけ。あの子来月もあの店に来るって言ってただろう。そこで色々と訊けばいいんだよ。

まあね、でも、それじゃ遅いかもよ。チャンスを逃すかも…

チャンス?チャンスって何だよ?

彼女ができるチャンスだよ、決まってるだろう?

焦っても仕方ないだろう。よく言うだろう?急いては事を仕損じるってな。

でもさあ、最近のアンタはチャンスを逃してばかりだろう。仕事だって、何だってそうじゃん。いいかい、チャンスはそんなに沢山来ないんだよ。だから、来たチャンスをきちんとものにしないとね、1イニングに大量得点はできない。毎試合毎試合一点しか取れない、今のライオンズのようにね。

ライオンズに例えなくていいよ。でもまあ、一理あるよな。
チャンスは沢山来ないか…

 
ZZZ…


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