日本を原ねて 心の健康 ストレス解消 【一休】
20 一休(1394~1482)
茶の湯入門 熊倉功夫 平凡社
一休の周辺には多くの文人が集まっていたらしく、そのなかには、… 能楽師の金春禅鳳(1454~1532)もいた。その禅鳳の談話を留書きした。「禅鳳雑談」のなかに、珠光(1423~1502)の「月も雲間のなきは嫌にて候」という言葉がある。隈なく輝きわたる満月の美しさも格別であろうが、珠光は、そうした具足円満の美をとらない。雲間に絶え絶えに見える不完全な月こそ最も美しい。というのが珠光のことばであった。
禅鳳もその言葉に感心して、談話のなかにとくにとりあげたのであろう。
一休の周辺にあった連歌の世界、能の世界、茶の世界に共通する美の意識—月も雲間のなきは嫌という意識が、中世の芸文を貫く意識であり、それを思想として支えたものが一休の禅ではなかっただろうか。 30ページ
風狂に生きる 一休 鎌倉茂雄 廣済堂出版
ちればさき咲けば又ちる春ごとの
花のすがたは如来常住
この歌は宇宙の実相を表しています。花は散るとまた咲きます。咲けばまた散ります。年々歳々春がめぐってくると、この繰り返しです。
この花のすがたこそ、常住の仏、永遠の仏性だというのです。…
見るごとにみなそのままのすがたかな
柳はみどり花はくれない
…「柳は緑 花は紅」というのは禅のことばです。
…春がめぐり来れば花が咲き、秋になれば木の葉が紅葉します。その自然なありようが、法(のり)のみすがた、つまり諸法の実相なのです。
日本の曹洞宗の開祖、道元(1200~1253)はそれを「眼横鼻直(げんのうびちょく)」と言いました。私たちの顔には、目は横についています。鼻は縦についています。ものが如法にあること、それが諸法の実相です。
諸法の実相とは、もののほんとうの相(すがた)ということです。…
「ありのままの相(すがた)が実相ということです。 260/261ページ
一休はありのままをあらわし、日本古来の生活感情をあらわしている。
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