『とらんでいい』人生唯一の怖い体験談。
1日過ぎてしまったが
7月26日は
『幽霊の日』
だったようで
これだけ暑ければ
『霊』を思って『冷』を感じたいのも
分かります。
まったく涼しくないひんやりパッド
熱風が吐き出される扇風機
クーラーも冷やすのが追い付かないほどの灼熱
涼しくなる為なら、霊にだってすがりつきたくなるような昨今。
まぁ、クーラー代わりにされる霊もたまったもんじゃないでしょうが。
でも
せっかく幽霊の日ということなので
ホラーは好きだけど、霊感は全く無い自分の唯一と言って良い
ホラーな体験談をこっそり書いてみます。
今の移動スーパーとくし丸を始める前
の、さらにその前には大阪で『葬儀会社』に勤めていた。
葬儀会社に転職したきっかけは
家から近い、というのが一番だったが
ひそかに『幽霊を見ることができるんじゃないか』
という思いもあった。
しかし、うすうすは気付いていたが
自分には絶望的に霊感が無いらしいことが
葬儀会社に入って確定お墨付きされてしまった。
どれくらい霊感が無いかというと
仕事がヒマなときに
葬儀ホールの倉庫として使われている
普段は誰も入らない裏階段の踊り場で
たまに昼寝をしていたのだが
後で聞いたところによると
この踊り場
『視える人』からすると
『いる』場所で有名な所だったそうで
そんなところでスヤスヤと安眠してしまっていた自分は
霊も、こらあかん、と見放すぐらいの霊感の無さを実感した。
霊感無い選手権だったら、県代表を争うぐらいにはなれそうだ。
そんな霊感の無い自分が、ただ一度だけ
この葬儀会社に勤めていて体験した怖い出来事がある。
その葬儀会社は
当時、なかなか景気が良く
新しい葬儀ホールを新たに完成させたところだった。
ただ、建物は完成しているけど
これから備品を入れたり準備を進めている状況
その日も
営業開始に向けて、たしか何かの準備のために
何人かで、その真新しい葬儀ホールで作業をしていた
作業もひと段落した午後のひととき
その日来ていたメンバーで集まって雑談をしていた
すると
突然、葬儀ホールの電話が鳴り出した。
プルルルルルル…と
見ると『内線』という所が赤く光っているので
どこかの部屋から内線電話をかけてきているのだろう
メンバーの中で若手だった自分が
何の考えも無く
ほとんど無意識に、その内線を取ろうとした
電話に手を伸ばそうとしたとき
年が二回り以上も離れたおっさん先輩社員が
ちょっとキツめに
『とらんでいい!』
となぜか怒ったような顔をして言ってきた。
え?
なんで怒られんの?
納得いかないと思いつつも、おっさん先輩社員が怖いので
素直に電話を取るのをやめた。
しかしその後も
プルルルル…と鳴り続ける内線
おっさん先輩社員が言ったからか分からないけど
その時、その場にいた全員、電話を取ろうとしない。
しばらくすると
内線電話も鳴り止み
たわいもない雑談が再び始まった。
あまりにみんなが自然体なので
『まぁ、そういうものなのかな』
と思っていたが…
その時は気付かなかったが
よく考えたら、おかしい。
営業開始前の葬儀ホール
作業に入ってる自分達の他には誰もいない
自分達が居たのは
入口からすぐの事務所内で
誰かが外部から入ってきたら気付くはず
今日、この葬儀ホールには
自分達の他には誰もいないはずなんだ
じゃあ
どこから
誰が
内線をかけてきた?
そして
これは後から聞いたんだけど
その葬儀会社は
定期的に
『人形供養』
という、家庭で不要になったけど
処分に困っている人形とかぬいぐるみを持ってきてもらい
まとめてお寺さんに供養して処分してもらう
ということをやっていた。
ちょうど数日前にこの人形供養をやっていて
集まった、段ボールに入った供養前の沢山の人形達を
この新しい葬儀ホールの一室に
倉庫代わりに一時保管していたという。
あの内線がどこからかかってきたのかは分からない。
でも、おそらく
僕以外の先輩達は
このホールに供養前の人形があることを知っていたんじゃないだろうか。
だから
内線が鳴っても
『とらんでいい』
あの内線電話を取っていたらどうなっていたんだろう。
想像してみると
少しだけ、涼しくなりませんか?