とくし丸と嘱託のおじさん。
たまに
スーパーを定年退職した嘱託のようなおじさんが
お店に仕事で来ることがある。
朝はけっこう早くて、7時くらいから
夕方の5時くらいまでいる。
開店準備の手伝いしたり、社員さんと売場について話をしたり
色々と、なんでもやっている感じがする。
そのおじさんが
最近はクモおよび、その巣を取るのに熱心なようで
ここのところは毎朝
柄の部分のやたら長いモップのような道具を持って
店舗外側壁の天井部分にいるクモを取りまくってる。
この時期は放っておくと、どんどん増えるようで
この前は『この数日で51匹取った』と嬉々として話していた。
それを聞いて僕は
『大丈夫かな、このおじさん、クモに呪われないかな』
と心配になった。
だって、51匹だよ。
そのへんに逃がしたらまた店舗の壁を登って巣を作るから
きっと駆除してるんだよ。
51匹のクモの怨念だよ。
クモっていうところがまた念が強そうだし。
それはそれはすごいだろうよ。
下手したらおじさんの命に関わりやしないだろうか。
でもクモもよく考えて欲しい。
おじさんだって趣味でやっているわけじゃない。
クモを殺すのが趣味だなんて、悪趣味にもほどがあるだろう。
おそらく会社(スーパー)からの指示でやってるはずだ。
殺したくて殺してるんじゃない。
それに、おじさんをどうにかしたところで
きっと、第二第三のおじさんが来るだけだ。
根本的な解決にはならないぞ、クモよ。
だから、どうしても呪いたいのであれば
会社(スーパー)の社長だろう。
それが道理ってもんだろう。
そこまで筋を通せば、僕も文句は言えない。
と
よくある怪談話で
ご神木を切ろうとしたら工事作業員が謎の怪死をした
というのを聞いたとき、いつもこんなふうに思っていたことを思い出した。
呪うんなら、作業員じゃなく、社長だろう!
そんなことをボンヤリ思いながら今日も冷蔵庫に牛乳を積み込む。
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