執事喫茶でお嬢様の生活を垣間見た話 #3

口から先に生まれてきた三叶、着席するまでに2話消費する夏休みの日記もびっくりな冗長さ。加えて3月の執事喫茶帰宅から既に3ヶ月余り、その間にお嬢様(を目指す一般女性)Vtuberが世を席巻する昨今ですがいかがお過ごしでしょうか。今朝の朝食もおぼろげな三叶ですが、同行した先輩お嬢様の監修のもと、こうして書き進めた執事喫茶レポ第三話です。ご査収ください。


執事喫茶のドアをくぐってから待機室でドギマギしていた三叶一行、いよいよ次のドアをくぐり、執事喫茶の世界へと踏み出していく。ドアマンの山岡執事に続いて出迎えてくださったのは、後ろで束ねた長髪がエレガントな金澤執事とこれまた長身眉目秀麗な蓮見執事だった。HPのプロフィールに好きなもの:自然薯 と書いていた執事さんは誰だろう……と目を泳がせていた私だが、待ち構えていた二人から漂う圧倒的執事感に、モニター越しで眺めていた執事喫茶worldが現実のものとなっていることを実感する。姫様、殿下、と金澤執事に上着を預かっていただいた時に自分のコートから漂ってきた樟脳の匂い以外、全てがファンタジーのよう。さっきまでの都会の喧騒や課題への焦燥感といった現実の一切を忘れさせる、夢のようなひとときが始まろうとしていた。

蓮見執事のイメージ映像 花のような優雅なお方でした。喉お大事にしてください。

蓮見執事に導かれ細い廊下を抜けた我々は、執事喫茶のティーサロンに到着した。周囲には同じくご帰宅なされたお嬢様、間も無くの御出立となるお嬢様がめいめいに執事達とのひと時を過ごしている。そんなお嬢様方の振る舞いはもちろんのこと、彼女たちを饗す執事たちは皆美・美・美の一文字。ガニ股になっていないか気を配るのに精一杯の私はというと割とお嬢様同士互いの様子がよく見えることを察し、自分の振る舞いに不安と緊張が高まっていた。そんな気配を察してか蓮見執事、姫様方は久方ぶりのご帰宅(=初めてのご来店、全てのお嬢様おぼっちゃまは幼少期をこのティーサロンで過ごしていたことになっている)ということで、一同大変首を長くしてお待ちしておりました、と世界観バッチリの文句と共に執事喫茶の説明と時間やメニューなどを案内し、我々新興貴族の社交界進出を支援してくださった。まあ紳士。蓮見様、若々しい見た目とは裏腹に渋めのお声なのね、あら、もしやかすれていらっしゃる?大丈夫?おばちゃんの水飲む?などと余計な心配を挟みつつ、魅力的な料理満載のメニューを眺める。慣れないカタカナ語を先輩お嬢様と蓮見執事に御指南いただきながら、アフタヌーンティーの注文をしよう、うまく読めないからメニュー指差しして「コレクダサイ」と言おう、などと定型文を脳内で組み立てながら注文を待っていた。ご帰宅前の懸念として、茶葉わからなさすぎ問題というものがあり、ダージリンとボストンティーパーティーの海水の違いもわからないかもしれない私にいい感じの茶葉のセレクトができるのかは正直今回の山場だった。しかしそこは数々のお嬢様のわがまま&アバウトな要求にも応えてきた歴戦の執事。「何カ、爽ヤカナ物ハゴザイマスカ」という関東平野ばりの漠然とした要望にも難なくお答えいただき、無事Charlesというセイロンティー寄りのアールグレイをご案内いただいた。


無事アフタヌーンティーの注文を終え、アフタヌーンティーのスコーンの種類とプリザーブの注文もクリアし(抹茶ミルクとクロテッドクリームをお頼みしました)、一息着いた頃に、紅茶と共にカップがめいめいに配られた。なんと一人一人のイメージに合うカップを蓮見執事自ら見繕ってくれたとのこと。狂気の脳内バーサーカー三叶にはクールなイメージの青いロイヤルアルバートのリージェンシーブルー、天然大ボケTには落ち着いたイメージのレディハミルトン─これはTの本性を見抜いて大人しくしてほしいという執事たちの願いが込められているのかもしれない─、ベテランお嬢様Kには寒色系を、という要望に応えて花柄のレディアスコットが用意された。それぞれのカップに込められたイメージや説明を挟みながら紅茶が注がれ、テーブルに茶葉の香りが広がっていく。そういえばすっかり世界観にのめり込めるほど場の雰囲気が演出されていながら、他の席と香りが混ざったりアロマの香りで茶葉の香りが妨げられていないの配慮がすごいな、と一丁前に感心しながら立ち上る湯気を眺めていた。フレーバーティーというとかなり香りが強烈な印象があったが、執事喫茶のそれは紅茶の香りを損なわないようにしつつ、ほのかな香りの違いが楽しめるなんとも上品な一品だった。Kが紅茶と別に頼んだカクテルでは、薔薇の形にカットされたリンゴが徐々に花開いており、香りと味だけでなく視覚からもささくれたお嬢様の心を潤してくれた。隈川執事が手がけた曲「プリザーブドフラワー」をイメージして時任執事がカクテルに仕上げたというエピソードの説明を聞いて感動しながら優雅にカクテルを眺めたかと思えば「あ!花びらちってきた!キャッキャ!」と小声ではしゃぐなど情緒ジェットコースターを楽しみながらアフタヌーンティーまでのひとときを過ごした。

どうも、クールなイメージの三叶です。

やっと紅茶が到着。筆が乗ってきたところで次回は「到着!アフタヌーンティ! 見知らぬお作法。暴走するT。お嬢様とは。」です。ご出立まで書きたい。

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