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MTT Short Stack 戦略 ~Chip EV編~
はじめに
みなさんはトーナメントのショートの際に、プリフロップをどのようにプレーしていますか?
パワーナンバーやM値を基に、Push or foldの戦略を取ったり、よくわからないけど感覚でプレーしたり、様々な方がいると思います。
今回は、MTTのshort stack戦略について、GTO wizardのchip EV 戦略を基に詳しくまとめています。
この記事を繰り返し読み、実践を重ねることで、short stackでの戦略を高精度で再現できるようになります。
・MTTで結果を残せなくて困っている方
・Push or fold戦略から卒業したい方
・short stackで感覚に頼ってPush or foldをしている方
これらに当てはまる方は読むことを強くおススメします。
この記事の内容はGTO Wizardの無料のPFソリューションから得られる知見が中心です。どなたでも以下のリンクからご確認いただけます。
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※備考
この記事自体は筆者自身がプリフロップを覚えるためにまとめた内容なので、一個人の戦略に対する解釈にすぎません。説明に間違った内容が含まれている可能性があります。
また、こちらの記事の内容はあくまでも"chipEV"に基づいて計算された戦略についてまとめたものなので、ICMを用いて計算された"$EV"に基づく戦略ではありません。
大きなBFがかかる35%left~ITMやFT bubbleの状態においては、このレンジを基準に戦略を変更する必要があります。(そのまま用いた場合、賞金期待値ではなく優勝確率を最大化する戦略になります)
スタックと参加頻度の整理
表にスタックサイズと参加頻度の関係についてまとめました。
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全体的な傾向
1. 25bb~14bbにかけて参加頻度が低下する
2. 14bb~2bbにかけて参加頻度が増加する
スタックが浅くなると、
①リスチールに晒される可能性がどのぐらいあるか?
②各々のスタックに対して「ブラインド+ante」はどれだけ大きいか?
の二つの要素を考える必要があります。
25bb~14bbにかけては、①の影響を大きく受けて参加頻度が低下しているものと思われます。
14bb~は②の影響が増していき、スチールによって得られる利益の重要度が上がるため、参加頻度が上昇していると考えています。
注意すべき点
ショートになったときのハンド選定
みなさんがしている最も大きなミスの一つに、ショートになったときのハンド選定ミスがありそうです。
「もうxbbしかないから、ALL IN」「次どうせbb払わないといけないからALL IN」と言いながらEVを捨てていませんか?
しかし、実際は表をみてわかるとおり、UTGで2bbのスタックサイズを持っている場合でさえ、レンジの約2/3はフォールドです。(GTOでは次がBBであることは考慮されていません。)
直shoveレンジ
100BBの場合と異なり、ショートスタックの際にはオープンが入っていない状態で直接ALL INする「直shove」レンジがあります。上の表では直shoveレンジと2bbのオープン頻度の両方を足し合わせた値で整理しています。
オープン頻度を覚えるだけでなく、参加レンジを直shoveレンジと2bbオープンのレンジの両方に振り分ける必要があります。
直shoveレンジを覚える
何bbから直shoveするのか?
直shoveし始めるスタックサイズはポジションによって異なります。
直shoveによって得られるメリットとしては、
高頻度でスチールによってポットを獲得できること
直shoveのデメリットとしては
後ろのプレーヤーが強いハンドを持っていた場合において損失が大きいことが挙げられます。
ポジションが良くなると後者の影響が弱くなるため、直shoveが頻繁に使用されるようになると考えられます。
直shoveをし始めるスタックサイズを表にまとめます。
ポジションが良くなるにつれて、直shoveが採用され始めるスタックサイズが大きくなるということが分かります。
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直shoveレンジの構成
以下に示すのは、14bbにおけるUTG+1の直shoveレンジです。
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複数の直shoveレンジを眺めてきましたが、この構成はおよそ標準的な直shoveレンジと言えます。
レンジを分割して、説明していきます。
まず、直shoveレンジは色分けした3つの構成要素で主に構築されます。
①オフスートの強いAハイ(Kハイ)
②ミドルポケット
③スーテッドブロードウェイ
何故ソルバーはこのような直shoveレンジを採用しているのでしょうか?
なぜソルバーはこのような直shoveレンジを構成するのか?
1⃣スーテッドブロードウェイがALL INする理由
③のスーテッドブロードウェイがALL INする理由を考察するには、ALL INに対する相手の応答を確認する必要があります。
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UTG+1のALL INに対して、BTNはAJo+、66+、ATs+、KQsでディフェンスしていることがわかります。
直shoveすることで、ドミネート負けしているオフスートブロードウェイ2枚ハンドであるKQo、KJo、QJoの70%程度のEQを否定できていることがわかります。
これが、スーテッドブロードウェイがALL INする理由です。
2⃣もし、直shoveレンジがスーテッドブロードウェイのみで構成されていたら?
今回は、以下のようなスーテッドブロードウェイのみのレンジでALL INした場合の最適戦略を確認します。
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以下に上記のALL INレンジに対するコーラーの最適戦略を示します。
EQを否定したかったすべてのオフスートブロードウェイ2枚ハンドがALL INにコールできてしまいます。
これでは、③のレンジが実現したいことが達成できません。
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3⃣オフスートブロードウェイを降ろすためには…
フォールドターゲットとなるオフスートブロードウェイの天敵はズバリ、ドミネートされているハンド群です。
それ故、フォールドターゲットをドミネートしているAKo、AQo、AJo、KQoを同時にALL INすることで、オフスートブロードウェイ群をフォールドに追い込めるようになります。
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今回は後ろのプレーヤーがいないためKQoがコールできてしまいますが、BTN等後ろにプレーヤーが残っている場合にはKQoはわずかにコールできなくなります。
それでもBBのALL INコール頻度は26%→14.3%に大幅に減少しました。
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4⃣ ①オフスートの強いAハイ(Kハイ)③スーテッドブロードウェイ のみでALLINする戦略の欠点
①および③のハイカード群のみでALL INする戦略を取ると、BBのプレーヤーはすべてのAxsとポケットペアをコールできてしまいます。ポケットペアにコールされた場合のツーオーバーの勝率は約50%程なので、ポケットペアにたくさんコールされると、AKやQJは損失が大きくなってしまいます。
また、①のハンド群はAハイにコールされると45%程度のEQしか持たないため、こちらもIPの損失を大きくする原因となります。
5⃣ポケットペアにコールされないためには?
ポケットペアの天敵はズバリ、自分より上のポケットペアです。上のポケットペアが出てきたときの勝率はおよそ20%と著しく低くなります。
それ故、一定数のミドル-ハイポケットを自レンジに含めることによって、相手のポケットペアを降ろすことが可能になります。
ポケットペアをALLINレンジに含めることによって、BBのコール頻度は14.3%→11.2%に低下しました。
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1⃣~5⃣の過程を追うと、GTO戦略はBBが多くのハンドをコールできないように、絶妙にバランスされていることがわかります。
◎コラム:レンジのアナロジー
ここで少し余談です。
実は、Chip EVの直shoveレンジと非常に似たレンジ構成でALL INをするレンジが、キャッシュゲームのレンジ表にも存在します。
これは、
Cash, 6max, stack: 100bb, general, NL500
Open Size: GTO, 3bet Size: GTO
における
BTN 2.5bb open
SB raise 12bb
に対するBTNの対応です。
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(紫: ALLIN 100bb, 黄色: raise 26bb, 黄緑: call, 青: fold)
直shoveのレンジ構成とどこか似ていると思いませんか?
このレンジは
①オフスートの強いAハイ(Kハイ)→AKo
②ミドルポケット→JJ, TT
③スーテッドブロードウェイ→QJs, A5-4s
の3つで構成されています。
相手に悪いオッズを与える特大ALL INを選択するレンジは非常に類似していますね!
スタックサイズ・ポジションの変化と直shoveレンジの関係
直shoveレンジの概観を自らの力で構築できるようにするために、スタックサイズ・ポジションと直shoveレンジの関連性及び直shove頻度をまとめます。
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