「てならいのうた」6日目

「偏惑の種」

歴史が輩出してきた
優れた文学者や学者や思想家
また名を成した武道家やスポーツマン
あるいは世界的な著名人
芸術家や偉人聖人の類いの人々
おしなべて皆天才的で
同時に変な人
おかしな人たちではないか

ぼくが思うにまず努力がすごい
ただの努力ではない
超人的だ
植物にせよ
人間以外の他の動物にせよ
そんなに努力する生き物はほかにない
狂気の沙汰だ
生き物がすべて
そんなふうに努力をするようになったら
それはもう悲惨で陰惨で
凄惨な世界になる

普通に考えれば
生き物はほぼほぼいい加減だ
食には貪欲で
ある場合全力を傾けて
それを手に入れようとするが
その後ではゴロゴロ
体を休ませる
のんびりと
日陰にくつろぐとか
日差しを浴びてゆったりするとか
快状態を選択して過ごす

人が理想とする生き方も
そういうことでいいのではないか
さしたる努力もせずに生きられたら
願ってもないことだと
そんなふうに言えるのではないか
無意識の志向はそう行くはずなのに
人間界では逆向きが好まれる
そう考えると
人間全体が生き物としておかしい
そういう種だと
考えずにおれない

いいなと思ったら応援しよう!