「てならいのうた」13日目

「新・新興宗教への躓き」

社会の繁栄とか
経済的な繁栄とか言われてもさ
それを進めたのは
公の側の人間たちで
農民も漁民も関知しなかった
代々の家業を
浮いたり沈んだりしながら
続けていければよかった
歳を取っても働いて
なんとか食いつなぐことができた
それで百年も千年も
変わらず同じ生き方をして
それの何がまずかったのか

上に立って指導する連中に
いいようにかき回されて
高度な文明へとひた走り
農業も漁労も
立ち至らないところまで
衰退しかかっている
工業も商業も
それからサービス業も
経済不安が加速して
全体生活不安が
とんでもない規模で社会を覆っている
羽振りがいいのは一部の業種
一部の人たちだけで
少子化は社会の生きづらさの
投影でもあるさ
高度文明化社会が聞いて呆れる

何かを切り捨てて
切り捨てたものを踏み台にして
信者たちだけのし上がろうとする
新・新興宗教みたいなものだ
文明も政治も
信ずるものは救われるって
確かにそうだろうさ
教義に逆らうもの
不信心は全部
悪魔のように扱われる
非人間のように見なされる

ぼくらはどこまでも
不信心を貫きたいけれど
生理的な疲労と困憊で
あるいは生活の困窮で
かつての玉音放送みたいにさ
耐え難きを耐え
忍び難きを忍び
全面降伏ってことになりかねない
それでも
それでも
反逆反抗の炎は打ち消せない
敗れ行く者へのエンパシィー
それは捨てられない

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