「てならいのうた」16日目
「老後に思う」
暇でたいくつ
食後はソファーでウトウト
高齢者の日常は
老いて呆けて嫌われて
見下され蔑まれ
存在として価値がない
ように見られがちだ
けれどもよく見ると
他の生き物たち
特に哺乳類は
たいていそんな姿だ
狩り以外にはやることもなく
食後はのんびりゆったり
日向ぼっこしたり
日影に涼んだり
まわりでじゃれ合う
子らを眺めていたり
つまりそれは順当な
生き物たちの
日常の姿に近い
人間世界では
ややもすると白眼視され
時間を無駄にしていると馬鹿にされる
そのためかどうか
ウォーキングしたり
趣味の陶芸やジム通い
ゴルフやスイミング
その他の習い事から遊びから
学問も研究もして
いろんなことで
意味ある生き方をしようと
高齢者たちは躍起だ
もちろんそれはそれでよいのだが
けして批判をするつもりもないが
一度の人生に
そんなにパンパンに
意味や意義を盛り込まなくたってと
ぼくなんかは思う
欲張りすぎじゃないのって
なのでそれはそれとして
人間というのは
そこまでやんなきゃいけないのかと
賞賛の気持ちも持ちながら
欲深い人間の性を
悲しく思う時もある