ちょっと春になったか?ヤブカンゾウ食べるぞ!
菜の花、ノビルなど美味しい野草が多い季節、春。
そんな中、「春に1番美味しい野草は?」と問われたらヤブカンゾウと答える人は多いでしょう。
ヤブカンゾウはユリ科ワスレグサ属の植物…だったんですけどDNA解析の結果、ユリ科→ススキノキ科→ツルボラン科と変更があったみたいです。最新バージョンはおそらくツルボラン科で合っていると思います。薮萱草と書き、漢方薬に使われる方のカンゾウ(甘草)とは別の植物です。
三寒四温が春を感じさせる3月初旬、この好機を逃すまいとヤブカンゾウを取りに行きました。
採取編
ヤブカンゾウは花や蕾、根など全草を食用としますが、この時期に狙うのは新芽です。植物は暖かくなるにつれ爆速で成長するので、まだ春なんだか冬なんだか分からないような気温のうちに新芽を美味しくいただこうというワケです。
用意するもの
ビニール袋などの入れ物
ナイフ、鎌、カッターなどの刃物
軍手など、作業用の手袋
例の如く河川敷を散策します。緑の増えてきた川辺。目には春でも風がめちゃくちゃ冬です。温かいお茶を買えばよかったなーとか思いながらのそのそ歩いていると…ありました!
この鮮やかな黄緑色の新芽、これがヤブカンゾウ!
生えている場所には相当な数が群生しているので半分くらいもらっていきましょう。
取り方は簡単で、まず草の周りを手で軽く掘り、ナイフや鎌などの刃物で地面に埋まった茎の白い部分から切り離すだけです。この白い部分が特に美味しいとされているので、なるべく深くから切った方がいいです。
自分がナイフなんか持ってたら職質を受けますわ…という方はカッターやハサミを使いましょう。そもそもカッターが1番入手の面でラクです。僕もカッターを使いました。
また、刃物を使って採取しているところを地元の方に見られた場合は、笑顔で挨拶しましょう。刃物を持った無言のヤツより刃物を持った意思疎通できるやつの方が幾分マシだと思います。
もともとの数が多く、根を残しておけばまたそこから生えてくるので、取りすぎなどはあまり気にしなくてもいいと思います。というか結構取らないと加熱調理した場合に全然量がなくなってしまうので。
そんなこんなで小さなビニール袋がいっぱいになったので撤退します!
食べる前の注意点
ほとんど似ていませんがヤブカンゾウの新芽とスイセンの肉厚な葉を間違えないようにしましょう。また、ヤブカンゾウとよく似たノカンゾウという植物があり、これらは花が咲くまでほとんど見分けがつきません。ただし、ノカンゾウもまた食用であり、食味の違いもほとんどないと思われるので食べる分にはこちらの区別は必要ありません。
加えて、食物繊維が豊富で便秘改善の効果あると言われていますが、それ故一度に多量を摂取するとお腹が緩くなる場合があるそうなのでそこも注意が必要です。
調理編
下処理
地面から顔を出す新芽であり、さらに葉が重なった構造上、間に落ち葉や土を噛んでいることが多いです。これを水に浸けて何度か洗い流すことで落とします。汚れが多く詰まってる場合は、外の葉を剥いて洗います。ただし、あまり剥きすぎると食感が失われるのでほどほどに。付け根に付着した土、古い葉は水に浸けたあと軽く擦ることで落とせます。
試しにしっかり洗ったものを何もつけず生で齧ってみます。(野草の生食は基本オススメしません。どうしても生で食べたい場合はよく洗ってください。)
シャキシャキした歯ごたえにレタスの付け根のようなほのかな苦み。野草の特有のクセやえぐみのようなものもない。味としてほぼ生で食べたときのレタスです。マヨネーズでもつければそのままいけそう。野草だけあって葉の緑の部分は多少の繊維感と噛みちぎりにくさがありますが、それも気にするほどではないです。
洗う前は土と青臭い草のような匂いがしていたのですが、綺麗にした後はリンゴを薄めたような甘く爽やかな香りになりました。
調理開始
ヤブカンゾウをメインに2品作ります。
1品目 ヤブカンゾウのぬた
ヤブカンゾウの定番とも言える調理法です。熱湯で40秒くらい茹でた後、水気をしっかり切ったヤブカンゾウに味噌、酢、砂糖を2:1:1で作った酢味噌を和えます。今回はついでに持ってきたノビルも使いました。
2品目 ヤブカンゾウおにぎり
ちょっと前にYoutubeで美味しそうなキャベツおにぎりの動画を見つけたので、このレシピのキャベツをヤブカンゾウに置き換え、あとは丸パクリします。
動画を見て美味しそうやなーと思っても、キャベツだとやる気にならなかったのでこの機会に。
完成!!
実食
まずはぬたから。ヤブカンゾウは野草特有のクセがなく、ほのかな甘みがあります。トロッとしつつもシャキシャキとした歯触りが心地良く、ギュッと噛み締めるのが楽しいです。茹でたノビルは甘味が増し、酢味噌にも負けないネギ類の香りが鼻を抜けます。なんの捻りもなく美味しいです。
おにぎりの方も食べてみます。こちらもシャキシャキの歯応えが心地よく、美味しいです。ただ味は美味しいんですけど、ごま油・鶏がらスープの味が強くて野草そのものの味はよくわかりません。
先ほどクセがないと言いましたが、それは個性がないのと表裏一体で、植物特有の香りを楽しみたい人には物足りなく感じるかもしれません。もちろん、間違いなく食べやすい野草ではあるし、調理法次第でレパートリーを広げられる優等生なのですが。
まとめ
初春にのみ楽しめるヤブカンゾウの新芽。
そのクセのない味は万人受けするものと言えるでしょう。味噌汁、炒め物、天ぷら、餃子などまだまだ数多の料理に活用できそうです。
簡単に見つかってまとまった数が取れるので、春の訪れを感じるついでに取りに行ってみてはいかがでしょうか?