見出し画像

Vol.1  インドネシアから来日 日本での子育てと仕事に奮闘 インタビュー


ジュイタさん (インドネシア)神奈川県茅ヶ崎市在住。日本各地で取材を行い記事を書くインネシアのフリージャーナリスト。1人の男の子のお母さん。

日本に 来たのは いつですか?

ー 2022年5月6日です。

日本に 来たきっかけは?

ー 日本人の夫とインドネシアで結婚し、彼について来ました。2019 年に結婚して、インドネシアに暮らすつもりでした。でも、1年経つとコロナのパンデミックが始まり、色々考えて日本に引っ越すことにしました。夫は日本で仕事を見つけて、日本に落ち着くことになりました。

どうして日本に引っ越そうと 決意しましたか?

ー やはり、子供が産まれて、子育てをする環境が日本の方がいいと思ったからです。例えば、インドネシアで子供を預けるときは、ナニーを雇うのが一般的です。保育の知識がない人も多く、私はナニーに預けることが心配でした。保育園は大きな都市にしかなく、私が住んでいた郊外にはありませんでした。日本ですと知識のあるプロの保育士のいる保育園がたくさんあります。その点で安心できると感じました。

出産したのは、インドネシアでしたね。お子さんが何才の時に日本に来ましたか?

ー 子供が1才半の時です。

小さい子を連れた引っ越しは大変だったでしょうね。日本に着いてから、住民登録やさまざまな書類の手続きが必要ですが、どのようにしましたか?

ー 私は日本語があまりできませんでしたから、夫が全て行いました。私は、インドネシアで必要な書類を集めて、夫がそれを日本で提出しました。インドネシアの書類を揃える方が、時間も手間もかかり大変でした。インドネシアの役所は手続きがとても煩雑で何でもすごく時間がかかるんです。日本はその点、すごくスムーズですね。

そうですか。私はよく市役所で待たされるとイライラしてましたが、感謝しなくてはいけませんね、、、。

お子さんは、保育園に通っていますが、保育園選びなどはどのようにしましたか?

ー 保健所に相談しました。息子は言葉が遅く体も小さいのが心配だったので、夫と一緒に保健所に相談すると、息子に合った保育園の一覧を見せてくれました。現在、週2回保育園に通って、2カ所の児童福祉施設に通っています。

なるほど、息子さんに合った保育園や施設が見つかって良かったですね。

ー はい。でも、公立の保育園にも興味があったのですが、会社の就労証明書がないといけないと言われ、私はフリーランスで忙しく働いてましたが、会社勤めではないので諦めました。

そうなんですね。確か、個人事業主登録をすれば、自分が雇用主として働く曜日や給料を書いて就労証明書として提出できると聞いたことがありますが、ちょっと調べておきます。

保育園の先生との日本語のコミュニケーションはうまくできますか?

ー 今、日本語教室に週1回だけ通っていますが、それがすごく役に立っています。簡単な会話ならできるようになりました。先生の言っていることはなんとなく分かりますし、簡単なことなら伝えられます。保育園側がポケトークを用意していて、それを使って話すこともあります。相手が言っていることは分かるけど、私がうまく伝えられない時にとても便利です。

保育園でポケトークを用意しているんですね。いいですね、小学校でも活用するといいかも!

ジュウィタさんはイスラム教ですから、豚は食べませんよね。息子さんも食べませんが、保育園の給食はどうしていますか?

ー 保育園側に豚肉が食べられないことを伝えると、1ヶ月の献立のリストをくれました。それで豚肉が入ったメニューの時は、お弁当を持たせるようにしています。

なるほど、アレルギーの子などもいますし、同じように対応しているんですね。

ところで、息子さんとは 何語で話していますか?

ー インドネシア語です。夫は日本語で話しています。

今後もし、息子さんが、日本の小・中学校に進学した場合、心配なことはありますか?

ー まだどれくらい日本にいるか分かりませんが、日本の学校で息子が自分のアイデンティティについて悩むんじゃないかと心配しています。日本に適応してくれることを願っています。

そうですね。やはりそういう悩みはよく聞きますね。インドネシアの言葉や文化について学んで自分のバックグランドについて知ることが大切かもしれませんね。まだ先の話ですが。

困った時など気軽に話すことができるお友達は日本にいますか?

ー 日本に住むインドネシアの友達とよく連絡を取っています。もっぱら、美味しいレストランの話をすることが多いです。あとは、子育てサークルで知り合った日本人のママさんです。彼女は、他のママさんよりオープンでいろんなことを私に質問してくるので、私も気軽になんでもLINEで質問しています。よく、日本人とは友達になりにくいと聞くのですが、私はそうは感じません。私は、もともと無理して友達を作ろうとするタイプじゃないので、興味が湧いた時に質問したり話しかけたりします。日本人でも私に興味を持ってどんどん質問してくる人が結構いて、驚きました。

外国に興味がある日本人はたくさんいますからね。
日本に来て驚いたルールや習慣などはありますか?

ー そうですね。なんでも同じじゃないといけないということでしょうか。例えば、保育園で使うクレヨンを息子に持たせたんですが、先生からこのメーカーのこのクレヨンにしてくださいと指定されたんです。同じようなクレヨンなのにどうしてダメなんだろうと思いました。

なるほど!確かにそういうところありますね。同じ6色とか12色だったらいいじゃないと思いますが、なんででしょうね?ちょっと違うと他の子がうらやましがったり、からかったりして、混乱するからでしょうか。

ー そうかも知れませんね。あとは、日本は西洋文化をたくさん取り入れていることに驚きました。ハロウィン、クリスマス、バレンタインなど、スーパーやお店では季節ごとに飾りが変わって、1年を通してすごく変化が激しいと思いました。インドネシアはほぼ1年通して夏ですし、街の様子もあまり変わりません。

確かに、夏が終わったらすぐハロウィンやクリスマス、お正月と目まぐるしいですね。

日本で一番大変だと感じることは何ですか?

ー やはり、言葉です。英語がどれだけできても、やはり日本語を話すことが必須です。特に、病院に行った時に言葉の壁を痛感します。まず問診票は漢字が多くて大変ですし、先生の話を理解するのも苦労します。やはり、病気なのでこちらも症状について一所懸命説明したり、理解しようとするのですが、うまくいかず少々フラストレーションを感じることもあります。
また、インドネシアの医師と日本の医師は考え方が全然違うので戸惑うことがありました。

え、そうなんですか!

ー はい。息子が風邪をひいた時、全然ご飯を食べなかったので心配で病院に相談すると、「無理に食べさせないで。水分を十分に取っていれば大丈夫。」と言われました。インドネシアでは風邪の時でも、しっかり食べるように厳しく指導されていたから驚きました。

確かに、日本だと体調が悪い時は、水分をしっかり取ってゆっくり寝なさいと言われますね。無理に食べさせて吐かれても困るし。

日本にあったらいいなと思うサービスや商品はありますか?

ー そうですね。やっぱり医療通訳のサービスがあるといいですね。次もし妊娠した時に日本で出産することになると言葉の問題が不安です。北海道や東京には無料の医療通訳があると聞いたことがあります。

おそらく神奈川県にもあると思いますが、ちょっと調べてみます。

ー あとはライドシェアがあるといいなと思うことがあります。日本のバスや電車は正確でスムーズで、遠くまで短時間に行けて素晴らしいです。その代わり、1分でも自分が遅れると、電車が行ってしまい遅刻しそうになることがあります。だから、緊急の時など気軽に呼べるバイクのライドシェアがあると便利だなと思います。

バイクのライドシェア?インドネシアでは一般的なんですね。ドライバーの後ろに乗って二人乗りで行くんですか?

ー そうです。とても便利ですよ。

ワイルドですね。日本は安全第一に考えるから、バイクのライドシェアは広がりにくいかも。

ー はい。ライドシェアは交通渋滞の原因になるので、やっぱり日本にはない方がいいと思います。(笑)
あとは、もっとお祈りができるプレイルームがあるといいなと思います。東京にはたくさんあるんですが、茅ヶ崎にはないですね。

プレイルーム?ああ、お祈り=Prayをするための部屋ですね。それは確かに少ないですね!

ー 私はムスリム(イスラム教を信仰する人)なので1日に5回お祈りをします。朝と晩は自宅でしますが、残りの3回はどうしても日中外出先などでやる必要があります。本来、屋外でもどこでもお祈りはできるのですが、やはり個室で人目がない方が集中できます。

じゃ、普段はどうしているんですか?

ー お店の授乳室を使っています。お祈りは5分程度で終わるのですが、その間本当に授乳室を必要とする人が来たらどうしようと心配にもなります。あとは、、、お店の試着室を使うこともあります

えー!試着室!

ー なるべく空いてて、たくさん試着室があるお店を選んでいます。服を持って行って試着しないでお祈りをするんです。服を買うつもりはなかったけれど、実際に試着してみたらぴったりで可愛かったので、結局買ってしまったこともあります。(笑)東京では、ムスリムの観光客が増えていることもあり、人気のあるデパートなどに祈りのための部屋が設けられています。御殿場プレミアム・アウトレットにも祈りの部屋がありますね。私も使ったことがあります。

日本人にはそういったお祈りの習慣がないので、なかなか想像できませんが、ムスリムの方たちとってお祈りできる場所がないのは、切実な悩みですよね。茅ヶ崎にもお祈り部屋を設置してほしいですね。例えば駅とか市役所とか。

ー はい、作って欲しいです。

今後チャレンジしてみたいことはありますか?

ー 日本の会社で働いてみたいです。パートタイムでもいいです。日本語をもっと勉強して仕事をしてみたいです。

いいですね。日本もインドネシアの人が増えると思うので、通訳の仕事とかできそうですね。

これから日本に移住する外国の方たちにアドバイスをお願いします。

ー 日本語をしっかり勉強してください。英語が上手でもダメです。日本語を勉強して、日本のルールやエチケットを学んでください。外国に来たら、あなたはゲストなので、その国のやり方を尊重し適応することが大事だと思います。

素晴らしいアドバイス、ありがとうございました! 

ー インタビュー終了 ー

<感想>
言葉を選びながら、真摯にインタビューに対応してくれました。日本で大変なことはあるけど、悲観したり他人を批判することもせず、広い視野で物事を捉えている賢く芯の強い女性だと感じました。彼女の日本での仕事探しも応援したいと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?