【推しの子】死体ビンタ【有馬かな】
【所感】
私は単行本組でネタバレが嫌いです。なので週刊誌リアタイ組のSNS情報は極力見ないようにしていました。私は正直、例の場面をいいシーンだなと思って見てました。
ただ、今になって残念なのは
このシーンで、「かぐや様(は告らせたい)だ」と直感的に思ったことなんですよね。当然ですが、ラブコメの「かぐや様」にはこんなシーンは無いんですが。何故かそう思いました。
「かぐや様」は、日常パートでラブコメするわけですけども、作品の中盤あたりの文化祭編で恋愛が成就します。この文化祭編がすごくよく出来ていて、その理由は、日常パートのラブコメが全部、本当に全部、文化祭編への「フリ」なっているところなんですよね。
有馬かなの死体ビンタで何故「かぐや様」を連想したのか少し考えてみて、『恋愛が成就する』の正反対、(「かぐや様」でいう)最悪のケースが『告白する前の死別』なんだろうな、と考えました。
このシーンは恐らく作中で1番感情を揺さぶられました。それはそれまでの有馬かなとのやり取りが全部、このシーンへのフリになってたんですよね。ただ、感情の方向が正反対なだけで、「フリ」と「オチ」で考えれば、同質のものなんだと感じてしまいました。悪く言うと「パターン」です。
よせばいいのにメタ読みまでしてしまい、『原作者はどうしてもこのシーンまでやりたかったんだろうな』という結論(別途noteにします)になり、没入感が大分減殺されたのは残念でした。
【トークハットについて】
インターネットによると、トークハットとは、
『遺族と親族のみ正装が許されています。 男女問わず帽子は正装の一部となるため、帽子は遺族と親族のみが着用するものとなります。 参列者が、遺族側よりも格式の高い格好をすることは葬式のマナーに反するため注意が必要です』だそうです。
「これを制作側が知ってたのか?」もSNSで話題になっていました。
トークハットは遺族、親族のみですから、資格があるのは星野ルビー、斎藤ミヤコ、斎藤壱護だけです。私は「制作側は知っていて、敢えて有馬かなだけ被らせた」と思っています。
制作側が知らなかった場合、シーン的に『見栄えする』という意味なら、ミヤコ(や他の参列者)が着用してもいいはずです。むしろ、ミヤコも着用していれば、ビンタによって有馬かなのトークハットは外れてしまうわけですから、有馬かなの勘違い、マナー違反を示す、象徴的なシーンになったと思います。
では何故、『ミヤコはトークハットを被らなかったのか』です。
ここまでくると妄想になりますが。
ミヤコは喪服を着用した後、最後にトークハットも着用すべきか逡巡したはずです。最終的に着用しなかったのは、自分の育児に、ちゃんと母親を出来ていたかどうか、最後まで自信が持てなかったからでしょう。
ミヤコからはアクアへはもう「息子」と伝えている訳ですから、アクアから1度でも「母」と呼ばれたことがあれば、葬儀でトークハットを着用してたいたでしょうね。
ミヤコは有馬かなのトークハットを見た際、「モヤッ」とはしたはずです。その上、息子のアクアにビンタまでされたわけですから、有馬かなを平手でひっぱたくのは当然と言えば当然です。
【有馬かなの行動】
死体にビンタするのは倫理的には絶対ダメですけども。
有馬かなのビンタは本人的には十分我慢した上での行動でしょう。ただ、ミヤコにビンタされた時、我慢のタガが完全に外れてしまい、人目もはばからず激しく慟哭します。残酷な話ですが、天才役者のスイッチも入ったと思います。
作中での天才役者ですから、言語表現、感情表現はずば抜けているはずです。その慟哭は感情表現の極致というか、とんでもないものだったでしょう。本人は図らずも「泣き女」の役割を果たしたんだと思います。
「アンタにちゃんと好きだって!」のコマの表情は筆舌に尽くしがたく、「メンゴ先生、こんな感情表現するの・・・」という感じでした。
有馬かなの慟哭を見て、ミヤコはハンカチで顔を抑えて泣いていました。ミヤコが我慢して泣けていなかったのだったら、結果として有馬かなの行動は、それほど責められる行為ではないと思います。
【余談】
アニメ化では、このシーンをカットしたほうがいいという声もあるそうです。アニメは未視聴ですが、このシーンこそ、アニメ化して欲しいです。
「声優さんにとんでもない演技力が要求されるのでは?」と友人に話したところ、「重曹ちゃんの声優はベテランだから大丈夫だよ」と複数人から回答されました。私は「なるほど」と返しましたが、この回答はちょっとずれています。
ここで求められているのは作中天才役者。恐らくこの経験を元に将来ハリウッド女優になる人物の激しい慟哭です。声優さんには全く詳しくないので失礼な書き方になりますが、そんな「経験(ひきだし)」を持っている声優さんなんているのかな?というところです。
ましてや、「カットしたほうがいい」なんて声もあるぐらいです。アニメ化すれば悪い意味で注目度が高いでしょう。ハードルはこの上なく高いはず。自分の性格が悪いのは自覚していますけども、「映像で見てみたい」ので是非、アニメ化していただきたいなと思っています。