やすいホストとゆるいストーカー11
ついに安息の地に辿り着いたのだろうか。
最初は優しい人の言葉に連れられて家を出てきた。
安心して過ごせる場所を提供してくれたあの子に本当に感謝している。
が、その時いわゆる脱獄物語を頭の中で繰り拡げていた私は、
次のパートナーを必死で探していた。
理想の生活とは?
何がしたくて私がここまでなってしまったのか。
安心して暮らせる素敵な家に住んでいたあの子。
彼氏とデートしたり楽しそうで、心からこうなりたいとおもえた。
私は私で好きなことをして遊んでた。
二人で面白いことしようって、MVみたいな動画を作ったこともあった。
ボディアートを施して、メイクしていく過程をタイムラプスにするだけで面白い。
女の子と遊ぶってこうだよね。
小学校の頃はるかんちでクローゼット開けてファッションショーしたっけ。
さえちゃんちではさえちゃんのお母さんのメイクポーチ内緒で開けて、バレないように口紅触ってみたことある。
自分のお母さんの口紅も折っちゃったことある。
めちゃくちゃ怒られると思って正直に謝ったら、意外と全然気にしてないっていうか、残念がったとは思うけど意外と怒られなかった。
女の子の気持ちわかるからかな。
可愛くなりたいとか。
お母さんみたいに綺麗になりたいとか。
おかあさんにはぶすぶす言われて育ってきたから自分の見た目には自信ないけど、みんなおんなじくらいどこかでぶすだし、
みんなおんなじくらい、どこかが美しい。
私も娘たちが口紅触りたくなったらいらないやつ触らしてあげてた。
ハロウィンの時、たくさんの子供達に普段させてもらえないだろうメイクを勝手にさせてあげた。
おかげで終わった後はぐちゃぐちゃだったけど、女の子たちの「可愛くなりたい」「変わりたい」って気持ちがとても愛おしくて
もっとやってほしい。
小さい時、お母さんと弟と、お父さんがいない長い夜、メイクごっこをして遊んだ。
弟はお母さんのイヤリングをして、口紅を塗って、
ファンデもしてたくらいしっかりメイクしたな。
そんな遊びが楽しくてよく覚えてる。
女の子の子供みたいに遊ぶ雰囲気が好き。
私は一気に子供みたいになってしまい、
ずっと笑ってたり
頭お花畑みたいになっていた。
子供がいないと仕事がなければ何時まででも寝られる。
ご飯も食べなくていい。
正直暇すぎる。ずっとインスタを触っていることもある。
子供と会うと、「お母さん」というより、3姉妹みたいになる。
当時3歳の下の子がベッドの上でビジネスプランをプレゼンしてくれたんだけど、
「メイク屋さん。メイクの道具が置いてあって、いつでも自分でメイクができるの。」
っていってて、メイクアップサロンのサブスクみたいな提案だった。
こいつ天才かよって一生褒め称えた。
上の子も面白い提案を考え出して、3人で笑い合って。
それがすっごい楽しかったんだよな。
わあ、また会いたくなってる。
苦しみがいつか違うものになることねがってる。
話がずれすぎた。
そんなボディアートや作品をつくることにはまりかけていた時に、
モデル募集
とSNSに投稿したら彼がやってきた。
あまりよくしらないけど、隣でイビキをかいていた子がここまでくるなんて
なんでこの子がきたの?
って。
誰がきてもいいと思ってたけど、
君が来るとは思わなかったよ。
それから何時間話したかな。
1日中しゃべってた。
こんなに会話が続いた人にあんまり会ったことはなくて
その日から全てダウンロードしはじめた。
何もすることがない日は1日中彼が作った音楽を聴いて自分を洗脳し始めた。
すごいすごいすごい
この人は絶対大物になるはずって。
言葉一つ一つに敏感で
好きと大好きの違いでかなり弾弓された。
ノリで大好きとかいうと
「好きだよね?大好きではないでしょ?」
と言われた。
正直私は何にでも大好きっていう方って言った。
軽いみたいな感じだけど、彼が思ってるほどそんなに差はないというと「知らなかった」と唖然としていた。
彼はずーと彼女欲しい彼女欲しいと言っており、誰か紹介してって。
わたしは人に人を紹介して失敗したことが何回もあるので、
苦手意識があり、
そういうことならと
自分を紹介した。
幸せだな〜と軽はずみにいうと
「覚悟してんの?」
って。
何をというと
「いいことがあったら、次は悪いことがおこる」
って。
私はなにいってんの?って。
悪いことはあなたの頭の中で決めるんだよ。
悪いことが起こると思うなら絶対に起こるが
良い気持ちを感じたら、もっと良い状態になるのだよ
って。
彼はそれを信じることにしたみたい。