![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173409637/rectangle_large_type_2_64c9e20687a8a8ae93fbf2fab83f8b00.jpeg?width=1200)
2025年1月 オーディブル読書感想
2023年からオーディブルを聴き始め、今では生活に欠かせない存在になりました。
老眼がつらい年齢を迎えた私には、耳で聴く読書というのは本当にありがたいものです。
新刊から名作まで、これだけのコンテンツが月々1500円で楽しめるというのは素晴らしい事ですね。
ハードカバーの新刊は1冊1800円ほどするので、2冊ほど読めば元をとれてしまう計算になります。
衰退する出版業界に罪悪感を覚えつつ、オーディブルにどっぷりつかる日々を満喫しています。
今回は2025年1月に聴いた作品を紹介してゆきたいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1738757826-stZnFHPogkuUO32dBafjGEhv.jpg?width=1200)
「死が三人を分かつまで」
著者 ケイティ・グティエレス
朗読 鳥飼まり
犯罪ライターのキャシーは、テキサス州で起きた男性銃殺事件の背景に興味を持つ。
それは、二人の夫と重婚したローレと、彼女の最初の夫によるもう一人の夫の殺人だった…
オーディブルは基本的に、一人の声優が朗読するスタイルです。
若い女性から老齢の女性、若い男性、老齢の男性と自在に演じ分ける声優の力量には感服してしまいます。
24時間26分とかなりの長尺ですが、飽きることなく聴くことができました。
サスペンスながらハーレクインロマンスのような恋愛小説のテイストもあります。
ローレという女性は、出張と称してアメリカとメキシコを行き来し、二人の男性と重婚していたのですが、驚くべき体力と精神力ですね。
ローレの重婚がアンドレスに2年近くバレないのがどう考えても不自然です。
最終的に貧乏クジを引いたアンドレスがひたすら可哀そうで、ローレは自己中心的な女性に思えてしまいました。
二人の男性にここまで愛されるローレという女性は、よほど魅力的なのでしょうね。
![](https://assets.st-note.com/img/1738844372-PUJe8YBDrwT4Wbx6KzESQ0gI.png?width=1200)
「しゃぼん玉」
著者 乃南アサ
朗読 河野茉莉
通り魔や強盗を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で老婆と出会う。
乃南アサの作品はオーディブルでもたくさん聴いていますが、ほぼハズレが無い印象です。
ワルの青年が山奥の村での生活で癒され、人間らしい心を取り戻す、といったような単純な構成では無く、翔人のなかの善と悪が交互に入れ替わり、いつ最悪の事態に陥ってもおかしくない緊張感があります。
山奥の村の描写が細かく、土や草木の香りが鼻先に漂ってくるような臨場感があり、作者の実体験をもとにしているのではと感じました。
2017年に林遺都 市原悦子主演で映画化もされているのですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1738845685-90fqiYkgR3adwmGSMXBZnLeb.png)
「第三の嘘」
著者 アゴタ・クリストフ
朗読 くわばら あきら
「悪童日記」「二人の証拠」に続く、三部作の完結編です。
ベルリンの壁崩壊後、双子の一人が何十年ぶりに、子供のころを過ごした小さな町に戻ってきた…
三部作を一気に聞いてしまいした。
この作品を聴くまで、作家アゴタ・クリストフの事は知らなかったのですが、独特の文体とストーリーのキレがあり、サスペンスの奇才と言えるのではないでしょうか。
個人的に本作は前の二作品「悪童日記」「二人の証拠」には及ばないものの、前作の伏線回収もされており、三部作を全部聴いてやっと理解できる部分もありました。
朗読のくわばらあきらの登場人物の演じ分けも素晴らしく、本作のどこか倒錯した退廃的な雰囲気もきちんと掴んでいますね。
オーディブルを始めてから、月に平均3~4冊の作品を聴いていますが、普通の本ならここまでの量を読むのは難しかったと思います。
オーディブルで初めて知った作家も数多くあり、改めて読書というのは、人生の糧だなと感じています。
最後までお読みいただきありがとうございました。