僕は明晰夢を見た
知り合いには何人か話したことがあるが、自分は週1,2くらいのペースで変な夢を見る。
起きて家から出ようとするが、しばらくするとまた布団の中に戻ってしまい、また家から出ようとして布団に戻る。これを数回、多いときは十数回繰り返す。こんな夢である。
初めてその夢を見たのは高校生のころで、その頃は起きて、階段を降りて、朝ごはんを食べて、リュックを背負って、玄関の前に立ったところでまた布団の中に戻る、といったかなりめんどくさい工程を、現実の父親が痺れを切らして起こしに来るまでずっと繰り返していた。
この前気になったので調べてみたら、その現象には「多重夢」という名前がつけられていた。同じ夢を何回も繰り返しみる夢。ストレスが原因らしいがそんな事はどうでもよくて、肝心なのは眠りの浅い時、いわゆるレム睡眠時に起きるという条件だった。確かに多重夢を見ているのは普通に寝ている時より、家で昼寝している時の方が多かった。それと、そのサイトの終わりの方に、こんなことが書いてあった。
「多重夢をみる人には、明晰夢を見ることができる人が多い傾向にあります。」
多重夢を見ている時、確かに自分には「これは夢だ」という感覚があって、毎回「今度こそはちゃんと起きる!」と思いながら体を起こしていた(でも結局無限ループにはまる)。そのため明晰夢は見ていることになる。でも巷では「明晰夢=夢を操れる」というイメージがついているとかなんとか。そんな夢にふんわり憧れてたり。
今日もまた多重夢を見た。最初の方こそいつも通りの無限ループにはまっていたが、途中でふと明晰夢のことを思い出し、いろいろやってみようと考えた。
多重夢はいつも決まってこんな感じで進む。
①布団の中で目が覚める
②「現実であってくれ!」と思いながら体を起こす(このとき体はめちゃくちゃ重たい)
③体を起こしたら、何も持たずに玄関へ向かう
④玄関のドアノブに手をかけるかかけないかぐらいのところで①に戻る
というわけで、まずは③のときに玄関へ向かわず、立ち止まって部屋をうろちょろしようと考えた。
重たい体をあげて、玄関ではない方へ足を運ぶ。
この時、全身がブルッ!となった。寒かったりおしっこの終盤だったりでやってくるあの感じ。まるで体が拒否反応をしているみたいだった。なんだか越えてはいけないラインを越えてしまったような気がした。
気づいたら①に戻っていた。2回目のチャレンジ。重たい体をあげ、玄関と逆方向に足を運ぶ。すると今度は一歩踏み出したところでバランスを崩し、尻もちをついてしまった。転んだ、というよりかは体と精神が合ってないような感覚だった。①に戻った。
3回目のチャレンジでようやく体が安定してきた。というわけで、外に出てなんかしてみようと思い、①に戻りそうな気もしたが、玄関の扉に手をかけた。
外に出れた。
そこでの外の光景は確かにいつも通りの風景なのだが、いつもより視界は狭く、全体的に薄紫色の雰囲気が流れていた。なぜかその回はうるさい隣人の玄関ドアをパンチしまくるという謎の行動をとって終わった。
次のトライでは、空を飛んでみようと思った。窓を開けて、体を投げ出した。結果としては、浮遊というより永遠に落ち続けるような形になってしまった。上空から見たイメージは、ワンピースのOPでカクが飛んでいるシーンの、あの光景だった。
ここで電話がかかってきて、目が覚めた。明晰夢チャレンジの初回は、あまり思うようにいかなかった。それと、夢の中で自分の意思で動き始めてからは、魂と肉体みたいな、スピリチュアルな感覚に陥っていた。
これからも明晰夢チャレンジはしていこうと思う。ただやり過ぎると睡眠障害を起こすらしいので、ほどほどにもしようと思う。