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台風がくる
自然環境リテラシー学 第3回
日にち: 2022. 9/16-9/17
舞台: 三重県鳥羽市 的矢湾 浅利が浜
今回施設をお貸しいただきありがとうございました。
こんにちは、ありんこと申します。
今回は、「自然環境リテラシー学」第3回に参加して、分かったこと、感じたこと、綴っていきたいと思います。よければお付き合いください。
それでは、はじまりはじまり。
始まる前から急ハンドル
今回の舞台は「鳥羽市的矢湾」となっておりますが、実はこれ、プランA(当初の予定)を変更したプランBの舞台なのです。当初の予定では尾鷲市尾鷲湾で2泊3日するはずでした。急な変更が起こった原因には、台風14号の接近が挙げられます。この台風、今回のお話の主人公みたいなものなので、お忘れなきように。
波にのる
天気はよかったものの、台風の接近により海には大きな変化が現れていました。それは波の違いです。今まで数回しかカヤックに乗ったことのない私でさえ、過去の回と比べたその大きさや強さは、イレギュラーだなぁとわかりました。説明が難しいのですが、まず自分が波のてっぺんに来たとき、自分がめっちゃ高い位置にきて「うぇーい」となります。次に波が通り越すと、前の人たちが見えなくなり壁のように前の景色を塞いでしまうので、「どこ…?」となります。興奮と不安が交互にやってきて忙しい感じでした。先輩方の話を聞いていても、ここまで大きな波にカヤックで乗れるのはそうそう無いとのこと。意外とラッキーな体験なのかもしれません。
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気は持ちよう
沖に近づくほど波が大きくなり、楽しくてはしゃいでいたのも束の間、大変なことに気づいてしまいました。カヤックの舵がうまく取れないのです。もともと操縦が下手である上、波で流され、カヤックが言うことを聞かなくなってしまいました。進まない、腕が痛い、どんどん置いていかれる…。こんな状況で疲れてきたのもあり、ひどく焦ってしまっていました。しかし周りを見てみると、カヤックに足を乗っけてニコニコする人、おしゃべりで盛り上がる人、すきな歌を口づさむ人…!どうやら私は、余裕がなくなって焦って力んでしまっていたそうです。そうか、もっと楽にしていいのか、肩の力を抜いていいのか。台風でかまえていたのもあったけれど、ふっと楽になりました。「リテラシー、いかに楽しむか」。決して楽しいだけの講義ではありませんが、みんなに思い思いの楽しみ方があって、すてきだなぁ、私もそうなりたいなぁと強く思いました。
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夜ふかしは楽しい
「次の日、海に出れるかどうか」どころではなくなってしまったようです。台風がやってくるので、2泊3日の予定が、まさかの2日目朝に撤収という予定に変更されました。どんどん変わって行きます。2泊3日のプログラムに少し構えていたものの、せっかく来たのに明日の朝帰らなければならないのか、と、少しあっけなく感じてしまいました。この寂しさは恐らくみんな同じであったので、その日は特別に、夜を楽しむことに。いつもは明日の体力などを考慮して早めに眠るのですが、今夜は特別です。「夜ふかし」という言葉だけで、わくわくしてしまいます。
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人見知り発動
夜ふかし、何しよう。周りでは、火を囲んでおしゃべりしたり、並んで星を見たり、相撲を取ったりと、みんな思い思いに夜を楽しんでいます。…私はどこに行こうか。おしゃべりに入ってみたいけれど、緊張してうまく話せません。緊張する必要なんて、焦る必要なんてないのにね。その時の自分に教えてあげたいです。どうしようもなくウロウロして、とりあえず1人で散歩に出かけました。
堤防沿いを歩いてみたのですが、散歩はやっぱり楽しいですね。ただ、途中で顔抜き看板(海女さんのイラストに顔をはめられるやつ)が暗闇から登場し、おばけみたいでけっこうびっくりしました。写真を撮っておけば、noteでみなさんにお見せできたのですが、それどころではありませんでした(笑)。結局、堤防の端まで歩いて、真っ暗でほとんど見えない海をぼ〜っと眺めて、1日目は終了しました。ちょっと情けないです。
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危機管理を知る
今回は台風との特別共演であるため、せっかくなので、危機管理について触れておきたいと思います。今回もカヤックのインストラクターを務めてくださった柴田さんによると、「危機管理は余分な力を要する」そうです。危機管理とは、「『もしも』の場合に備えて行動、準備すること」です。それは、「起こるかも分からないリスクのために時間と労力のコストをかける」という解釈をすることもできると思います。そのため線引き、間合いの判断が非常に難しいのです。
今回、この危機管理能力の必要性、難しさを目の当たりにしました。1分間スピーチで誰かが「慣れ、経験を重ねることの大切さ」を述べていたのですが、これがすごく自分の中でしっくり来ました。危機管理もこれに当てはまり、何度も繰り返す(場数を踏む)ことで、この微妙な間合いを読んで適切な判断をできるようになるのかもしれないと思います。さて、実際に私はできているのでしょうか…。
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危機管理のひとつとして、先輩が風対策にカヤックをロープでつないでいました。私はそこまで頭が回らなかったので、静かに感動していました。
危機管理を学ぶ
解散後、このまま帰るのは味気ないので「近くの神社に行ってみよう」となりました。しかし空が段々と暗くなり、雨、風が強くなってきました。一方私は「行きたい!」という気持ちが強く、なんとかなるだろうと思い気にしようとしませんでした。
ここでみなさん、「正常性バイアス」という言葉をご存知でしょうか。東日本大震災を経て認知度が高まった言葉ですが、「自分だけは大丈夫だろう」という他人事感や、根拠のない自信であり、まさに「危機管理」の天敵であると言えます。…実は私は、恥ずかしながらこの傾向がかなり強いのです。なんとなく、「大丈夫なんじゃないかなぁ」と思い、そのまま強行突破しようとしてしまう、良くない癖があるのです。今回もこの場面で例の癖が出ていたらしいのですが、友人が「雨風が強まってきたね。神社は山奥にあるかもしれないのに、この悪天候の中3人で行くのはやばくない?私はやめとくわ〜。」と言いました。そのとき私は正直「えぇ…(´・_・`)」となりましたか、友人と行きたかったので、しぶしぶ帰ることに決めました。しかし今思えば、なんて適切な判断なのだろうと思いました。同時に、なんて軽率な考えをしていたんだろうと焦りました。後に友人と話していると、行きたい雰囲気が伝わっていたため、どうやって止めようかと格闘してくれていたとのこと。止めてくれてありがとう。またもや情けないです。
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本当に台風は来るのだろうか?
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柴田さんが「あと5分ぐらいで雨来るよ」って言ったら、本当に降ってきました。
こんな感じで、静かに実習は終わりました。時間は短く、カヤックにたくさん乗れたという訳ではないのですが、今回は本当に学びと反省が多い回でした。特に人との関わりや危機管理の能力について、自分の現状を知ってしまったのが刺さりました。しかし台風のおかげで、いつもと違う視点から講義に参加でき、本当にたくさんの気づきがありました。課題を見つけられたので、これからは、学びを基にもう少しレベルアップします。
最後に
今回もたくさんの方にお世話になりました。先生方、先輩方をはじめ、一緒に参加した受講生の方、施設を貸してくださった方。今回は自分の学び、発見を多めに書かせていただきましたが、これらはみなさん無しには見つけられなかったことです。貴重な体験をさせていただいたこと、またその手助けをしていただいたこと、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。