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自己紹介ほどイヤなものはない

自己紹介。

苦手、ほんと苦手だね。

これといって語ることがないっつーか、自分のことを喋りたくないねん。

スポーツが得意なわけでもないし、笑いをとれるわけでもない。

自分の名前+宜しくお願いしますで十分やろ。

中学生とか高校生だった頃、春先のクラス替えに伴う自己紹介がほんとイヤでイヤで、苦行でしかなかったわ。

それが拗れて名前に添えて「やる気ありません」なんて言ってしまった結果、担任に公開処刑のような説教を食らって、いきなり教室をお通夜状態にしてもうたんは高2の春か。

ええ、その節は大変申し訳ありませんでした。

お前は何を考えているんだと言われましても、イヤだなーって気持ちが先行して口から出ただけなんで、なんら深いことなんて考えてねっす。

なんて言えるわけもなく、ひたすら沈黙して説教を右から左に聞き流して嵐が過ぎ去るのを待つ。

先生、そんなに一生懸命にならんでええがな。

顔が真っ赤で赤鬼みたいでっせ?

ってな突っ込みは内に秘め、きっと理解なんてしてくれないだろし、上手く言語化も出来そうにないからひたすら口を噤むのが吉。

更に、いらん地雷を踏み抜いてまいそうだしさ。

あっしゃ、基本的に人前で発言とかするのに抵抗あるっつーか上がり症だったんで。

振り返るに、息を潜めるようにして生きた学生時代やったなーと。

ギリギリに登校し(ほぼ遅刻)、授業が終わればマッハで帰る。

浮いた話なんてあるわけもなかったけど、それで悩んだこともなかった。

多少は友達おったし、友達となら緊張もせずに会話出来るんだけどなー。

そこらへんの人見知りっつーか、上がり症は単独行動するようになってから徐々に緩和していったわ。

今となっては、初対面の相手でも適当な雑談すっことも平気だし。

もっとも、相手が友好的な雰囲気って条件付きだけどね。

こいつとは口を利きたくないわって印象のとは、とてもとても無理っす。

んー、そういう意味では変わってないのかな?

ま、誰とでも仲良くとか、人類みな兄弟なんて思想を持ってねーし、イヤな相手はイヤな相手のままでいいよ。

警戒心死んだバカ犬にゃなりたくない。

簡単に懐くな、懐くな。

性善説よか性悪説の方が、俺にゃしっくりくるしね。

他人とは一線を引いてるくらいでちょうどいい。

目に映ってる姿が、被った猫じゃないって保証なんてどこにもないしさ。

それにまんまと騙され、晒された素を見せ付けられ、後悔の二文字に囚われたくないんで。

演技をするならそれを続けてくれ。

舞台裏の姿は出さないでくれや。

猫被ったままで頼むわ。

せめて俺の前だけではさ。



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