Job description
海外就活だと必ずjob description(JD)といって応募する仕事に関してどういう業務内容かを説明書が明示される。今のところ政府ジョブにしか応募してないので民間企業が同じかどうかは知らないけど、政府ジョブでは必ず明示される。あと、政府ジョブだと最低最高のサラリーの明示があり、スタートはこれくらいからが示されるので自分はそれとJDを見て応募する仕事のソートをかけている。
一番人口分布の多いサラリーゾーンは$50,001-$60,000らしく、私もこのあたりが妥当な感じがしている。シニア以上になるとこれに10K乗るイメージである。世帯収入で考えると100K超える家庭は多いかもしれない。ただそうであっても、ベースの物価が高く日本より不動産が全然高いので、日本で億ションと騒がれるような物件もオークランドウェリントンでは珍しくないのでミリオンハウスに驚かなくなってしまったし、アホみたいに広くてアホみたいにゴージャスな家の方が多い。うちは地の利はいいが家が狭小なので日本に住んでいる時の感覚とほぼ変わりがなく、しかも田舎から田舎への移動なのでマイナーチェンジも甚だしく、ワーホリが体験するような素晴らしい景色や優しい田舎の人みたいなのを全部素通りし、ニュージーランドの家族を通して聞くのは、義理父周辺のどうしようもない話と、マオリのギャング抗争の話ばかりで、田舎の貧乏NZ/マオリの生活の姿を目の当たりにするだけである。
マオリもマオリでめんどくさく、ファカパパ?的にいうと夫家族は現在居住している地域の部族じゃないので、義理母の生まれ故郷であるファンガマタのムライまで行かないといけないらしく、彼女の孫と娘たちは先日ファンガマタのムライまでわざわざ行っていた。マオリは部族主義でアフガニスタンみたいなもんで、元々戦闘的な人達なので、我々が思い描くような平和な民族ではない。割と血なまぐさい人達なので、今政府がマオリ思想を政府の中心の考え方に据えようとしているんだが、自分は神話ベースに社会を構築してきた人たちの考え方を中心に据えるって、日本みたいなことするよねー、などと神話の国から来たものとしてはNZの行く末って右翼化すんじゃね?という疑心もある。そもそも民族思想に傾きすぎると、思考そのものが平均感覚を失いがちなので、西洋思想(理性と合理性)と民族思想(血と感情)は水と油な為、多くの人がこの2つの思想を両立できない場合が多い。私は両方をかみ砕いて生きているが、そのためには両方の思想に慣れ親しむ必要があるが、多くの人は都会にしか住んだことがないか、田舎にしか住んだことが無いか、自分の国にしか住んだことが無いか、他国に住んでいても参政権がない、社会保障がない、働いた経験もない、そんな人の方が地球上の人口では多いので、合理主義と民族思想はインタグレーションするのかどうか自分には分からない。これがどう功を奏すのか、政権が変わればポリシーの変更が行われるのか、自分としては注目している。
現在のところ、レイバーガバメントはマオリ文化を積極的にポリシーに取り入れているが、自分が見た限り若干怪しい所もあるので、ここが爆弾になりそうだなみたいなのもある。なんせ神の国から来た民としては、天皇神話主義が国粋主義と極右と排他主義に集約されていくのを安倍晋三の10年間で見てきているので、レイバーガバメントのかじ取りについて大丈夫かなと思う部分はある。なぜかというと、政府の中枢にいるのはやっぱり英国流れの白人だし、企業のトップにいるのも白人のおじさんが多いのはニュージーランドも変わらないからである。大学に行ってもサイエンスやエンジニアリングの学生にマオリはいなかったし(ウェリントンがそもそも白人多いのでオークランドやマッセ―にはめっちゃいるのかもしれんけど)マオリ人口も実は14%しかいないそうである(夫情報)。なのでマオリはニュージーランドにおける少数民族と言える。
マオリというか、田舎の人は基本的には排他的で、例えばケテと呼ばれるフラックスを編んで作ったカバンとか、マオリの民族衣装や、文様などは各部族によってパターンが違うらしく、そしてそれを他の人には教えないらしく、友達が大学の実習でムライに行ってマオリのフラックス編みパターンの講習を受ける時に中々の排他性に驚いたそうである。ただしかしこれも15年前くらいの話なので今は多少はオープンになっている可能性があるが人はそうそう簡単には変わらない。同僚に白人xマオリ君がいたが、アイデンティティクラッシュを起こしており、今はコンサベーションジョブに就くことで自分の中で失われたマオリ魂を取り戻しているようだった。
私自身が自分のアイデンティティを家族や国や宗教や民族に委ねて生きてこなかったので他国に住んで生きやすくなったなどとちっとも思わないので、大きなグループに自分のアイデンティティを見出して、そこに所属し心の安寧を得るというのは、一般的に多くの人がやってる行為である。それゆえに国粋主義や極右が先鋭化した形で現れるのである。しかし最近では極左も先鋭化しており、結局先鋭化した先に訪れるのは排他主義で、ロクな世の中にならないのであった。
自分が基本的には田舎の人間で、それが嫌で都会にでたり挙句海外に住んでいるのだがパリやニューヨークに住むことが出来ず結局海外の田舎であるニュージーランドにゴールしてしまった。田舎マインドの強い自分としては海外に住んでいる気分が全くしない所が不満だし、結局田舎人の排他性や暴力性や無軌道さに呆れる事の方が多い。なのでマオリ思想を国家の中枢に据えるのは、自分としてはどうなのかしらと思う。ただしかし、英国人はポーズが上手なので、政府機関のポリシーでメールの初めと締めをマオリ語のグリーティングを使う事以外に、案外芯食ったインタグレーションはしないんじゃないかという気もする。流石植民地支配から被植民地を上手に開放しただけのスキルはあるなと思ったりする。いちいちごたつく米国やフランス、戦後処理が出来ず未だに中国韓国と蔑視することしか出来ない日本に比べると、英国の懐柔能力の凄まじさを実感する。小さい島国のくせに流石大航海時代を経て大英帝国を繁栄させた英国の手腕はいまだに参考にするべき点が多いと思う。英国にいるとまた彼らがどのように植民地支配して彼らを手放してきたかがよく分からないと思うが、非支配地に住むと、また英国の政治手腕が見えてくる。ニュージーランドから米国と日本を見ると、これまた似たような保守国で、腹違いのきょうだいという感じがする。滑稽なのは、国粋主義者たちがなぜかトランプの米国が大好きなことで、トランプは中国やロシアといった強権国家が大好きなのだが、日本のトランプ支持者や陰謀論者たちは中国ヘイトとトランプへの愛顧をどのように成立させているのか不思議でしょうがない。
ちなみにだが、日本の極右が参照にしているニュースソースはエポックタイムズといって、中国政府からカルト宗教として弾圧されている法輪功によって運営されている(ニュージーランドにも入り込んでいる)。彼らはその為に中国政府を攻撃対象とした陰謀論を垂れ流している。日本の陰謀論者がいう事を英語で遡ってみると多くはエポックタイムズ発であることが多い。英語が読めない日本の陰謀論者はこうして嫌中を煽りに煽りまくり、挙句現在は台湾を巡って中国が戦争を仕掛けてくるのではという所まで緊張が高まってしまった。しかし、この懸念については、ロシアがウクライナ侵攻を実行したことで高まったことであり、その前にロシアは安倍政権下で北方領土を事実上返還が不可能な所まで後退させてしまった。2014年にロシアはクリミアを占拠しており、その後に続く北方領土返還交渉の打ち切りは、ロシアンアグレッションの激化の一部だと考えれば、時の政権のインテリジェンスが如何に甘かったかを象徴している。香港民主化も中国が国家警察の力によってねじ伏せた事も記憶に新しいが、ロシアと中国の動きは確実に連動している。しかし中国は国家として民族アイデンティティの中心を担っているのは「経済力」であり、国民生活がまた貧しくなると人口14億が一人っ子政策で一気に人口が減るフェーズに入ると、国力をどうやって維持していくかという問題に一気にぶつかる。今後30年で状況はマジで変わるし(台湾や韓国も30年間でとんでもなく経済発展したので)、たった20年間で日本は一気に没落への道筋をつけたので(派遣労働解禁と氷河期冷遇が重なり、更に安倍晋三政権下で統一教会を政権中枢に招き入れ出産カルト文化を2ちゃんオタク文化と結合させた結果とんでもないミソジニー社会を生み出し、結果出生率の低下を招いた)、政治の失敗は本当に侮れないと思う。そしてその時は統計からみてもわかっていたことなのに、10年20年経ってみないと、政府が騒ぎださない。そして馬鹿ゆえに「異次元のなんとか」と言えば魔法のように全て解決できると思っている。安倍晋三の負のレガシーはこのような形で端的に表すことができ、また国民も口先に騙されるのに慣れて麻痺してしまっている。詐欺に遭った人が何回でも騙される心境と、当たりもしない馬券を買い続ける人の心理は似ていると思う。
中国の場合は共産党一党支配で国会も投票もない社会なので中国政府と人民の意思の乖離があっても当然だとは思うが日本の場合は代議制民主主義なので国会議員に投票して自分の意思を国会に反映させることができる。そういうわけで、日本の没落は国民の意思なのである。
ちなみにニュージーランドの一番の貿易相手国は中国なので、オーストラリアが中国に対し喧嘩を売っても、ニュージーランド政府は静観していた。そのあたりも、ヘイトヘッドに陥るとバランスを欠き利益を失うのでヘイトや差別を平気でやってしまうリーダーは視野のデプスの浅いバカということになる。しかし多くの人は詐欺師に騙されたいようで、そこになぜか熱狂する。そういう人に限って日常的に鬱憤が溜まっていてそれを言語化することも分析することもできない。私はスポーツ観戦もポップスターの大規模ライブも大嫌いなのだが、ストレス発散の方向性が同じだからだろうと思う。多くの人間が一人の人間やイベントに向かって一斉に同じ方向を向くという現象が私は滅法苦手で、その感情の大きな渦に巻き込まれて個を失いたくはないと切実に思う。そういうわけでオリンピックもWBCもラグビーリーグも大嫌いで全く関心が無い。周りがそうだからと一斉に同じ方向を向いて安心するような人間は存在としては虫と同じで、その数の夥しさに私はぞっとするし、そういう人間は個の意思みたいなもんを平気で軽視し権力者に簡単に阿るので、人間として信用するに値しない。