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【エロゲ感想】White Album2 90点

今現在の印象についての記事です


【魅力】

●小さなことを積み上げる

今作は人が死んだり怒涛の伏線回収があったりラストのどんでん返しだったりといった物語を大きく動かす要素はない
雰囲気や演出 登場人物の心情や人間関係の変化などひとつひとつは小さいけどそれらを長い時間かけて丁寧に作り完成度の高い作品になった
高校編から始まり大学編社会人編と物語が進む毎に面白くなっていく
特に雪菜 かずさ 春希の3人にスポットを当てて出会いから惚れたきっかけやその後の複雑な人間関係を徹底的に掘り下げている
足りないと思われてた空白期間は追加シナリオで補完してありまるで隙がない

●喜怒哀楽

自分は今までゲームをプレイして今作ほど喜怒哀楽の感情を揺さぶられた作品はない
春希のクズさに何度イライラしたことか
雪菜やかずさが傷つく場面で何度悲しいと思ったか
馬鹿みたいなやり取りに笑ったりいいエンディングでは泣くほど喜んだりしてた

良くも悪くもここまで感情を動かされたということはそれほど今作を楽しんでプレイした証拠になる

●曲

だいたいのゲームの魅力欄に曲と書いてるけど今作は圧倒的
あまりにいい曲が多すぎる 
・冬の街路樹
・いつか見た景色
・穏やかに過ぎゆく時
・言葉にできない想い
・after all
・honesty
・優しい嘘
・時の魔法
・心はいつもあなたのそばに
・closing
・answer

●人間関係の変化

高校 大学 社会人と物語の舞台が変化するに伴って人間関係も変化する
そのまま関係が続いてる人もいれば疎遠になった人 新しく加わった人もいて本当に1つの人生を追い続けてる感覚になった
たかがゲームだけどされどゲーム
そのゲームでここまで物語そのものを楽しめるのはなかなかないと思う

【キャラ】

●小春ちゃん

大学編では一番気に入った
個別ルート キャラともに文句なしの出来だった

まず何がいいかって話の舞台がたくさんあること
バイト先の飲食店 付属 大学 とさまざま変わる
あと三角関係以外にも「いじめ」というかなり大きな要素を取り扱ったこと
だから話がダレることなく終始完成度の高い内容になった

春希がちゃんと反省して行動で示したのもいい
途中までは春希がクズすぎてイライラしてたけど最終的に小春の受験勉強を教えたり推薦取り消しのそれっぽい理由とか考えたり小春をサポートした
春希がやったこと考えるとそれくらい当然かもしれないけど他のルートの春希がそれ以上にクズだからな

バイト先での掛け合いも好きだ
まるで春希が2人いるみたいな感じですごく賑やかだった

いじめの話は今作初めて精神的につらい場面だった
心折れて不登校になるかと思ったけどそんなことなくかなり心が強いと思った
挙げ句キスマークを周りに見せびらかすなどすごい開き直りもしたので最初の印象とだいぶ変わった
最後まで小春の味方でいた孝宏もめちゃくちゃよかった

このルートは矢田さんとちゃんと話し合ったのもいい
小春ちゃんとも最終的に仲直りできたし後腐れなく終わった
雪菜が話に絡んだのもいい ラストの小春と雪菜との会話はこのルート屈指の名シーン
「なるほど この子が春希くんの好きな人か」
って雪菜が諦めるのがなんともな
春希と雪菜のCGと小春と雪菜のCGの対比は最高すぎた
春希には笑顔で誤魔化してるけど小春には堪えきれずっていうね

エッチシーンも小春ちゃんが一番よかった
バイト先の更衣室でヤるってどんだけだよ
バレンタインチョコもバイト先の更衣室でわたしてたな
バイトやめる時他の女性陣に更衣室でヤッたの打ち明けるのは流石だ
小春ちゃんって割とガチのビッチじゃないかな
学校内の噂はでたらめとは思えない

●麻里さん

春希がクズすぎて微妙なルート 麻里さんのキャラは好きなだけに残念

それは恐らく小春ちゃんとは逆な理由なのもある
舞台がバイト先の出版社と麻里さんの家だけで話がほぼ完結してる
しかも春希が全ルート中で最もクズで話の内容も春希がうじうじしてばかりでずっとイライラしながらプレイしてた
小春ちゃんルートみたいにこれまでのやらかしを挽回する動きもなかったのが痛い
唯一のいいところは麻里さんが春希を責めるわけでもなく許すわけでもないっていう理想的な対応をしたことだな
これは雪菜やかずさや他のキャラでもできない動きだ
何度もいうが麻里さんは行動や人格や容姿に関してはむしろ今作で一番といってもいいくらいなだけに個別ルートの内容がいまいちなのが悔やまれる

●千晶

好みが分かれるキャラだと思う
自分としてはキャラ 個別ルートともにそこまでいいとは思えなかった

千晶がぶっ飛びすぎてあまり感情移入できなかったことが要因だと思う
プレイしてて「なんかヤバ」って感想しか出なかった
武也が宇宙人と言ってた通り自分は千晶に人間らしさを感じることができなかった

ただ印象に残ってることとしてあの千晶でさえも完全に雪菜を演技するのは無理だったこと
雪菜の複雑さはプレイすればするほど分かるから尚さらだ

●かずさ

本当に僅かな差だけど自分は雪菜の方が好き
高校編までなら迷わず雪菜派だったけど社会人編や追加シナリオをプレイするとかずさの魅力がどんどん出てきた

【高校編】

かずさは追加シナリオでも分かる通り3年になって割と早い段階で春希のことが好きになってたな
高校編のかずさはやっぱ学園祭前の合宿が一番好きだな
普段は春希がかずさに説教してたけど今回は逆にかずさが春希にギターを始め細かいことを説教してそんな2人のやり取りを雪菜がにこにこ笑いながら眺めてた
いつまでもそんな楽しい3人が続いて欲しかった

千晶の指摘も印象的だったな
雪菜が前向いて歌ってる間2人が見つめ合ってたのって他の人から見てもバレバレな態度だったんだな
曜子さんにバレたのも別におかしいことではなかった

もしかずさが先だったら って誰もが思うけどそれも追加シナリオにあったな
それも結局雪菜が我慢できずダメになるというね
この3人はもう確定で崩れるようになってたのかもな

【大学編】

大学編でかずさのコンサートに行く選択肢があるけど絶対選べないようになってるのは驚いた
ゲームならではの演出だし今作はこのような細かいけどいい演出がたくさんあるからな

【社会人編】

CGやムービをみた印象だとかなり大人びた感じだったけど実際は高校の頃のままだったな
狭い世界の中で生きて人を拒絶してかなり幼稚
春希と一時的に共同生活を初めてその幼稚さにちょっとイラついたけど逆にそれがかずさのかわいさを引き出してるなって思った
雪菜も言ってたけどそのかずさ特有のかわいさは反則だと思った
カレーこぼした時なんてまるで赤ん坊同然だったからな ケガしてたとはいえ

春希に攻められてる時も
「そんなひどいこと言わないでくれよぉ」
と弱っていくのもかわいかった

●雪菜

最初はただのかわいい女の子だけど本編を進めていくととんでもないほど黒い部分を内に秘めていて全編通して雪菜の心の動きを楽しめた

【高校編】

最初はおとなしめかと思ったら追加シナリオで高校編から既にいろいろ仕掛けていることが分かった
なによりかずさと出会ってすぐに春希に好意を抱いていると見抜くほど鋭い

本編だけでは雪菜がかずさを同好会に勧誘した切り札が明かされなかったけどここで分かってスッキリした

学園祭前ではかずさに春希が好きだと口で言わせようとかなりしつこかった
しかも自分は全然恥ずかしくないからって勝手に言ってかずさが言わないのは不公平なんてずるい作戦も使った

学園祭後にかずさが抜け駆けしたと雪菜は言ってたけど正直ここまでかずさを刺激させておいて何言ってんだこいつって感じだった

3人がいいってよく言ってたけどそれも自分が仲間外れにされたくないただのワガママで告白までして結局3人の関係は終わるしな

追加シナリオでかずさが先に春希と付き合う話があるけど我慢できず結局雪菜から3人の関係を終わらせたからな

高校編だけでも本当に面倒な女だと思うけど雪菜がいたから物語が面白くなったのでそこまで攻めることはできない

【大学編】

いきなり3年冬からスタートだったけどそれも追加シナリオで補完してたからな
1年時はなんだかんだ上手くいきそうだったけど例の曲が流れたせいで一気に崩壊したのは巡り合わせ悪い

2年時は雪菜がいつものメンツ以外の人とつながりを持ち始めたけど名前忘れた苦学生とのいざこざで春希と距離を置くようになった

3年以降の本編からは小春ちゃんや千晶たちとの話と雪菜を絡めながら話を展開してたな
流石に麻里さんルートで雪菜を絡めるのは無理だったけどかずさが少しだけ関わったな

正直大学編雪菜ルートは可もなく不可もなくって感じ
「根暗でキモくてワガママな私」って自ら言ったのは印象的だったけど
春希が他のヒロインと結ばれて負けた雪菜の方が魅力的だった
さっきも書いたけど小春ちゃんルートの雪菜は大学編では一番よかった
千晶ルートの雪菜は個人的に一悶着欲しかった

【社会人編】

自分がなぜ僅かな差で雪菜派なのかは理由がある
雪菜の望む幸せは自分だけではなくその家族や武也や衣緒 朋とかの友達 もちろん春希も含めて全ての人が楽しく笑顔でいること

対してかずさは自分と春希の2人だけがいればそれでいいと考える

自分は雪菜の考えに賛同するしそうであって欲しいと思ってる
この思想の差が勝負の分かれ目になったな

これは別に自分自身が雪菜みたいなお利口さんというわけではない
物語的に自分がハッピーエンドや大団円を好むから
今作がどのような結末になるかという問題で自分が雪菜の望む幸せのような展開になって欲しかったから

●衣緒 武也

あんなにクズな春希を最後の最後まで見捨てないとんでもないほどの聖人ぶり
ちょっとお節介なところもあるけど春希には全然劣る

特にかずさルートの武也は最高すぎたね
雪菜でもかずさでもない親友っていう唯一無二な存在になった

追加シナリオラストでようやく結ばれた描写があったが果たして

●春希

スクールデイズの誠みたいに刺されるエンド来い!
早くこいつ死なねーかな
とか考えながらプレイすることもあったほどクズ主人公

こいつは本当に嫌いだから詳しくは書かず最小限にする
まず一番クズだったのは麻里さんをレイプしたこと
本当に死ぬべきだと思った

あとヤバかったのは追加シナリオで名前は忘れた苦学生に対してキレたことだな
俺の雪菜に告白してるんじゃねえ!
とか意味不明なこと抜かした時は怒り通り超して頭ポカーンってなった
今作を終えてよかったことの1つにもうこいつを見ずに済むことも含むからな
最後に1つ きしょい自己陶酔のポエムに1回浸る毎に10回は士ねってこと

【好きな話】

●社会人編雪菜ルート

自分は高校→ノーマル→小春→麻里→千晶→雪菜→浮気→ノーマル→かずさ→雪菜 (追加シナリオは社会人編雪菜後まとめてプレイした)
という順番にした

このルートをプレイするまでは80点くらいの評価だったけどこのルートをプレイして一気に100点までいった
正確にいうならこのルートの雪菜がかずさのホテルに殴り込みに行ってからだな
なんだかんだやり取りを見てると急に
「あれ?このルート意味不明なくらい面白くね?」
ってなってその後もどんどん面白さを増した

自分の望みであるお互いの本音をぶつけ合うことをようやく達成してくれて嬉しかった
その後ビンタし合うまでに発展したな
よく女の争いは醜いと言われるけどこの2人の争いほど美しい女の争いはないなって思った
確かにお互い憎んではいるけどそれ以上に親友でいたい 好きって気持ちもあるからな

いつもの3人になって合宿してからは面白さはピークに達したな
めちゃくちゃなスケジュール立てるかずさに曜子さんが心配する場面の
「知らないのか?」
「何を?」
「3人集まればできないことなんてないんだよ」
ってやり取りで「さくら、もゆ」以降久しぶりにゲームで泣いたな
こういうバカだけど面白そうで達成したらすごいことって展開に意外と自分は弱いと思った
あと自分はかずさはこういう無敵感溢れてる時が一番魅力的だと思った

その後も曜子さんに
「あたしの演奏がすごすぎて高血圧になるなよ」
とまた無敵感溢れながら大成功して最高だった

ラストのエンディングも反則だったね
泣くに決まってる
雪菜の望む通りみんな笑顔で幸せそうにしてた
ハッピーエンドが好きな自分としては文句なしのシナリオだった

●不倶戴天の君へ

雪菜が精神崩壊しまくって楽しくもありつらいシナリオ
時間が解決っていうリアルな感じが印象的だった
雪菜とかずさのシナリオを交互に展開して銀河英雄伝説の同盟と帝国を思い出した

終盤のかずさと雪菜の電話シーンもよかった
このルートではお互いは親友にはなれず最悪の敵どうしという社会人雪菜ルートとの対比になってたな

かずさの演奏後の曜子さんも最高だった
まだ若いかずさに嫉妬の炎と野心を燃やし病気なのに練習するシーンで今作3回目の号泣

ラストのインタビューのシーンのかずさは今作一番のかわいさ
ここで4回目の泣き
あのかずさがちゃんとインタビューに対応してて本当に成長を感じることができた
雪菜も完全に敗北を感じ春希とともにもう遠くの存在なんだなってことになったな

【総合評価】

今作は本当に素晴らしい内容だった
かずさ 雪菜 という2人のヒロインがとにかく魅力的だった
一人のキャラをここまで掘り下げるゲームはないと思う
自分はやっぱたくさんのことを掘り下げまくる長い作品の方が合ってると思った
今作くらい内容が詰まってないと物足りなく感じてしまう

今回は「さくら、もゆ」以降ようやく100点の作品に出会うことができた
前も書いた通り同じ100点でも大きく違う
「さくら、もゆ」は実質200点で今作は最後にプレイした不倶戴天の追い上げで125点くらいまで上がった

点数では大きく劣ってるけどそこは気にならない
自分が「さくら、もゆ」をプレイしての一番の懸念要素がハードルが上がって100点いく作品に二度と出会えないのかという不安
けど今作は「さくら、もゆ」とは全然違った内容でも100点以上の出来だった

だからジャンルはあまり関係なく完成度が高ければ100点以上の作品はこの先いくらでも出会う可能性があるということが分かった
つまりこの先はそういう無駄な心配はせずにプレイに集中できる

100→96点  9/28に修正

96→90点 9/30に修正


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