paper too early
[自堕落な生活]って、こういう事なのか?と思うほどダラダラした日々を過ごしている。
アパートで一人暮らし、独身、親友と呼べる友人もいない、彼女無し、趣味も無し…のせいか、こんな毎日が続いている。
会社を辞めて1か月近くなるが、何もしていないし、何もする気にならない。また、何も出来ない。会社の方で有給と代休の消化のため、辞めたと言ってもまだ所属している事になっているからだ。
なので普段は、パチンコに行ったり、近くの居酒屋に晩飯ついでに飲みに行く程度だ。
30歳になり、8年ほど勤めた会社を辞めたが、特にやりたい事があって辞めた訳ではなく、「何か違う、このままでいいのか?」と、ただその理由だけで辞めてしまった。
「夢!希望!」なんて持っていない、あるとしたら「願望・欲望」だけ、まぁ考えようによっては一緒かもしれない。
1か月半程過ぎたある日、昼頃起きてシャワーを浴び、朝食兼昼食を食べてパチンコ屋に行こう思い玄関の扉を開けると、扉の郵便受けに、会社から封書が届いていた、それと新聞が入っていた。
「あぁ離職票だな! ん?新聞?」と、思いながら下駄箱の上に置いて、食事&パチンコ屋へと出かけた。
あっけなく数万円負けたので、そそくさとアパートに帰った。
明日、ハローワークや役所に行くために会社から届いていた書類を確認して、コンビニで買った弁当を食べながらTVを見て過ごした。
「そういえば新聞が入っていたなぁ、隣と間違えたのかな?」と思いながらも暇なので、新聞を読んだ。
[ローカル新聞 スポーツ版]という新聞だ、「そんな新聞があるのか?イタズラ?パロディ?」と思いながらも退屈なので読み続けた。プロ野球で[〇〇選手が〇号ホームラン!]など特に感動する記事はない、「ふぅ〜ん!」と思う感じでひと通り読んだ。
翌日、ハローワークや役所に行く用事がないので、朝からパチンコ屋へ直行した。久しぶりに大勝ち!とまではいかないがそこそこ勝つ事が出来た。
夜、アパートへ帰り、コンビニで買ったスイーツを食べながらTVを見ていると、[〇〇選手が〇号ホームラン!]や[〇〇選手がハットトリック!][俳優の〇〇と女優の〇〇が…!]など、「ん?あれっ?」「デジャヴ?」と思うようなニュースがやっていた。新聞を捨ててなかったので、見てみると明日の日付になっていた。
「偶然?…そんな訳はない!」「気持ち悪い」と思いつつも夜も遅いせいか寝てしまった。
翌朝、TVのワイドショーと新聞を見て、「やはり、合っている」気持ち悪いと言うより「何故?」の方がつよかった。
1週間ほど過ぎて、新聞の事を忘れていたら、また新聞が郵便受けに入っていた。日付を見ると4日後の日付になっており、4日後の朝にワイドショーを見ていたら、前回と同様に内容は合っていた。
気持ちが悪いのと何故なんだろうと、思いがあるが、誰にも話す事は出来なかった。
これから新聞は不定期ではあるがしばらく続いた。
これにより私の人生は変わってしまったと思う。再就職して、残りの人生4〜50年あるとを考えて、やはり大きく大きく変わった。
One Day ①
また、新聞が入っていた。これは何か使えないかと思い安直な考えであるが、「サッカーくじや宝くじを買ってみたら当たるのだろうか」と思い、新聞に載っていた当選結果を、新聞の日付の前の日に数字選択式のロトくじを買ってみた。小心者とやはり信用してないのか、2等狙いで買った。
当然かもしれないが、当たった。さらに金額も当選口数も合っていた。
「これは、俺がこのくじを買う事も分かってたのか?」と当たって嬉しいより、やはり不気味に思った。
こんな事が数回続いたが、やはり1等狙いは出来なかった。
それと新聞が届くのが待ち遠しくなり、いつ新聞が来るか分からないので、旅行などの遠出が出来なくなった。
One Day ②
新聞が入っていたので、今度は競輪や競馬などの公営ギャンブルをすることにした。
宝くじは数千万や数億が当たるが、1等は怖いのと、高額だと銀行に換金に行かなくてはならないのが面倒であり、やはり怖い。
その点、公営ギャンブルはその場で換金出来るので、かなり魅力的である。
また、各レースを数万円ずつ当てればそこそこの金額が期待出来るのと、サテライトなどの場外売場だと、色々な開催場を購入出来るので1日でかなり高額になる。
という事で、新聞に載っているレース結果をメモして、サテライトに行った。
税金の確定申告の対象にならないように、目立たぬように、1レースに10万前後の当選になるように掛け金を調整しながら買った、当然だが全てレースを的中し、数百万稼いだ。
One Day ③
新聞が来るのは不定期なので、投函間隔が3日だったり、10日だったり、2週間だったりと様々だ。
さすがに不定期とはいえ何度も投函されるし、未来?の新聞なので、とても気になり、いつ・誰が運んでいるのか、他の住民には配られていないかを確認するため、玄関で生活をする事にした。
不定期という事が厄介で1週間新聞が来ていないので、今日から三日三晩玄関で張り込むことにした。食事を取りに行ったりトイレに行く以外は玄関に座っていたが、投函されなかった。
「まぁ、今までいい思いさせてもらった、稼がせてもらったから、無理して探さなくてもいいかっ!」と思い、夜食事に出掛け帰って来て普通にベッドで眠った。
翌朝、新聞が入っていた、日付は今日だった。
One Day ④
前回から8日ぶりに新聞が入っていた。日付は3日後だ。
3日後なので、明後日サテライトに行くとして、真面目に今後の事を考えなくてはならないと思い、ハローワークに行き認定の手続きを行ったり、再就職先を考えたが、一度甘い汁を吸った者は普通の生活?にはなかなか戻れない。
一生遊んで暮らせるほど稼いだ訳でもない、ただこれから生きていくにあたって世間体を考えると定職に着くか、事業でも起こすかになる。
結婚して家庭を持って幸せに?生きていくには新聞は期待出来ないし、期待してはならない。
と、分かっていても欲望の塊の様な俺は新聞のレース結果をメモしてサテライトへ向かった。当然勝たせてもらった。
One Day ⑤
やはり、将来の事を考えると新聞が気になった。
前回の張り込みはダメだったので、業者に頼み、玄関の外と通路を見渡せる所とアパート周辺に監視カメラを設置し、部屋のPCで確認出来るようにした。
業者に頼んだので数十万かかったが、今まで稼がさせてもらった額に比べたら安いもんだ。
ただ、数台のカメラの画像を24時間30日分を録画するにはかなり大容量のハードディスクや設定が必要となるようで、理想の監視体制にするには数日かかるようだ。
まぁこの間に新聞が投函されたら、ラッキー?アンラッキー?と思うしかない。
ただこのままでいいのかなぁ?このままでは終われない!いいや、終わらない!