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本当の初学者向け神経解剖学4

 本当の初学者が初学者の視点で書いたものが最も初学者に適した物である、という名目で備忘録を残しました。厳密な交渉は全くされていないどころの話ではないものであることを承知の上でご参照ください。労力の問題で図は用意できていませんので、教科書を参照いただくと良いと思います。


大脳皮質

 6層構造をとる新皮質(等皮質)と、6層構造をとらない原皮質古皮質とからなる。
大脳皮質=新皮質+原皮質+古皮質
新皮質(等皮質)・・・中心溝外側溝頭頂後頭溝などにより前頭葉頭頂葉側頭葉後頭葉に区分される。 古皮質(嗅脳)・・・嗅覚に関わる皮質。嗅葉、梨状葉前皮質、扁桃体などからできている。ヒトでは発達が悪い。
原皮質・・・海馬などの側脳室周辺の古い皮質(海馬、歯状回など)新しい記憶の獲得に関わる
大脳辺縁系・・・海馬、海馬傍回、帯状回、梨状葉皮質などと扁桃体、中隔核などからなる。本能、情動、記憶、内臓機能などに関与する。広義で嗅脳に含まれる。
海馬・・・短期的な記憶、新たな記憶の形成に関わる。

表面の観察

鳥距溝
頭頂後頭溝
中心溝
海馬鈎
中隔核
皮質嗅覚中枢(梨状葉前皮質

機能地図

  1. ブロードマンの皮質領域

  2. 前頭葉:1次運動野運動前野補足運動野前頭眼野ブローカ中枢

  3. 頭頂葉:1次体性感覚野

  4. 側頭葉:1次聴覚野ウェルニッケ中枢

  5. 後頭葉:1次視覚野

  6. 連合野:前頭連合野頭頂連合野側頭連合野

1次運動野・・・前頭葉中心前回にある。鳥距溝に面する。ブロードマンの脳地図で野にある。
1次感覚野・・・頭頂葉中心後回にある。ブロードマンの脳地図で3-1-2野にある。
1次視覚野・・・後頭葉内側面後部にある。ブロードマンの脳地図で17野にある。
1次聴覚野・・・側頭葉横側頭回にある。
ブローカ中枢(運動性言語中枢)・・・ここの傷害により運動性失語症(非流暢失語症)が起きる
ウェルニッケ中枢(感覚性言語中枢)・・・ここの傷害により感覚性失語症(流暢失語症)が起きる

コラム

嗅覚や感情が過去の記憶と結びつく理由
 嗅神経は嗅球に投射し、その後多くは外側嗅条を通り、梨状葉前皮質扁桃体に投射する。これらは大脳辺縁系である。このため嗅覚などが過去と関連付けられる。

運動路

反射・・・大脳皮質を経由しないで不随意・無意識に生じる知覚応答

重要な脊髄反射

伸張反射(深部腱反射)・・・筋肉が急に引き伸ばされたときに、その筋肉が反射的に収縮する反射。筋肉や関節を保護する役割。ex)よろけた際に反射的に膝関節が伸びる
屈曲反射・・・刺激に対して体の一部が自動的に屈曲する反応。主に痛みや不快な刺激から身体を守るための防御反射。
拮抗抑制・・・抑制介在ニューロンが反射で用いる筋肉の拮抗筋に働き抑制する
自原抑制・・・α運動ニューロンを抑制し、動かそうとする筋肉が弛緩するのと 同時に、主動筋と反対の動きをする拮抗筋が緊張する。これにより、 筋肉の損傷を防ぐこの反応を、ゴルジ腱反射という。

運動路

脊髄下行路(運動路)=錐体路錐体外路
錐体路皮質脊髄路皮質核皮質延髄・皮質球
錯体路
・・・ 大脳皮質第5層に始まり主として脊髄に終わる下行路のこと。皮質脊髄路皮質核路がある。
皮質脊髄路・・・内包(間脳)、大脳脚(中脳)、縦橋線維(橋)、延髄錐体、錐体交叉を順次通過し、対側前角運動ニューロンを直接又は間接的に支配する。内包の断面で後脚前部を通る。
皮質核路(皮質延髄路、皮質球路)・・・大脳皮質第5層より脳幹の運動性脳神経核にいたる 下行路のこと。顔面神経の下半部と舌下神経を除き、原則として両側性支配をする。内包の断面で内包膝を通る。

錐体外路・・・錐体路以外の運動路のこと

  1. 赤核脊髄路

  2. 網様体脊髄路(橋(内側)~、延髄(外側)~)

  3. 前庭脊髄路(内側~、外側~)

  4. 視蓋脊髄路

  5. 間質核脊髄路

コラム

バビンスキー反射(病的反射)・・・乳児の時陽性である。生後1年ほどで錐体路が完成することで消失する。

感覚路

 感覚路は、感覚区分(受容器)の違いや部位の違いにより異なる伝導路にわかれる

  1. 体性感覚路(≒ 脊髄上行路)は、後索・内側毛帯系、脊髄視床路系、脊髄小脳路系、三叉神経毛帯系に分けられ、脊髄白質の異なる部位を通るため、脊髄障害などでは知覚解離が生じる (ブラウン・セカール症候群、脊髄空洞症、脊髄癆、前脊髄動脈症候群)

  2. 視覚伝導路・・・網膜鼻側半由来線維のみが視交叉で交叉(半交叉)する

  3. 聴覚伝導路・・・多様な経路を経た後、下丘→内側膝状体→聴覚野に至る

  4. 味覚の2次ニューロン・・・延髄孤束核(外側部)にあるが、伝導路全体 としては体性感覚と類似の経路をとる

  5. 嗅覚の伝導路・・・他の感覚路とは大きく異なり、大脳辺縁系と関連する

精細触圧核、振動覚、意識にのぼる深部感覚
後索・内側毛帯系
三叉神経知覚根
粗大触圧核、温度核、痛覚、意識に上る深部感覚
脊髄視床路(脊髄毛帯)系
三叉神経脊髄路
意識に上らない深部感覚
脊髄小脳路
三叉神経中脳路

コラム

右視神経損傷→右眼の視野の完全欠損
右視索損傷→左同名半盲
下垂体腫瘍視交叉の交差線維の障害→両耳側半盲

髄膜・脳脊髄液

髄膜

髄膜・・・脳と脊髄を包む3層(外層から硬膜クモ膜軟膜)からなる被膜。脳において硬膜の内葉と外葉は密着しているが、硬膜静脈洞でのみ乖離している。
硬膜・・・外葉と内葉の2層からなる。外葉は頭蓋および脊柱管内面の骨膜に等しい。内葉は脳では大部分が外葉と密着するが、硬膜静脈洞では解離して血液を入れる。内葉が作るヒダが頭蓋腔の隔壁をなす=大脳鎌、小脳テント、小脳鎌、鞍隔膜。
クモ膜下腔・・・クモ膜と軟膜の間は広く、脳室より流入する脳脊髄液が流れる。特に広い腔所をクモ膜下槽という(小脳延髄槽、大脳外側窩槽など)。

脳脊髄液

脳室・・・側脳室(有対)、第三脳室中脳水道第四脳室からなり、脊髄中心管へ続く。第四脳室正中口と外側口(および中山の孔)を通じてクモ膜下腔と連絡する。
中脳水道・・・第3脳室と第4脳室をつなぐ
脈絡叢・・・側脳室、第三脳室、第四脳室に存在する。脳脊髄液血液または血漿から産生する。脳脊髄液は脳室、クモ膜下腔を循環した後にクモ膜顆粒より硬膜静脈洞へ回収されることが定説となっている。しかしこれは現在疑問視されている。

動脈

内頚動脈・・・脳を栄養する。最初に眼動脈を分枝する。その後前大脳動脈中大脳動脈に分かれて終わる。このとき海綿静脈洞内を通過する。
椎骨動脈・・・脳を栄養する。前後脊髄動脈後下小脳動脈を分枝した後、左右が吻合し、脳底動脈となる。その後、また左右の後大脳動脈に分かれて終わる。
大脳動脈輪・・・前大脳動脈、前交通動脈、中大脳動脈、後交通動脈、後大脳動脈のリング。

静脈

内頚静脈・・・S字静脈洞が頸静脈孔を通り内頚静脈となる。

コラム

頭蓋外の炎症の波及経路
 上眼動脈海綿静脈洞とつながる。頭頂導出静脈上矢状静脈洞と繋がっている。これが炎症の波及経路となり髄膜炎の発症リスクをもたらす。

硬膜外血腫・・・頭蓋骨の骨折等による中硬膜動脈の破裂
クモ膜下出血・・・頭蓋骨の骨折等による大脳動脈輪の動脈瘤破裂


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