真月刀~moon sword~舞台脚本
2022年2月に「尾張鳥忍衆」様、初の単独公演にて拙作を上演していただきました。
歌あり、アクションありのとても素敵な舞台でした!
(皆さんめっちゃカッコよかった…惚れる…!)
私にとっても初めて自作脚本を演じていただき、とても嬉しかったです。
その時の脚本です。
技術的に拙い点も多々ありますが、かなり自分の好きなように好きなジャンルを書かせていただいたので
「叶野遥」を知っていただくのにぴったりの作品の一つだと思っています。
またこんな作品を書きたいです!
人物
ケイカ 神子の護衛役。兄
カイドウ 神子の護衛役。弟
セイラン 真月刀の神子。
リュウグウ 呪術を使う剣士
ヘイロン リュウグウの部下
パイロン リュウグウの部下
本編
〇オープニング
(音楽のみ、台詞なしで)
聖なる刀「真月刀」が納められて
いる祠を目指すセイランと護衛す
るケイカ、カイドウの兄弟。
リュウグウの部下たちが立ちふさがる。
セイランを護り戦うケイカ、カイドウ。
カイドウ、セイランに先を行くよ
う促す。
先を行くセイラン。
ヘイロンとその部下がセイランに
襲い掛かる。
絶体絶命!のところで
ケイカ登場。
セイランを助け、ヘイロンと戦う。
ヘイロンに深手を負わせ部下たち
を倒していく。
リュウグウ登場。
立ち向かうケイカ。
強力なリュウグウの前に倒れるケイカ。
セイランが見守る中、リュウグウ
がケイカにトドメを刺す。
ケイカ、倒れる。
リュウグウと部下たち退場。
カイドウ登場。
ケイカに駆け寄る。
カイドウ「兄上…兄上ええええっ!」
(暗転)
カイドウ、倒れているケイカを抱
きかかえて泣いている。
カイドウ「兄上…」
セイラン「カイドウ、進みましょう。リ
ュウグウ達が一時退却している今のう
ちに祠まで行かなくては」
カイドウ「そんな、では兄上はどうする
のですか。このままここへ置いていく
というのですか?兄上を!そんなこと
…そんなこと、僕にはできません!」
セイラン「カイドウ」
ケイカを抱え泣いているカイドウ。
セイラン、カイドウの頭を叩く。
カイドウ、驚いて顔を上げる。
セイラン「カイドウ。貴方とケイカの任
務はなんですか」
カイドウ「セイラン様を…真月刀の祠ま
でお守りすることです」
セイラン「そう。私は国を、民を危機か
ら救うためにも真月刀を手に入れなけ
ればなりません。それが神子である私
の使命なのです」
カイドウ「はい…わかっています。神子
の護衛は、私たち兄弟にとって何より
の誇りです」
セイラン「ケイカは立派に任を果たして
くれました。その後を継げるのは貴方
だけです」
カイドウ「僕だけ…」
セイラン「ケイカを失って悲しいのは私
も同じ。でも…お願い。今は耐えて」
カイドウ、ケイカを横たえる。
ケイカの服の飾りを手に取る。
カイドウ「兄上、ちょっと借りてくね」
カイドウ、飾りを懐にしまって立
ち上がる。
カイドウ「失礼しました。参りましょう」
セイラン「ええ」
セイラン、ケイカの前に跪き
セイラン「ケイカ。必ず、真月刀を持っ
て戻ってきます。それまで淋しいだろ
うけど、待っていてね」
頭を撫でてから立ち上がる。
カイドウとセイラン、祠へ向かう。
〇リュウグウ一行
ヘイロンの傷を手当するパイロン。
リュウグウ、手酌で酒を飲んでいる。
リュウグウ「あんな若造に深手を食らう
とはな、ヘイロン」
ヘイロン「少し油断しただけです、次こそは」
リュウグウ「もう俺が斬っちまったよ、
あの若造は。この俺に尻ぬぐいさせる
たぁ、随分と偉くなったもんだな!」
リュウグウ、ヘイロンに酒の入っ
た盃を投げつける。
パイロン、ヘイロンを庇う。
パイロン「申し訳ございません!兄の不
始末は、弟パイロンの役目です。どう
か僕にやらせてください」
リュウグウ「いいだろう。どうせ真月刀
と神子の力を手に入れるにはもう一匹
ネズミを始末しなきゃならんからな」
パイロン、一礼して去っていく。
リュウグウ、ひょうたんから直接
酒を飲む。
ヘイロン「リュウグウ様、私も」
リュウグウ「ああ、どうせあいつ一人じ
ゃ敵わんだろうからな、お前も行け」
ヘイロン、一礼して去っていく。
リュウグウ、酒を飲みつつ銅鏡を
掲げる。
リュウグウ「ま、せいぜい時間稼ぎしてくれや」
〇道中
カイドウとセイラン、逃げるよう
に走ってくる。
後を追ってくるパイロンと手下たち。
カイドウ、セイランを庇いながら対峙する。
セイラン「カイドウ…!」
カイドウ「祠はこの先ですよね」
セイラン「ええ」
カイドウ「ここは僕が抑えます。セイラ
ン様は先へ!」
セイラン「わかった…カイドウ、無事で!」
セイラン、走っていく。
カイドウ、剣を構える。
パイロン、剣を構える。
パイロン「お前はこのパイロンが倒す!」
カイドウ「僕は負けない!」
カイドウとパイロン、戦う。
激しい戦い。
カイドウの剣がパイロンの肩を傷つける。
パイロン、肩を押さえうずくまる。
パイロン「ううっ」
カイドウ「セイラン様に追い付かなきゃ。
じゃあな」
カイドウ、剣を納めて退場。
パイロン「ま、待て!」
パイロン、腕が痛くて追えない。
悔しそうに地面を殴る。
ヘイロン登場。
パイロンに肩を貸し、二人でカイ
ドウの後を追っていく。
カイドウに追い付くヘイロンとパ
イロン。
カイドウ「しつこいな!」
ヘイロン「私たちは負けるわけにいかないのだ!」
パイロン「覚悟!」
カイドウ、ヘイロンとパイロン相
手に戦う。
隙をついて一撃をくわえ二人に勝利。
カイドウ「急がなきゃ…」
カイドウ、急いで去っていく。
ヘイロンとパイロン、傷だらけに
なりながらも後を追う。
〇祠の間
セイランが走ってくる。
セイラン「祠、あった…!」
カイドウが走ってくる。
カイドウ「セイラン様、ご無事ですか!」
セイラン「あなたも!どこもケガしてい
ませんか?」
カイドウ「はい!(祠を見て)あれが、例の?」
セイラン「そう」
セイラン、祠に近付いて扉を開ける。
中には真月刀が納められている。
セイラン「これが、国の危機を救うと言
われている聖なる刀・真月刀」
セイラン、合掌して一礼すると真
月刀を手に取る。
セイランの動きが止まる。
カイドウ「とうとうやりましたね、セイラン様!」
セイラン「………」
カイドウ「セイラン様?どうかしたんですか」
カイドウ、セイランに近付く。
セイラン、真月刀でカイドウに斬
りかかる。
驚いて避けるカイドウ。
カイドウ「何するんですかセイラン様!」
セイラン、無表情で真月刀を構える。
カイドウ「セイラン様…?」
セイラン「殺す…リュウグウ様以外、全員殺す…」
セイラン、カイドウに斬りかかる。
カイドウ、逃げる。
カイドウ「セイラン様、しっかりしてく
ださい!どうしたんですか!」
リュウグウ、ゆったりと登場。
リュウグウ「美しいものだなぁ、美女の
剣の舞は」
セイラン、リュウグウの隣に立つ。
カイドウに刀を向けたまま。
カイドウ「リュウグウ、セイラン様に何
をした!」
リュウグウ「何、ちょっとお願いをした
だけさ。俺のために真月刀を使ってく
れ、とな」
カイドウ「まさか、セイラン様に呪い(ま
じない)をかけたのか」
リュウグウ「大事な神子様から離れちゃ
だめだろ、お守りくん」
カイドウ「貴様っ」
カイドウ、リュウグウに斬りかか
るがセイランが庇う。
カイドウ、下がる。
カイドウ「セイラン様…!」
ヘイロン、パイロン登場。
ヘイロン「リュウグウ様、遅くなりました」
リュウグウ、包帯を巻いているパ
イロンを見る。
リュウグウ「結局お前も負けたんだな。
役立たずのガキどもめ」
パイロン「も、申し訳ございません」
リュウグウ「まぁいいか。最後のチャン
スをやるよ。神子様と一緒にあのガキ
を倒すんだ。三人がかりなら余裕だろ」
ヘイロン「そんな、自分は一人でも」
リュウグウ「捨てられたくなけりゃ言わ
れた通り働け」
ヘイロン「…はい」
セイランの隣にヘイロン、パイロ
ンが並びそれぞれ剣を構える。
セイラン「殺す」
セイラン、ヘイロン、パイロンが
カイドウに襲い掛かる。
カイドウ、必死に応戦する。
しかしセイランからは逃げるしかない。
カイドウ「セイラン様、目を覚ましてく
ださい!セイラン様!」
リュウグウ「無駄無駄。俺の呪いは強力だぜ」
カイドウ、必死で躱す。
カイドウ「セイラン様、これを!」
カイドウ、ケイカの服から取って
きた飾りをセイランに突き出す。
セイランの動きが止まる。
カイドウ「目を覚ましてください、セイ
ラン様。兄上が…ケイカが待ってます。
私たちが真月刀を持って帰ってきてく
れることを。セイラン様が、神子とし
て目覚めてくれることを」
セイラン「ケイカ…」
カイドウ「僕もあなたを信じています。
お願いです、目を覚ましてください!」
セイラン、頭を抱えて苦しむ。
セイラン「ううっ」
リュウグウ「無駄無駄」
カイドウ「セイラン様!」
セイラン「うう、ケイカ…カイドウ…」
カイドウ、セイランに近付く。
カイドウ「失礼します!」
カイドウ、セイランの頭を叩く。
セイラン、顔を上げてカイドウを見る。
セイラン「…」
カイドウ「…」
セイラン、手を振り上げる。
セイラン「神子様に手を挙げるとは無礼なりっ」
カイドウ「わあっすみませんでした!」
振り上げた手でカイドウの頭を撫でる。
セイラン「でも、ありがとう。カイドウ」
カイドウ「セイラン様、目覚めましたか」
セイラン「ええ。あなたの声が聞こえたわ」
セイラン、カイドウの隣に並び、
ヘイロンとパイロンに剣を向ける。
リュウグウ「馬鹿な!」
ヘイロンとパイロン、カイドウと
セイランに襲い掛かる。
セイラン、真月刀で応戦する。
カイドウ、セイランを護りながら戦う。
ヘイロンとパイロン、倒れる。
ヘイロン「くそ…」
リュウグウ、剣を持ち前に出る。
リュウグウ「やれやれ、予定が狂ったな」
カイドウ「リュウグウ、兄上を斬り、セ
イラン様を操ったお前は許さない」
リュウグウ「なら敵を討つといい。討て
るものならな」
カイドウ、リュウグウに立ち向かう。
リュウグウ、余裕のある素振りで
カイドウの相手をする。
リュウグウ「まだまだ若造だな」
リュウグウ、隙を突いてカイドウ
を転ばせる。
カイドウ「うわっ」
倒れたカイドウを足で押さえつけ
るリュウグウ。
セイラン「カイドウ!」
リュウグウ「お疲れさん。今兄上の元へ
送ってやろう」
リュウグウ、剣を構える。
セイラン「カイドウーっ!」
(辺りが白く光る)
光が治まると、リュウグウの剣を
ケイカが受け止めている。
リュウグウ「なに?」
ケイカ、リュウグウの剣を跳ね返
すとカイドウを助け起こす。
ケイカ「大丈夫か、カイドウ!」
カイドウ「あ、兄上無事だったのか?」
ケイカ「その話は後だ。いくぞカイドウ、
俺とお前二人なら、絶対に倒せる」
カイドウ「うん!」
ケイカとカイドウ、剣を構える。
リュウグウ「確実にやったと思ったがな
…まあいい。改めて殺してやるまでだ」
ケイカとカイドウ、リュウグウに
飛びかかる。
激しい戦い。
ケイカとカイドウ、力を合わせ、
ついにリュウグウに膝を着かせる。
ケイカとカイドウ、息を合わせて
トドメの一撃。
リュウグウ「馬鹿な…たかが若造二匹に
この俺が負けるなんて…」
リュウグウ、倒れる。
ケイカとカイドウ、笑顔でハイタッチ。
セイランが飛び出してきて二人に飛びつく。
抱き合う三人。
〇祠の間
セイラン、真月刀を掲げている。
カイドウ「真月刀の力、ですか」
セイラン「ええ。間違いないと思う。ケ
イカが助けてくれる直前、体中が熱く
なって、これが光ったから」
カイドウ「それじゃあ、兄上はやっぱり」
カイドウ、ケイカを見る。
ケイカ「ああ、死んでるみたいだな」
カイドウ「そんな…」
カイドウ、ケイカを触る。
カイドウ「信じられない。どう見てもこ
こにいるじゃないか、ほら。生きてるよ」
ケイカ「やめろ、くすぐったい」
ケイカ、カイドウを引きはがす。
セイラン「来てくれてありがとう、ケイ
カ。もう一度出会えて、本当に嬉しかった」
セイラン、ケイカに手を差し出す。
ケイカ、その手を握る。
ケイカ「自分の使命を全うできたこと、
誇りに思います。後は」
ケイカ、カイドウをセイランの前
に押し出す。
ケイカ「こいつをこきつかってください」
セイラン「(笑って)ええ、そうする」
真月刀が光る。
ケイカ「もう時間みたいだ」
カイドウ「時間って」
ケイカ「カイドウ。セイラン様を頼むぞ」
カイドウ「嫌だ、行かないで兄上。僕は
まだ兄上がいないと…」
ケイカ「何言ってんだ。お前はとっくに
俺を超えてるよ。もう十分一人でも戦える」
ケイカ、カイドウの頭をぐしゃぐ
しゃと撫でる。
ケイカ「俺はずっと上で見守ってるから
な。すぐ来るんじゃねえぞ?」
ケイカ、カイドウとセイランから
離れる。
光が強くなる。
ケイカの姿が消える。
カイドウ「兄上…!」
セイラン、膝をつき泣き出す。
カイドウ、セイランに近付く。
セイラン、カイドウに抱き着いて
泣く。
セイランを優しく撫でるカイドウ。
カイドウ「兄上、僕は強くなります。も
う二度とセイラン様を泣かさないよう
に。兄上の分も僕が必ず護ります」
カイドウ、空を見上げて
カイドウ「見ていてください兄上!」
了
あとがき
楽しかったです…書いててとても楽しかったです。
もっとあの兄弟を書きたいですが
お兄ちゃんがあんなことになってるので後日談として
兄弟の話を書けないのは切ないですね(笑)
尾張鳥忍衆の皆さまにもキャラたちを大変気に入っていただけて、
それが本当に嬉しかったです。
またこういった作品を書きたいですね!
お仕事募集してます!!
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