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アメリカミシガン州KyokofromTokyo#13 デトロイトの廃墟と海みたいなミシガン湖

風雲!たけし城がお気に入り

日本へ帰る日がやってきた。今日は朝風呂で長いフライトに備える。私の身長より長いバスタブ。こりゃお湯を張るのは大変だ。お風呂はあきらめて、シャワーだけで済ませて、髪洗って乾かして、さあ荷造りだ。
風呂から出ると、リニーがスマホを見ていた。「風雲!たけし城」が好きなんだと見せてくれる。英訳吹き替えのYouTubeを楽しんでいるらしい。80年代の古い日本のテレビの映像そのままだ。へえ~ ここデトロイトで日本の番組を見るなんて、リニーから日本のテレビ番組のこと聞くなんて、変な感じ!
「風雲!たけし城」  1980年代 "Takeshi's Castle" '80's


さあ、空港へ出発だ。お土産で膨らんだぎゅうぎゅうのスーツケース、家まで開けることはないから、とにかく詰め込んで蓋をして、部屋を出る。リニーが部屋の鍵をカウンターに返す。いやにぶっきらぼうだったので、フロントの女性に帰りに「Bye!」と声をかけてみたら何やら驚いた表情、無駄な動きはここでは何か警戒されてしまうのかしら、フレンドリー的な雰囲気はデトロイトのこの辺りにはないみたいだ。かえってビックリされてしまう。

ホテルの向かい側は、裁判所や税務署やらミシガン州機関の厳かな建物、セントレジスホテルもその建物とつながっている、この辺りはミッドタウン。それなりに歴史のあるホテルみたいだけど、リニーが言っていたように、この周辺は用がなければ来るところではないのは確か。

デトロイトの廃墟

今日は晴れた。青空がきもちいい。よかった。道が広いから空もとにかく広い。平日の朝のハイウェイを走る。ホテルを出て少し走ってミッドタウンを抜ければ、ハイウェイから見る景色に高層ビルはもうない。
「お腹すいた?」今日も朝からお腹は空かない。夕べはのデトロイトの寿司をたらふく食べたからなあ。「コーヒー飲もうか」スターバックスのドライブスルー、平日の朝、少し混んで並んでいる。

「デトロイトは町がすっかり廃れちゃってダメよ」とリニー。
ハイウェイを走っているとさほど感じないが、街の雰囲気に明るい雰囲気はない。そのうち、やってるかどうかわからないストアが散見するようになって、リニーがほら、と指した先には、赤レンガの建物の大きな窓ガラスが、ガッシャ―ンと割れたまま放置されたエリア。そんな家がいくつも現れてくる。庭木もぼうぼうで、不気味な雰囲気が漂っている。それぞれの家が大きいので、ホントのお化け屋敷みたい。
「これ、このまま放置してるの?片付けないの?」
「ホームレスが住み着いてコミュニティができてしまったり、ミシガン州の予算もなくて、どうしようもないのよ」

ひえー 初めて感じたあの不気味な感覚。天気が良くてよかった。それにしても青空が背景の廃墟というのは、まるでディズニーランドのアトラクションみたいだ。2013年のデトロイトの財政破綻が街の風景にもろ反映されていた。旅の最後に衝撃、そしてこういう現実もあるんだ、と日本では見かけなかった現実を目の当たりにした。(2016年5月現在)

リニーとお別れ 帰国へ

空港へ到着した。出国ロビーの入口に車を止めて、私には重いスーツケースをトランクからリニーが軽々、ひょいと出してくれる。
さ、ここからはひとりなんだ、なんだか1週間ずっとリニーたちと一緒にいたから、急に寂しく心細い気持ちになる。あっけない感じ。お礼の言葉は言い尽くせない。
英語で感謝のフレーズを並べてみるが、すぐネタ切れに。
「英語で感謝の言葉、これ以上出てこないよー」
「充分よ 笑、私夕べお風呂入ってなくて Stinky だけど、笑 ハグしましょう!」「そんなことないって 笑」
リニーとしっかりハグして、ああ、名残惜しいけど、もう行かなきゃ。
「東京に着いたらメールするのよ!」「もちろん!」
よし、行こう。

空港の中に入ると旅人へと気持ちが切り替わる。チケットを機械に入れ、列に並ぶ。出発まで3時間近くある。長い列には黒人の家族連れが多かった。デトロイトには黒人系の住民が多いと聞いていた。彼らをなんとなく観察しながら、列を少しずつ進んで、靴も脱いで時計も外して荷物検査。中に入っていく。
何かまだおみやげが足りないような気がして、出発ゲート辺りでお土産を探す。トイレは行っておかなきゃ。トイレに入ると、他に人はいなくて、大きな黒人女性の清掃員が、ひとりカラオケのように歌を歌いながら仕事をしている。楽しそうで良いなあ。
椅子に座っていよう。なんていい天気、出国ロビーの大きなガラス窓からの光が眩しい。まだ人が少なくていい。東洋人は見かけないな、、としばらくくつろいでいると、なかなかちゃらちゃらした感じの、笑 あれはきっと日本人かなあ、女性が待合エリアに入ってきた。
だんだん搭乗客が集まってきて、スタッフもカウンターに入ってきた。仕事ぶりを見ているとブロンド女性スタッフと目が合って肩をすくめて微笑む。

ミシガン湖は海みたい

デトロイト空港から乗り継ぎのシカゴオヘア空港へ向かう飛行機は、チャーター機のように小ぶりだった。2列シートだったろうか。そして出発前に挨拶があった。操縦士は若い女性。副操縦士は男性。そして客室乗務員はおじさん男性だった。おじさん客室乗務員が、にこやかにスナックと飲み物を出してくれる。男性操縦士と女性客室乗務員に固定された日本のイメージからみれば、実に真新しい光景。かっこいいぞ!

「デトロイトからシカゴオヘア空港へ向かうなら、ミシガン湖が見えるよ」
「湖といっても、ミシガン湖は大きいから海みたいよ」
とリニーとジョンが言っていた。

チャーター機はあまり高くは飛ばず、家並みが見えるくらいの高さだった。青空の中、ほんとに海みたいな、キラキラ光るミシガン湖上空を飛ぶ。ぐいーんと旋回して素敵な家々を斜めに見下ろして、2時間後にはシカゴオヘア空港へ到着した。

シカゴピザ

シカゴオヘア空港でのトランスファーは約2時間、急げ急げ。シカゴ空港は大混雑。ひたすら搭乗ゲートへ急ぎ足。
さっき朝食はスタバドライブスルーのコーヒーで済ませたから、今頃、お腹が空いてきてしまった。最後にアメリカンな食事を食べよう。大混雑のフードコートの行列に並んでシカゴピザを頼む。箱の中にピザが入ってる。飲み物は水でいい。テーブルで食べ始める。おじさんに話しかけられる。「よい旅を」とおじさん。
一見すると小さめの箱に入ったピザだが、高さが5-6cmあるシカゴピザのボリュームはなかなかのもので、食べたのは2/3くらいだった。
搭乗口に向かう途中、財布に残ったドル小銭をスタバのチャリティーBOXにすべて投入する。「 Thank you! 使ってくれ!」

最後に寄ったトイレがまた混んでおり、出たのは出発20分前になってしまった。急げ急げ。すると、搭乗口から航空会社の女性スタッフが走ってきて、まだ来ていない乗客が私と分かったみたいで話しかけてきた。「すみません、遅くなりました!」久しぶりに日本人に会って日本語を聞き、日本語を話す、変な感じ~ もうこの時点で日本に帰ってきた気分になった。 
機内ではもう皆座っていた。ぎりぎりだった。ぎっしり満員のでかい機内には、見回せば東洋人ばかり、帰途につくんだなあという感じがした。

しばらくすると、さっきのシカゴピザが胸焼けを起こしてきた。緑茶が欲しい。「温かい緑茶を下さい」日本人客室乗務員が「温かい緑茶」を出してくれたが、温かい「おーいお茶」だった。ペットボトルのお茶か。嬉しくない。結局、さっき食べた分厚いシカゴピザのおかげで、長いフライトの間、機内食はいらなかった。

成田到着。さっき「おーいお茶」を出してくれた客室乗務員に挨拶して、飛行機から降りる。ああ、湿気た日本の空気だ。
とにかく外の空気を吸いたい。空港ビルの屋上へ出て座る。曇り空の滑走路を眺めながら、日本到着のメールを送った。

シカゴ空港で食べたシカゴピザはさすがにこなれて、お腹が空いてきた。海外から日本に降り立つといつも途端に食べたくなる醤油味、いつものお店で「中華ごはん」を食べて帰途についた。


♡帰国後のリニーからのギフト♡

帰国後しばらくして、リニーからずっしりと重い荷物がミシガン州ハリソンから届いた。私が好きだと話していたアメリカのお菓子がたくさん入っていた。
・Betty Crocker ベティクロッカー(バニラ・チョコレート数種類)
・CHEEZ IT チーズイット
(数箱と小分けと両方)
・CHEEZ IT チーズイット・ワサビ味
(アメリカでワサビ味があるんだ!)
・CRAFT クラフトアイデア雑誌
・HGTV ホームデザイン/インテリア雑誌
・VOGUE
(まだあどけない当時27歳のテイラー・スウィフトが表紙)
・アメリカ国旗のナプキン
・FROZEN
(アナと雪の女王)の子供向けパズル雑誌
・レポート用紙にブルーのインクで書かれたリニーのお手紙
など…




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