世田谷さんぽ「向井潤吉アトリエ館」
向井潤吉アトリエ館を訪ねたのは、去年の1月の寒い日のことでした。
世田谷ボロ市をさっとひやかして、その後に散歩がてら行けばいい、となりました。
ところが!
その年の1月世田谷ボロ市は、日曜日ということもあって、とんでもない混雑でした。まず、代官餅の行列の長さに驚きました。これは何時間かかるのでしょうかね。すっかり意気消沈、下調べ不足でした。
ということで、ボロ市見学は早々に切り上げて、向井潤吉アトリエ館へ向かうことにしました。
ボロ市会場からは、それなりの距離があります。まぁ、歩ける距離ではあるけれど。
向井潤吉アトリエ館は、世田谷美術館の分館なので、世田谷区の施設なのですね。そういえば、ふるさと納税で税金が流出して困った世田谷区が、所蔵している向井潤吉の版画作品を返礼品にした、というニュースがありました。
向井潤吉の作品は、自宅に作品があるわけではないけど、子どもの頃からカレンダーなどで目にしていた馴染みがあるもの、でした。大正から昭和にかけて、日本の昔ながらの風景を題材にしているものが多いです。今では「古民家」という建物がまだ「かろうじて」人の生活の場であった頃、それでも消えゆく風景を留めるために描いていたのだと思います。
その絵画の風景は、昭和生まれの私にとっても昔話の絵本の風景のようなものです。けれど、子どもの頃は少し郊外、地方に行けば、まだ残っていたかもしれない風景。東京郊外の風景も数多く残しています。
建物の中は、撮影禁止でしたので、外観の写真のみです。
このアトリエは、実際に住居兼アトリエだったそうで、昭和30年代のデザインなのです。今は絵画の展示室として使用しているため、室内はサッパリとしていますが、所どころ住居の名残りがありました。それに、絵具の跡があったり・・・
また、太くて立派な材木が使われていて、古民家の味わいもあります。蔵も家と繋がっています。2階もありますが、吹き抜けになっていているので開放的で閉塞感はありません。
アトリエ館を後にして、住宅街を歩きます。
このあたりも昭和の歴史ある住宅街で、素敵なお宅が並んでいるのを眺められるのが楽しいです。いかにも世田谷らしい雰囲気ですね。
最寄り駅の東急田園都市線の駒沢大学駅までは、10分ほどで到着しました。当然ながら、駒澤大学の最寄り駅で、学生街なんですね。商店街に大学のスポーツ部(この時は、アメフト部が多かったかな)を応援する旗が飾られていました。とてもカッコいいデザイン。街の誇りなのだとわかります。
そうそう、駅名と大学名は文字が違うんですね。地図を確認して初めて知りました。
世田谷さんぽは奥が深い。まだまだ、あちこち歩かないといけませんね。