チャーハンの味
何年振りだろうか、あの店でご飯を食べよう。
会社の近所にあった店。会社が移転して、もう何年もご無沙汰していた。
家族経営で小さな店、中華の暖簾は掲げているけど、私は大衆食堂だと思っている。
いつもは在宅勤務だが、急に午後出勤となった時に思い出して立ち寄ったのだ。時間は12時30分を過ぎたくらいで、店の扉を開けると、ほぼ満席。
「相席で良いですか」
と聞かれて、少し違和感がある。以前は聞かれたかな。当たり前のことだった気がする。
ずいぶん昔のこと、同じ部署の女性の先輩に連れてきてもらったのが初めてだったと思う。
おすすめの「もやしそば」を食べたっけ。それは、もやし中心の野菜炒め餡かけが乗った醤油ラーメンのこと。
ものすごく熱々。だけど妙に気に入って、しばらくそればかり頼んでいた。
その後、他のメニューを開拓していって、チャンポン(塩味の餡かけラーメン)、ソース焼きそば(餡かけ焼きそばもあるけど、こっちの方が好き)、チキンライス(ケチャップ味)、定番のチャーハンにたどり着く。
この日は、はじめからチャーハンに決めていた。
「スープは、ラーメンスープで」という男性多かったなぁ、と思い出した。女性では聞いたことない。私はスタンダードの卵スープのままで構わない。
ふと、隣のテーブルでは、60代くらいの男性がオムライスとラーメンスープを食べている。やはり、ラーメンスープは人気らしい。
…あれ?オムライスってあったかな。チキンライスはあったけど。常連さんの裏メニューかもしれない。
見回すと、半分くらいは地元の常連さんらしい。いや、それ以上か。以前はスーツ系会社員もそこそこ多かったけど、会社が移転したからだろうか。帰り際に、店の方と親しげな会話をしている。
そして、平日の昼間にビールやサワーを飲んでも大丈夫な方々…多し😆
食べながら思い出したこと、2つ。
1つめ。私にこの店を教えてくれた方とは別のおしゃれな先輩は、「会社を辞める日のランチは、この店」と決めていたけど、どうだったのかな。
2つめ。ある時、私より一回り若いSちゃん(スレンダー美人さん、おとなしいのに喋ると意外に毒舌)が、「大盛り」を食べたいと言う。
え?と、耳を疑ったが、女子ばかりでご飯を食べると大盛りは頼みにくいらしい。
まかせて!
若手男子(人選は非常に大切)1人を誘い、大盛り注文のカモフラージュ(?)にするし、万が一完食できなくても大丈夫にするし。
そんなこんなで、仕事後に乗り込んで、それぞれ大盛りを完食しちゃったよ。チャーハン、焼きそば、あと何だったかなぁ
細かいことは忘れても、Sちゃんが満足してくれて、嬉しかったのが一番の思い出。
そうそう、
会社に着いて、出勤している友人にチャーハンの写真を見せると、すぐに店を当てた。
うん、当然のように。
皆の中にある、あの店。あの味。
食べた後は非常にのどが渇くことも味のうち。
油と塩分、バンザイ なのだ。